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企業研究者たちの感動の瞬間: モノづくりに賭ける夢と情熱

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概要

有機合成化学およびプロセス化学に関係した研究の現場での,企業化や商品化に賭けるそれぞれの企業の情熱が伝わってくる読み物.産業界に所属する研究者の「企業における成功体験」や「企業化,プロセス化に向けた研究時の感動の瞬間」などのエピソードがまとめられている.素晴らしい成功の裏に隠された苦労話や失敗の教訓は,毎日研究に勤しむ学生だけでなく,企業研究者にとっても,役に立つコトバに満ちあふれている.(引用:化学同人

対象

  • 化学で飯を食うことを志す人
  • 就職活動中の人
  • 大学生以上(内容の完全理解は大学院生以上が望ましい)
  • 一流の研究者を目指す人

内容

ついにでた!!待望の書籍「感動の瞬間シリーズ」(勝手にシリーズ化している)第二弾!第一弾である『化学者たちの感動の瞬間』は大学、つまり偉大な教授陣が感動した研究の発見物語を記したもの。それに対し、今回の第二弾は、企業研究者が対象である。世界中でしられている製品を作り上げた企業研究者の感動の瞬間を紹介している。

ちなみに第一弾は私にとってもバイブルそのもの(参考:化学の魅力を伝えるために)。昔はちょっと気分が落ち込んだときに覗いてみることが恒例になっていた(今は学部生に貸して、帰ってきません。そろそろ返してくれるとよいのだけど苦笑)。

内容は対象とする製品を、I. 医農薬 II. ファインケミカル・材料に分類し、34人(会社)の感動の瞬間を紹介している。研究者を紹介する前に、1ページ企業の紹介がある。世界で活躍する製品を生み出した化学・製薬会社だけに、掲載されている企業も一流企業ばかりだ。各企業の目標が1ことで述べられているが、ここには何も感じない。

記事は1つのストーリが4〜6ページほどで紹介されており大変読みやすい。そして、アツい!

「アツさ」は説明するものでもないのでぜひ閲覧して確認して欲しい。執筆している研究者も学生の時も含めてかなりブイブイいわせていた人が多く、よく知っている名前も多い。企業とか大学とか関係ない。優秀な研究者は一握りであるが、彼らが企業を支えているのだと感じさせる。

記事の中身は有機合成化学協会と日本プロセス化学会が企画、編集を行っただけに、基本的には(ないものもあります)構造式がふんだんに使われている。下記の例のようにかなり複雑化合物(医薬品)の合成の例も多い。

記事例(出典:化学同人)

 

余談となるが、正直って、内容のほとんどない一般向けの会社説明パンフレットつくり、特に中身の語らないカッコイイ言葉をならべるよりも、このような研究の話を紹介・配布したほうが100万倍よい。本当に合成化学が好きで、できる学生はその会社を選ぶはずだ。私は、こういう書籍を楽しそうに読む学生と一緒に研究をしたい。

以上、有機化学を主に、企業研究者になりたいならば(アカデミックであっても)絶対に自分の手に持っておきたい書籍である。今年一番のおすすめ本です。ぜひ購入してください。

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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