[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

学会会場でiPadを活用する①~手書きの講演ノートを取ろう!~

 

 

来る3月末には化学系で日本最大の学会、日本化学会春季年会が開催されます。他にもたくさん学会が催される時期ですが、要旨がデジタルメディアで配布されるなども普通になり、デジタル時代の到来を感じます。

そんなさなか、個人所有のデジタルデバイスを講演会場に持ち込む風景も、日常になりつつ有ります。特に近年のタブレットPCの普及率は眼を見張るばかり。筆者も潮流に置いていかれぬよう(というより、ソフトバンクの引き止め策略に従う形で)iPad2を手に入れました。いろいろ使用法を模索している最中ですが、やはりプレゼンツールとして優れており、普段使いよりは出先にて圧倒的威力を発揮するデバイスと感じています。会場で配布される「学会カバン」に入れて運べるほどコンパクトであり、今や手放せません。

というわけでこのシリーズでは、学会会場でiPadを活用する方法について紹介していきたいと思います。今回は「iPadで手書き講演ノートを取る」がテーマです。

講演は、気になる先端研究を一連のストーリーに沿って理解できる貴重な機会。論文とは違った楽しさがあります。聴講時間とインスピレーションを無駄にしないためにも、リアルタイムで講演メモをとっておくことは重要です。

メモ目的でPCを講演会場に持ち込む人も少なくないようですが、隣の人に打鍵音の配慮が必要だったり、思ったほど電池が持たなかったり、本体自体が重くかさばってしまったりが問題です。最大の問題は、素早く絵が描けないこと。化学者は絵で語る人種なので、化学構造式がメモれないとそもそもお話にならないのです。

ですから筆者は、メモ用紙・大学ノート・要旨集などに、紙でノートを毎度とっていました。しかし出張のたびに同じノートを持っていくことができないズボラな自分、結局は情報があちこちに散逸してしまい、あとで読み返したりするのが難しくなるわけです。「なんだ結局ノート取っても取んなくても、読み返せないなら変わんねーじゃん」・・・となってしまうのも必然。うーんこれは実に勿体無い。
そこで颯爽と登場したのがiPadというわけです。

大画面タッチパネルは、手書きノートに最適のデバイス。バリバリ書いてもゴミを気にせず、どんどんページを進められるという特性は、紙のノートに比べて圧倒的に優れています。もちろん情報は全てクラウドへGO。指で書き留められるのもiPadの特長です。うっかりペンを忘れてきても問題なし!とはいえペン書きのほうが気分が良いのも確かですから、筆者はスタイラスペンを別途購入して使っております。

 

さて問題はアプリ選び。手書きメモアプリはたくさんリリースされていますが、化学者向き、講演ノート向きとなると、適当なものは多くないと思います。筆者が試した限りでベストと思えたのは、Penultimateというアプリです。

penultimate.jpgitunes_app.gif他アプリに比べて良いと思えた点は

・レスポンスが良い
・直観的に操作できるシンプルなインターフェース
・(試した中では)筆致が一番きれいに、かつなめらかに反映される
・必要機能(画像化・PDF化・メール添付・Evernote対応etc)は十分ある
・1タップでどんどん次のページに進める
・1ページまるごと削除も素早くできる

特に「1ページまるごと削除」と「Undo」機能は、講演ノートをこれで実際にとってみると、相当便利な機能であることが分かります。書き間違いに気を取られている間に、大事なコメントを聞き逃すという”あるある”が無くなるからです。

レスポンスの良さは以下の動画を見れば一目瞭然です。


反面、イマイチな点は

・塗りつぶしが効かない
・拡大表示ができない
・消しゴムの大きさが変えられない

このため化学構造式の塗りくさびだけがなんとも書きにくい・・・!

とはいえ、現状不満はそれぐらいで、全体的にとても完成度の高いアプリだと思えます。どの手書きアプリを使っていいか分からないなら、とりあえずコレを使っておけば問題ないでしょう。

ipad_conference_2.jpg

金沢大・国嶋教授の「モジュール式アフィニティラベル化」の講演を聞いて、筆者が実際に書き留めた講演ノート。字が汚いのは仕様です(涙)

研究者向けのiPad活用法、他にもいろいろ模索している最中です。大変ポテンシャルの高いデバイスですから、工夫次第でいくらでも新しい活用法が見いだせそうに思えています。今後も続きますので、お楽しみに!

 

関連書籍

 

外部リンク

CocoaBox – Penultimate

手書きメモPenultimateを実戦的に使うテクニック

 

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 高分子界の準結晶
  2. 鉄触媒での鈴木-宮浦クロスカップリングが実現!
  3. 化学者の卵に就職活動到来
  4. 東日本大震災から1年
  5. 特許にまつわる初歩的なあれこれ その1
  6. 第7回日本化学会東海支部若手研究者フォーラム
  7. 奇妙奇天烈!植物共生菌から「8の字」型の環を持つ謎の糖が発見
  8. 企業の研究開発のつらさ

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 祝!明治日本の産業革命遺産 世界遺産登録
  2. Bergfriendhof (山の墓地)
  3. 化学研究ライフハック:縦置きマルチディスプレイに挑戦!
  4. 宮沢賢治の元素図鑑
  5. 高校生・学部生必見?!大学学術ランキング!!
  6. シリカゲル担持4-ヒドロキシ-TEMPOを用いたアルコール類の空気酸化反応
  7. 光触媒が可能にする新規C-H/N-Hカップリング
  8. 博士課程学生の奨学金情報
  9. 福山アミン合成 Fukuyama Amine Synthesis
  10. 不斉触媒 Asymmetric Catalysis

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

イミニウム励起触媒系による炭素ラジカルの不斉1,4-付加

2017年、カタルーニャ化学研究所・Paolo Melchiorreらは、イミニウム有機触媒系を可視…

ケムステ版・ノーベル化学賞候補者リスト【2018年版】

各媒体からかき集めた情報を元に、「未来にノーベル化学賞の受賞確率がある化学者」をリストアップしていま…

巨大複雑天然物ポリセオナミドBの細胞死誘導メカニズムの解明

第161回目のスポットライトリサーチは、早田敦 (はやた あつし)さんにお願いしました。早田…

イグノーベル化学賞2018「汚れ洗浄剤としてヒトの唾液はどれほど有効か?」

Tshozoです。今年もIg Nobel賞、発表されましたね。色々と興味深い発表が続く中、NHKで放…

最近のwebから〜固体の水素水?・化合物名の商標登録〜

皆様夏休みはいかがお過ごしでしたでしょうか。大学はそろそろ後学期が始まってきたところです。小…

化学の力で複雑なタンパク質メチル化反応を制御する

第160回目のスポットライトリサーチは、連名での登場です。理化学研究所の五月女 宜裕 さん・島津 忠…

PAGE TOP