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マティアス・クリストマン Mathias Christmann

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マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10月17日生まれ)は、ドイツの有機化学者である。ベルリン自由大学 教授。(写真:Christmann Group

経歴

  • 1998年:ブラウンシュヴァイク工科大学 卒業
  • 2001年:ハノーファー大学 博士号(Dr. rer. nat.)取得 (マルティン・カレス教授)
  • 2001年~2002年:ミネソタ大学 博士研究員(C.J.フォーサイス教授)
  • 2003年~2007年:アーヘン工科大学 ハビリタント(独立研究者)
  • 2008年~2013年:ドルトムント工科大学 准教授(W2)
  • 2013年~:ベルリン自由大学 教授(W3)

受賞歴

  • 2003年:ドイツ化学工業基金(Fonds der Chemischen Industrie)リービッヒ奨励賞
  • 2009年:ドイツ化学工業基金 教員奨励賞。
  • 2012年:DECHEMA天然物研究 若手科学者賞
  • 2013年:カール・ドゥイスベルク記念賞

研究業績

クリストマン教授は、有機合成化学、特に天然物合成や有機分子触媒の分野で顕著な業績を上げています。複雑な分子構造を最小限の合成ステップで構築する戦略と手法の開発に焦点を当てており、新しい有機触媒の開発や反応機構の解明、持続可能な化学プロセスの推進に寄与しています。

天然物合成化学

生物学的に重要な分子の全合成に取り組んでいます。炭素-炭素結合形成の最小化が主要な戦略テーマであり、大きな(テルペン系)ビルディングブロックの選択的官能基化にも注力しています。このアプローチは、テロメラーゼ阻害剤UCS1025A、RNAポリメラーゼ阻害剤リポスタチンB、腎臓癌細胞株に対して高い選択性を示すグアイアンスセスキテルペノイドのエングレリンAの合成で試みられています。

方法論開発

標的分子内の部分構造への合成経路を短縮する新規化学変換の開発行っています。特に、全合成における有機分子触媒反応の使用、とりわけ、電子豊富なジエナミン中間体としての反応性を研究しています。

再生可能資源の触媒的変換

シトロネラール、ゲラニルおよびネリルアセテート、ネペタラクトンなどの単純なバルクテルペンを使用して、酸化、有機分子触媒反応、ヒドロホルミル化などの金属触媒反応を用いて炭素骨格を効率的に修飾する方法を見出しています。

 

名言集

 

コメント&その他

  • 学会活動にも積極的であり、ドイツ化学会(GDCh)のドルトムント支部長(2012-2013年)や、学術誌『Tetrahedron』の編集委員(2013年以降)を務めています。

関連動画

 

関連文献

  1. Marques-López, E.; Herrera, R. P.; Christmann, M. “Asymmetric Organocatalysis in Total Synthesis–A Trial by Fire.” Nat. Prod. Rep. 2010, 27, 1138. DOI:10.1039/B924964H
  2. de Figueiredo, R. M.; Christmann, M. “Organocatalytic Synthesis of Drugs and Bioactive Natural Products.” Eur. J. Org. Chem. 2007, 2007 (16), 2575–2600. DOI:10.1002/ejoc.200700032
  3. Vaxelaire, C.; Winter, P.; Christmann, M. “One-Pot Reactions Accelerate the Synthesis of Active Pharmaceutical Ingredients.” Angew. Chem., Int. Ed. 2011, 50 (16), 3605–3607. DOI: 10.1002/anie.201100059

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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