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学術変革領域(B)「糖化学ノックイン」発足!

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令和3年度より、学術変革領域(B)「糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動態制御」(略称:糖化学ノックイン)が発足しました。

化学分野の先端に関わる若手領域の一つとして、このたび国内最大の化学ポータルサイトChem-Stationと、新たな学術広報モデル構築を行うためのコラボ企画を進めることになりました。本アカウントを通じて、領域としてのイベント会告・成果広報・情報発信を積極的に行っていきます。

領域が目指すこと・研究紹介

生体分子現象の一つ「糖タンパク質の膜動態」にフォーカスし、生命系を理解し制御するための新たな反応化学技術「ケミカルノックイン」の確立を目指します。

・・・と言われてもほとんどの方は分からないですよね。簡単に説明したいと思います。

ケミカルノックイン

まず目を引くのが「ケミカルノックイン」という単語。領域研究をよく表すキーワードです。

(遺伝子)ノックアウトという単語なら、これまで目にされた方も多いでしょう。特定の遺伝子を欠損させた生物を作り、遺伝子に対応する生命機能の理解を進めて行くための技術です。(遺伝子)ノックインはこれとちょうど逆の考え方で、生命に特定の遺伝子を挿入し、追加機能をアドオン・アップグレードする技術を指しています。

その一方で、遺伝子操作と相補的なことが実現可能とされる、生体適合反応化学による生命解析・操作法も注目を集めるようになりました。しかし、その技術成熟度は遺伝子操作ほどではありません。というのも、生体適合条件(水中・室温・中性・低濃度・分子夾雑系etc)で進行する人工化学反応の開発や、生命という複雑系のなかで高度な化学選択性を制御することなどに、きわめて高い技術ハードルがあるからです。

とはいえ機能欠損を意図したケミカルノックアウトについては、たとえば共有結合性阻害剤(covalent inhibitor)光照射分子不活性化法(FALI/CALI)タンパク質分解誘導キメラ(PROTAC)などの形で、応用・実用化が盛んに検討されています。ならば機能をアドオン/アップグレードするケミカルノックインはどうなのか?・・・現在様々に萌芽的な成果も出つつある、まさに次なる発展が期待される技術領域といえるのです。

タンパク質の膜動態

ケミカルノックイン技術の実証・拡張を進めるべく、特定の生命現象にフォーカスした研究課題を考えました。本領域では特に、糖鎖修飾タンパク質の膜における「動き」(膜動態)に着目して進める予定です。

糖鎖はタンパク質・核酸と並ぶ「第3の生命鎖」とも呼ばれます。主として細胞表面を覆う形で存在しており、細胞認識や免疫などの生命現象と深く関わることも知られています。しかし糖鎖は不均質かつ多様な構造を持つため、その機能解明と制御は立ち後れています。このような課題認識もあり、化学合成における均質糖鎖の製造糖タンパク質の全合成細胞表面の糖鎖編集技術、それを活用したケミカルバイオロジー研究などが、かねてより進められてきた背景もあります。

人工的に作り上げた糖鎖を膜タンパク質に結合させる、「糖鎖ケミカルノックイン」が実現できれば、この課題に対して反応化学的視点からアプローチできるだろうと考えました。というのも、タンパク質に結合する糖鎖が近隣生体分子と相互作用することにより、その膜動態制御に役立っているのでは?と考えられる知見が様々に蓄積されてきたからです。

たとえば先日のケムステVシンポでも紹介された細胞外小胞(エクソソームなど)は、生命系における膜動態現象の一種と捉えることができます。エクソソーム表面の糖鎖構造によって、細胞取り込み過程が制御されているという研究知見も知られるところです。糖鎖構造と膜動態の関係性をあきらかにし、人為的に操作できれば、ドラッグデリバリーシステムの発展につながる基礎研究にもなりえます。また先日報告された特定の膜タンパク質のみを選択的分解へと導くLYTAC技術も、人工糖鎖修飾されたタンパク質(抗体)が膜内在化を促すという実態であり、ノックアウト型生命操作へと導く革新的成果の一つと捉えることができます。

このように、糖鎖・タンパク質・その膜動態を三位一体で制御できる反応化学技術のもたらすインパクトは、計り知れないものがあります。

領域の構成

ケミカルノックイン技術を研究していくには、生命科学のみならず、反応化学にも深い専門性と洞察が求められます。

本領域は A01「つくる」 A02「みる」 A03「あやつる」の3領域で構成されています。計画班員5名が属しますが、各班員がなるべく複数班にまたがりながらタテワリ感を無くし、フラットな関係性にもとづく分野融合(反応化学×生命科学を意識しています。詳しい内容分担は、領域の研究チーム紹介ページをご覧下さい。各班員の得意分野は下記の通りで、ちょうど相補的な関係になっています(代表の生長は仲立ち・取りまとめ役)。とはいえ全くかけ離れていないこともポイントで、領域研究を進めようとすると、各自知らないことが半分ぐらい出る程度です。近くの専門家とお互いに議論ながら足りないところを補いあい、大きな構想を目指して協力しあうには、これぐらいの距離感が丁度良いと思えています。もちろん各自の専門に囚われすぎず、広い分野を見渡すことも各自しないと話が進みません。既に継続開催している領域内勉強会や、オンライン講演会(ABC-InFO)などを活用しながら学びを深める取り組みもしています。このようなことを可能とする「場の形成」も、本領域で意識して進めたい話の一つです。

各班員の人となりや研究哲学・領域研究への意気込みを紹介するための、班員インタビュー記事も準備中です。出来上がり次第、順次掲載していきますのでご期待ください。

まずは領域のご紹介まで。研究に付随するよもやま話や、関連研究の文献紹介なども予定しています。皆様の温かいご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

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