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科学は探究心を与え続けてくれるもの:2016 ロレアル–ユネスコ女性科学者 日本奨励賞

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先月8日に2016年度ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞の授賞式が行われました(トップ画像:日本ロレアル株式会社提供)。今年11年目を迎える同賞は、物質科学分野および生命科学分野における若手女性研究者、特に博士課程の女性学生に送られる賞のなかでも最高峰とも言える賞です。書類・面接選考を突破して選ばれた最大4人の受賞者には、賞状ならびに賞金100万円が贈られます。これまでもケムステでは、受賞者の方々へインタビューを行い、同賞ならびに受賞者の方々を応援させていただいてきました。過去の記事一覧は以下のとおりです。

栄えある今年度の受賞者は以下の通りです。おめでとうございます!

第11回ロレアル–ユネスコ女性科学者日本奨励賞受賞者(左から北村未歩さん、田仲玲奈さん、丹治裕美さん)

第11回ロレアル–ユネスコ女性科学者日本奨励賞受賞者(左から北村未歩さん、田仲玲奈さん、丹治裕美さん)

[物質科学分野]

北村未歩 (きたむら・みほ)さん

所属機関:高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所

出身大学:東京大学大学院工学系研究科 応用化学専攻 藤岡研究室

研究内容:異なる酸化物の界面で発現する特異な強磁性の起源を放射光を用いて解明する

田仲玲奈(たなか・れいな)さん

所属大学:大阪大学大学院理学研究科 高分子科学専攻 高分子物理化学研究室

出身大学:東京大学大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻博士課程 製紙科学研究室

研究内容:物質の流動と変形を評価するレオロジー測定を用いた、セルロースナノファイバーのアスペクト比(長さ/幅)の簡易評価法の確立

[生命科学分野]

丹治裕美(たんじ・ひろみ)さん

所属大学:東京大学大学院薬学系研究科 蛋白構造生物学教室

研究内容:自然免疫で働くセンサータンパク質がウィルス感染を感知する仕組みの解明

受賞者みなさんに興味があるのですが、今回は物質科学分野の田仲玲奈さん(大阪大学大学院理学研究科)にインタビューをいただいたので紹介したいと思います!

 

どんな研究を行っていますか?

物質の流動と変形を評価するレオロジー測定を用いた、セルロースナノファイバーのアスペクト比(長さ/幅)の簡易評価法の確立 

現在、環境に優しい新たな材料やエネルギーに関する研究が世界中で行われています。私は、樹木から得られる新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の研究を進めてきました。「髪の毛の約1万分の1の太さ」のCNFは、鋼鉄の5分の1の重さで5倍強いとも言われており、環境に優しい高性能・多機能な新素材として注目されています。これまでに、紙おむつの消臭剤やボールペンのインクに実用化されているほか、防音材・断熱材などさまざまな用途への応用が期待されています。

CNFの主原料は、山で放置され使われていない樹木です。こうした樹木を化学的に処理した後、水中で細かく解きほぐすことにより、CNF分散液(=CNFが無数に入った水)を得ることができます。私たちの生活に役立つ製品を実際にCNFから作るためには、まずCNFの性質をよく調べる必要があります。しかし、CNF入りの水は非常にドロドロしており(右図)、CNFの性質を調べることは難しいと考えられてきました。

本研究では、レオロジー(=物質の流動と変形を扱う学問)という別の観点を導入することで、「数億本以上」のCNFのアスペクト比(=長さ/幅)を、短時間で簡便に評価することができました。今後は、これまで接点のなかったさまざまな分野の研究者と協力し、産業レベルでCNFを利用する際に重要な課題を解決し、さらなる実用化の促進に貢献していきたいと思います。

ロレアルインタビュー図1

 

受賞者へ1問1答!

Q1. なぜ「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」に応募したのですか?

ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞の「若手女性科学者が国内の研究・教育機関で研究を継続できるよう奨励し、助成する」という理念に共感したためです。

 

Q2. なぜ受賞となった研究テーマを選んだのですか?

当時、本テーマに関連する先行研究は、ほとんど報告されておらず、網羅的な検討がなされていませんでした。しかし、却ってその方が、挑戦し甲斐があると感じたからです。

 

Q3. あなたにとって「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」とは?

今後研究者として歩んでいくために、どのように研究を進めていくべきかを深く考えさせられた、得難い賞でした。社会に貢献できるような研究を続けられるよう、精進しなければならないということを、改めて痛感致しました。

このような素晴らしい賞を受賞し、大変光栄です。本研究を進めるにあたり、指導教員の磯貝明先生をはじめ、多くの先生方や共同研究者の方々、研究室の方々に御指導・御協力を賜りました。心より御礼申し上げます。今後もこの賞の名に恥じることのないよう、研究に励みたいです。

 

Q4. 幼いときはどんな子供でしたか?

ヴァイオリンの練習に没頭していました。

 

Q5. 科学者を志すようになった動機と、エピソードがあれば教えてください

研究を進めていくに従い、様々な疑問が出てきましたが、私は途中で物事を投げ出すのが好きではないので、研究に没頭し課題を一つずつ乗り越えることを心掛けました。その時に感じたのは、「私は研究が好きだ」ということです。そのことに気付いた時に、私は科学者を志す決心をしました。

さらに、学会で研究発表をし、論文を投稿していくうちに、自分の研究内容に興味を持って下さる方が次第に増えていくことを実感するとともに、「自分の研究がいずれは社会に役立つ研究の一端になるのではないか」と感じました。こうした研究と社会とのつながりを実感できたことが、研究者を志すという決心をさらに強めることになりました。

 

Q6. ずばり、あなたにとって一言で科学とは?

探究心を与え続けてくれるもの

 

Q7. 研究の過程で、男性、女性の違いを意識することはありますか?

幸いなことに、これまでに研究の過程で男女の違いを感じたことはございません。

 

Q8. 先進国の中で一番女性科学者の比率が少ないと言われる日本の現状についてどう思いますか?

確かに、学会等で見かける女性大学教員・研究者・学生は少ないと思います。しかし、大学の理系学部に占める女性の割合が少ないので、妥当だとも思います。

 

Q9. どのような科学者になりたいと思いますか?

私が科学に興味を持ったきっかけは、小柴昌俊博士・田中耕一博士のノーベル賞の同時受賞でした。博士らの研究内容がニュース等で取り上げられることによって、私と同じように、科学への関心を強めた人たちもたくさんいると思います。多くの方々に、科学に対する興味を持って頂けるような科学者を目指したいと思います。

 

Q10. 科学者を目指す、後輩の女性達にひと言メッセージをお願いします。

セルロースナノファイバーに出会い、研究を始めてから、6年目になりました。そうした折に、このような素晴らしい賞を頂けて大変光栄に思います。私もまだまだ道すがらではございますが、まずは「研究が好きかどうか」を考え、好きであれば科学の道を突っ走って欲しいと思います。

 

[略歴]

田仲玲奈

平成28年3月

東京大学大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 製紙科学研究室 博士課程修了

平成28年4月より現職

大阪大学大学院理学研究科 高分子科学専攻 高分子物理化学研究室 博士研究員

 

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めぐ

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博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

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