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ステープルペプチド Stapled Peptide

ステープルペプチド(Stapled Peptide)とは、短鎖ペプチドの二次構造を安定化させる目的で側鎖を架橋(ステープル化)したペプチドを指す[1-3]。次世代医薬標的として注目を集めるタンパク―タンパク相互作用(PPI)阻害剤としての応用が期待されている。(画像引用:Sussex Drug Discovery Centre)

この物質群と医薬機能は、ハーバード大学・Gregory L. Verdineらのグループによって開拓された[4,5]。

らせん構造が活性コンフォメーションである短鎖ペプチドは、しばしばその二次構造を溶液中で安定に保持しえない。その結果として結合定数や膜透過性が向上せず、医薬機能が思ったほど上がらない結果となる。ステープル化を施すことでこの点が解決されうる。膜透過性の向上やプロテアーゼ耐性なども同時に獲得しうることも利点となる。

ステープル化に適した合成法には高い官能基許容性が求められる。側鎖のジスルフィド形成に加え、チオール-エン反応オレフィンメタセシスHuisgen環化、パーフルオロアリール化なども用いられる[6,7]。

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参考文献

  1. “Stapled peptides for intracellular drug targets.”  Verdine, G, L.; Hilinski, G. J. Methods Enzymol. 2012, 503, 3. doi:10.1016/B978-0-12-396962-0.00001-X
  2. “Hydrocarbon-stapled peptides: principles, practice, and progress.” Walensky, L. D.; Bird, G. H. J. Med. Chem. 2014, 57, 6275. doi:10.1021/jm4011675
  3. “Stapled peptide design: principles and roles of computation” Tan, Y. S.; Lane, D. P.; Verma, C. S. Drug Discov. Today 2016, 21, 1642. doi:10.1016/j.drudis.2016.06.012
  4. “An All-Hydrocarbon Cross-Linking System for Enhancing the Helicity and Metabolic Stability of Peptides” Schafmeister, C. E.; Po, J.; Verdine, G. L. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 5891. DOI: 10.1021/ja000563a
  5. “Activation of Apoptosis in Vivo by a Hydrocarbon-Stapled BH3 Helix” Walensky, L. D.; Kung, A. L.; Escher, I.; Malia, T. J.; Barbuto, S.; Wright, E. D.; Wagner, G.; Verdine, G. l.; Korsmeyer, S. J. Science 2004, 305, 1466. DOI: 10.1126/science.1099191
  6. “Synthesis of all-hydrocarbon stapled α-helical peptides by ring-closing olefin metathesis” Kim, Y.-W.; Grossmann, T. N.; Verdine, G. L. Nat. Protoc. 2011, 6, 761. doi:10.1038/nprot.2011.324
  7. “Peptide stapling techniques based on different macrocyclisation chemistries” Lau, Y. H.; de Andrade, P.; Wu, Y.; Spring, D. R. Chem. Soc. Rev. 2015, 44, 91. doi:10.1039/C4CS00246F

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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