[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

エドウィン・サザン Edwin M. Southern

[スポンサーリンク]

エドウィン・サザン(Edwin M. Southern;1938年6月7日-)は、イギリスの分子生物学者である。オックスフォード大学名誉教授。DNA型鑑定の元となるサザンブロッティング法の開発、DNAマイクロアレイの基礎技術の開発で知られる。

経歴

1958マンチェスター大学化学科 卒業
1962 グラスゴー大学 博士号取得(化学)
1963 ARC Low Temperature Research Station, Cambridge 研究員
1967 MRC Mammalian Genome Unit, Edinburgh 研究員
1980-85 MRC Mammalian Genome Unit, Edinburgh 所長
1980-85 MRC Clinical and Population Cytogenetics Unit 副所長
1985-1991 オックスフォード大学生化学科 学科長
2005 オックスフォード大学 名誉教授

受賞歴

1979 Lilley Fellow, Woods Hole Laboratory
1981 Biochemical Society BDH Gold Medal for Analytical Biochemistry
1983 王立協会フェロー
1984 Analytica Prize(ドイツ生化学会)
1986 Herbert A. Sober Memorial Lectureship(アメリカ生化学会)
1988アメリカ芸術科学アカデミー Foreign Member
1989 IBM Europe Prize for Science and Technology
1990 ガードナー国際賞
1994 Miami Symposium Special Achievement Award
1998 ロンドン王立協会 ロイヤルメダル
1999 CMB-Roche Award
1999 American Association for Molecular Pathology Award for Excellence in Molecular Diagnostics
2003 英国勲爵士
2002 Sir Frederick Gowland Hopkins medal of the Biochemical Society
2005 ラスカー・ドゥベーキー臨床医学研究賞
2005 ABRF Award(Association of Biomolecular Resource Facilities, USA)
2012 エディンバラ王立協会フェロー
2019 クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞

研究業績

サザンブロッティング法の開発

1970年代、Southern教授は、異なる塩基配列を持つ様々な二重らせんDNAの混合溶液から、特定の塩基配列の有無を確認できるサザンブロッティングと呼ばれる手法を開発した。

図1. サザンブロッティング法。

この手法では、まずアガロースゲル電気泳動によって、DNAを長さに応じて分離する。次に、得られたゲルを強塩基溶液に浸し、二本鎖DNAを一本鎖へと乖離する。その後、ニトロセルロース膜などの転写膜をゲルに押し付け、毛細管現象によってDNA分子を膜へ転写する。得られた膜に対し、放射性同位体や酵素などで標識した一本鎖DNAプローブを添加することで、プローブのDNA配列に適合するDNAを特異的に検出することができる。

サザンブロッティング法は、複雑な生物のゲノム中に存在する特定のDNAを検出することを初めて可能にした手法であり、生物学研究のみならずDNA鑑定やゲノムマッピング、遺伝病診断などにも広く応用されている。

DNAマイクロアレイの開発

Southern教授のもう一つの重要な功績は、DNAマイクロアレイの基礎技術の開発である。1980年代後半、Southern教授はガラス基板上にin situでオリゴヌクレオチドを合成し、DNA相互作用の検出を行う手法を報告した。基板上に異なる配列のDNAを多数合成し、その後parallelなハイブリダイゼーションによってDNA相互作用の検出を行うという手法は、その後Affymetrix社やスタンフォード大学のPatrick Brown教授によって開発された高密度DNAマイクロアレイの原型となった。

図2. Southern教授らによる、DNAマイクロアレイ。

名言集

 

コメント&その他

1973年にサザンブロッティング法を発明したSouthern教授は、その手法をJournal of Molecular Biologyに投稿したが、メソッドが中心の論文であったため受理されなかった。しかし、Southern教授は、論文未発表のその手法を他の研究者にも気兼ねなく公開し、特許を取得することなく普及させた。一方、DNAマイクロアレイに関しては、知的財産権に対する世の中の認識が変化したという背景もあり、1988年に特許を取得している。

関連動画

 

関連文献

  1. Moskos, U.; Southern, E. M. Nucleaic Acids Res. 1992, 20, 1675. DOI: 10.1093/nar/20.7.1675
  2. Southern, E. M.; Moskos, U.; Elder, J. K. Genomics 1997, 13, 1008. DOI: 10.1016/0888-7543(92)90014-J

関連リンク

Avatar photo

kanako

投稿者の記事一覧

アメリカの製薬企業の研究員。抗体をベースにした薬の開発を行なっている。
就職前は、アメリカの大学院にて化学のPhDを取得。専門はタンパク工学・ケミカルバイオロジー・高分子化学。

関連記事

  1. デミス・ハサビス Demis Hassabis
  2. 下村 脩 Osamu Shimomura
  3. 森本 正和 Masakazu Morimoto
  4. 村井 眞二 Shinji Murai
  5. 砂塚 敏明 Toshiaki Sunazuka
  6. フランシス・アーノルド Frances H. Arnold
  7. 寺崎 治 Osamu Terasaki
  8. フランク・グローリアス Frank Glorius

注目情報

ピックアップ記事

  1. 超原子価ヨウ素試薬PIFAで芳香族アミドをヒドロキシ化
  2. 「さびない鉄」産業界熱視線
  3. ビシュラー・メーラウ インドール合成 Bischler-Mohlau Indole Synthesis
  4. トロスト不斉アリル位アルキル化反応 Trost Asymmetric Allylic Alkylation
  5. ケムステスタッフ徹底紹介!
  6. 犬の「肥満治療薬」を認可=米食品医薬品局
  7. SPring-8って何?(初級編)
  8. 酵素の真実!?
  9. 学振申請書を磨き上げる11のポイント [文章編・後編]
  10. 「原子」が見えた! なんと一眼レフで撮影に成功

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年10月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

第6回鈴木章賞授賞式&第10回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学、情報科学、実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

海外ポスドクのオファーをもらう【アメリカで Ph.D. を取る: 進路編】

ポスドクとして海外に留学する場合、希望する研究室の教授に直接連絡を取り、面接などを通して適性を判断さ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP