[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

フェン・チャン Feng Zhang

[スポンサーリンク]

フェン・チャン(Feng Zhang, 1982年xx月xx日(中国生)-)は、アメリカの生化学者、脳神経科学者である。マサチューセッツ工科大学、ブロード研究所、McGovern研究所 助教授。(写真:McGovern Institute


経歴

2004 ハーバード大学 卒業(Ziaowei Zhuang教授)
2009 スタンフォード大学 博士号取得(Karl Deisseroth教授)
2011- マサチューセッツ工科大学 助教授
2011- ブロード研究所
2011- McGovern研究所
2018- マサチューセッツ工科大学 教授

Editas Medicine社 Founder。

受賞歴

2018 Keio Prize
2018 Vilcek Prize for Creative Promise
2017 Lemelson-MIT Prize
2017 Albany Prize
2017 Blavatnik Award for Young Scientists
2015 Tsuneko & Reiji Okazaki Award
2016 Canada Gairdner International Award
2016 トムソンロイター引用栄誉賞
2014 Alan T. Waterman Award
2014 Jacob Heskel Gabbay Award in Biotechnology and Medicine
2013 MIT Technology Reviews’s TR3
2012 Perl-UNC Neuroscience Prize

研究概要

光遺伝学技術の開拓

Karl Disseroth研在籍時に、光感受性を有する古細菌型ロドプシンタンパクを神経細胞に導入することで、その挙動をミリ秒単位で光制御できることをEd Boydenと共同で示した[1]。この発明により、現在の光遺伝学(Optogenetics)研究[2]の爆発的普及のきっかけを作った。

ゲノム編集技術の開発

ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を開発。Emamnauelle CharpentierJennifer Doudnaの共同グループが2012年に本技術をScience誌に報告した一方、技術特許はZhangに与えられた。本件は現在も特許先取権を巡り係争中である。

その後、CharpentierおよびDoudnaが哺乳類細胞に用いた系を最適化することで、世界で初めてヒト細胞への適用可能性を実証した[3,4]。

2015年には、CRISPR/Cas9系より簡便にゲノム編集を行える可能性のある技術として、CRISPR/Cpf1系を開発した[5]。

press_release1604052

画像はこちらより引用

関連動画

関連文献

  1. “Millisecond-timescale, genetically targeted optical control of neural activity” Boyden, E. S. ; Zhang, F.; Bamberg, E.; Nagel, G.; Deisseroth, K. Nature Neurosci. 2005, 8, 1263. doi:10.1038/nn1525
  2. “Method of the Year 2010”. Nature Methods 2010, 8, 1. doi:10.1038/nmeth.f.321
  3. “Multiplex Genome Engineering Using CRISPR/Cas Systems” Cong, L.; Ran, F. A.; Cox, D.; Lin, S.; Barretto, R.; Habib, N.; Hsu, P. D.; Wu, X.; Jiang, W.; Marraffini, L. A.; Zhang, F. Science 2013, 339,819. doi:10.1126/science.1231143
  4. “DNA targeting specificity of RNA-guided Cas9 nucleases” Hsu, P. D.; Scott, D. A.; Weinstein, J. A.; Ran, F. A.; Konermann, S.; Agarwala, V.; Li, Y.; Fine, E. J.; Wu, X.; Shalem, O.; Cradick, T. J.; Marraffini, L. A.; Bao, G.; Zhang, F. Nature Biotechnol. 2013, 31, 827. doi:10.1038/nbt.2647
  5. “Cpf1 Is a Single RNA-Guided Endonuclease of a Class 2 CRISPR-Cas System” Zetsche, B.; Gootenberg, J. S.; Abudayyeh, O. O.; Slaymaker, I. M.; Makarova, K. S.; Essletzbichler, P.; Volz,S. E.; Joung, J.; van der Oost, J.; Regev, A.; Koonin, E. V.; Zhang, F. Cell 2015, 163, 739. DOI: 10.1016/j.cell.2015.09.038

関連書籍

[amazonjs asin=”4062883848″ locale=”JP” title=”ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書)”][amazonjs asin=”B01JA8EE0E” locale=”JP” title=”ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー”][amazonjs asin=”4758101906″ locale=”JP” title=”今すぐ始めるゲノム編集〜TALEN&CRISPR/Cas9の必須知識と実験プロトコール (実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ)”]

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. アーウィン・ローズ Irwin A. Rose
  2. ハーバート・ブラウン Herbert C. Brown
  3. 岩村 秀 Hiizu Iwamura
  4. 千田憲孝 Noritaka Chida
  5. マリア フリッツァニ-ステファノポウロス Maria Flytz…
  6. 中村 修二 Shuji Nakamura
  7. マックス・プランク Max Planck
  8. 林 雄二郎 Yujiro Hayashi

注目情報

ピックアップ記事

  1. マテリアルズ・インフォマティクス活用検討・テーマ発掘の進め方 -社内促進でつまずやすいポイントや解決策を解説-
  2. 有機合成化学協会誌2017年12月号:四ヨウ化チタン・高機能金属ナノクラスター・ジシリルベンゼン・超分子タンパク質・マンノペプチマイシンアグリコン
  3. 研究助成金を獲得する秘訣
  4. 海水から微量リチウムを抽出、濃縮できる電気化学セルを開発
  5. マンガでわかる かずのすけ式美肌化学のルール
  6. 改正 研究開発力強化法
  7. ヘキサン (hexane)
  8. 核酸医薬の物語2「アンチセンス核酸とRNA干渉薬」
  9. 有機合成化学協会誌2021年7月号:PoxIm・トリアルキルシリル基・金触媒・アンフィジノール3・効率的クリック標識法・標的タンパク質指向型天然物単離
  10. メチオニン選択的なタンパク質修飾反応

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年9月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

2024年の化学企業グローバル・トップ50

グローバル・トップ50をケムステニュースで取り上げるのは定番になっておりましたが、今年は忙しくて発表…

早稲田大学各務記念材料技術研究所「材研オープンセミナー」

早稲田大学各務記念材料技術研究所(以下材研)では、12月13日(金)に材研オープンセミナーを実施しま…

カーボンナノベルトを結晶溶媒で一直線に整列! – 超分子2層カーボンナノチューブの新しいボトムアップ合成へ –

第633回のスポットライトリサーチは、名古屋大学理学研究科有機化学グループで行われた成果で、井本 大…

第67回「1分子レベルの酵素活性を網羅的に解析し,疾患と関わる異常を見つける」小松徹 准教授

第67回目の研究者インタビューです! 今回は第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化す…

四置換アルケンのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応

四置換アルケンの位置選択的かつ立体選択的な触媒的ヒドロホウ素化が報告された。電子豊富なロジウム錯体と…

【12月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスのエステル化、エステル交換触媒としての利用

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

河村奈緒子 Naoko Komura

河村 奈緒子(こうむら なおこ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の有機化学者である。専門は糖鎖合…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP