[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

辻 二郎 Jiro Tsuji

[スポンサーリンク]

 

辻 二郎(つじ じろう、1927年5月11日-2022年4月1日)は、日本の有機化学者である。東京工業大学名誉教授。

経歴

1951京都大学理学部卒業
1962-1974 東レ株式会社 基礎研究所
1974-1988 東京工業大学 工学部
1988-1998 岡山理科大学 工学部
1998-1999 倉敷芸術科学大学 産業科学技術学部
19xx 東京工業大学名誉教授

 

受賞歴

1980 日本化学会賞
1998 有機合成化学協会 特別賞
2004 日本学士院賞
2014 Tetrahedron Prize

 

研究概要

パラジウム触媒を用いた炭素-炭素結合生成反応の開発

遷移金属触媒を用いた合成反応を多数開発している。パラジウム触媒を使用する反応の初期開拓を行ったことで特に有名。カルボニル挿入を伴うクロスカップリングや、π-アリルパラジウム中間体を介する触媒的アリル位置換反応を開発している。特に後者は辻-Trost反応という人名反応として知られており、現在でも世界中の合成化学者に広く用いられる反応となっている。

tsuji_trost_1.gif
辻-Trost反応

名言集

「カップリング反応の配位子は”Bulky and electron rich”」と塩化アリールでの鈴木カップリング反応が進行し始めた当時盛んにいってらっしゃったのを覚えている。

 

関連動画

 

コメント&その他

  1. 講演を昔聴いたことがありますが、非常にわかりやすく、化学に対する熱意が伝わってきました。すばらしい先生だと思います。
  2. パラジウムを用いた有機金属化学の祖であり、ノーベル化学賞候補者にも毎回名を連ねている。その場合、辻、Trost、鈴木章の3人で受賞する可能性が高い。[追記]2010年のノーベル化学賞がパラジウム触媒を用いたカップリング反応の開発に決まり、Heck・根岸・鈴木の3名が受賞しました。その結果パラジウムを有機合成に用いた辻先生のノーベル賞受賞は限りなく薄くなりました。しかしこのノーベル賞受賞に関して夜明け前で活躍した開拓者であることは疑いありません。

関連文献

  1. Tsuji, J. et al. Tetrahedron. Lett. 1965, 4387.

 

関連書籍

[amazonjs asin=”480790681X” locale=”JP” title=”有機合成のための遷移金属触媒反応”][amazonjs asin=”4759802231″ locale=”JP” title=”有機合成を変えた遷移金属―その基本的理解と活用法”][amazonjs asin=”475980790X” locale=”JP” title=”遷移金属が拓く有機合成―その多彩な反応形式と最新の成果”][amazonjs asin=”0470850329″ locale=”JP” title=”Palladium Reagents and Catalysts: New Perspectives for the 21st Century”][amazonjs asin=”0444501975″ locale=”JP” title=”Perspectives in Organopalladium Chemistry for the 21st Century”][amazonjs asin=”0471972029″ locale=”JP” title=”Palladium Reagents and Catalysts: Innovations in Organic Synthesis”][amazonjs asin=”0471560278″ locale=”JP” title=”Transition Metal Reagents and Catalysts: Innovations in Organic Synthesis”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. クラウス・ビーマン Klaus Biemann
  2. 高知和夫 J. K. Kochi
  3. マット・シグマン Matthew S. Sigman
  4. ジョン・アンソニー・ポープル Sir John Anthony …
  5. スチュアート・シュライバー Stuart L. Schreibe…
  6. チャンパック・チャッタージー Champak Chatterj…
  7. グレッグ・バーダイン Gregory L. Verdine
  8. 真鍋良幸 Manabe Yoshiyuki

注目情報

ピックアップ記事

  1. #おうち時間を充実させるオンライン講義紹介 ーナノテクー
  2. 劉 龍 Ryong Ryoo
  3. わずか6工程でストリキニーネを全合成!!
  4. プレヴォスト/ウッドワード ジヒドロキシル化反応 Prevost/Woodward Dihydroxylation
  5. 有機合成テクニック集[ケムステ版]
  6. Ru触媒で異なるアルキン同士をantiで付加させる
  7. 市民公開講座 ~驚きのかがく~
  8. 2011年10大化学ニュース【前編】
  9. クレーンケ ピリジン合成 Kröhnke Pyridine Synthesis
  10. ペプチドの革新的合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP