[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

林 雄二郎 Yujiro Hayashi

林雄二郎(はやし ゆうじろう、1962年2月1日(群馬生まれ)-)は日本の有機化学者である。東北大学理学部教授。

経歴

1984 東京大学理学部 卒業 (向山光昭 教授)
1986 東京大学理学部 修士号取得(向山光昭 教授)
1987 東京大学理学部 助手
1992 博士号取得(奈良坂紘一 教授)
1994-1996 ハーバード大学 博士研究員(E.J.Corey教授)
1998 東京理科大学 助教授
2006 東京理科大学 教授
2012 東北大学理学部 教授

受賞歴

1998 日本化学会進歩賞
2008 有機合成化学協会 第一三共創薬有機合成賞
2010 日本化学会学術賞

研究概要

シロキシプロリン有機触媒の創製と各種複雑化合物合成への応用

ジアリールプロリノールシリルエーテルを有機触媒とする数々の不斉触媒反応を開発。Karl Anker Jorgensenと同時期に開発した[1]ため、俗に林-ヨルゲンセン触媒と呼称されている。また、開発された多種多様な化学反応をもちいた全合成研究も行っている。

2014-11-29_21-00-02
オセルタミビルの高効率合成[2]

インフルエンザ治療に用いられるノイラミニダーゼ阻害剤・オゼルタミビル(タミフル)を自ら開発したシロキシプロリン触媒を用いる画期的ルートにて短工程合成。現在はニトロアルケン原料から総収率60%でタミフルを合成することに成功している。2013年には全ての化学変換をワンポットで進行させるプロセス(総収率36%)を見いだしている(下図)。

pot_economy_1

ポットエコノミー概念の提唱[3]

各種化学合成をなるべく同一容器で行うことで精製・溶媒留去過程を削減し、化学合成の実用性を高める指針(ポットエコノミー)を提唱した。上述のオセルタミビル合成は、このポットエコノミー概念を体現した合成経路に仕上がっている。

関連論文

  1. “The Diarylprolinol Silyl Ether System: A General Organocatalyst” Jensen, K. L.; Dickmeiss, G.; Jiang, H.; Albrecht, L.; Jorgensen, K. A. Acc. Chem. Res. 2012, 45, 248. DOI: 10.1021/ar200149w
  2. (a) “High-Yielding Synthesis of the Anti-Influenza Neuramidase Inhibitor (-)-Oseltamivir by Three One-Pot Operations” Ishikawa, H.; Suzuki, T.; Hayashi, Y. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 1304. doi: 10.1002/anie.200804883 (b) “High-Yielding Synthesis of the Anti-Influenza Neuraminidase Inhibitor (-)-Oseltamivir by Two “One-Pot” Sequences” Ishikawa, H.; Suzuki,T.; Orita,H.; Uchimaru, T.; Hayashi, Y. Chem. Eur. J. 2010, 16, 12616. DOI: 10.1002/chem.201001108 (c) “One-Pot Synthesis of (−)-Oseltamivir and Mechanistic Insights into the Organocatalyzed Michael Reaction” Mukaiyama, T.; Ishikawa, H.; Koshino, H.; Hayashi, Y. Chem. Eur. J. 2013, 19, 17789. DOI: 10.1002/chem.201302371
  3. “Pot economy and one-pot synthesis” Hayashi, Y. Chem. Sci. 2016, 7, 866. DOI: 10.1039/c5sc02913a

関連リンク

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 稲垣伸二 Shinji Inagaki
  2. ジョン・トーソン Jon S. Thorson
  3. ジェレマイア・ジョンソン Jeremiah A. Johnson…
  4. 池田 菊苗 Kikunae Ikeda
  5. ネイサン・ネルソン Nathan Nelson
  6. Wen-Jing Xiao
  7. 硤合 憲三 Kenso Soai
  8. 京都賞―受賞化学者一覧

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ちょっとキレイにサンプル撮影
  2. グァンビン・ドン Guangbin Dong
  3. スクラウプ キノリン合成 Skraup Quinoline Synthesis
  4. 無金属、温和な条件下で多置換ピリジンを構築する
  5. 有機合成化学協会誌10月号:不飽和脂肪酸代謝産物・フタロシアニン・トリアジン・アルカロイド・有機結晶
  6. 中国へ講演旅行へいってきました①
  7. 香りで女性のイライラ解消 長崎大が発見、製品化も
  8. アメリカの大学院で学ぶ「提案力」
  9. アフリカの化学ってどうよ?
  10. 米社が液晶パネルのバックライトにカーボン・ナノチューブを採用

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2018年8月号:触媒的不斉全合成・分子ローター型蛍光核酸・インドロキナゾリンアルカロイド・非対称化・アズレン・ヒドラゾン-パラジウム触媒

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2018年8月号がオンライン公開されました。今…

Noah Z. Burns ノア・バーンズ

ノア・バーンズ(Noah Z. Burns、19xx年x月xx日-)は、米国の有機合成化学者である。…

結晶データの登録・検索サービス(Access Structures&Deposit Structures)が公開

ケンブリッジ結晶学データセンターとFIZ Karlsruhe は,無償で利用できる結晶データの登録・…

可視光で芳香環を立体選択的に壊す

キラルルイス酸光触媒を用いた不斉脱芳香族的付加環化反応が開発された。ヘテロ芳香環の芳香族性を壊しなが…

科学とは「世界中で共有できるワクワクの源」! 2018年度ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞

2018年7月18日、フランス大使公邸にて2018年度ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞の授賞…

クリストフ・レーダー Christoph Rader

クリストフ・レーダー(Christoph Rader、19xx年x月xx日-)は、米国の生化学者・分…

PAGE TOP