[スポンサーリンク]

ケムステニュース

製薬各社 2010年度 第3四半期決算を発表

[スポンサーリンク]

 

国内製薬大手各社の第3四半期決算が出揃いましたのでお知らせします。この3ヶ月の大きな出来事といえば、大塚製薬の株式上場、エーザイのハラベン上市と米国アリセプト特許切れなどが上げられます。また、各社とも円高による為替損が相変わらず続いており売り上げを目減りさせています。

武田薬品 減収減益

売上高は前年同期比4.2%減の1兆811億円。営業利益は6.7%減の3325億円。純利益は16.8%減の2155億円で前の期に引き続き減収減益となった。米国でジェネリックの侵食を喰らう抗潰瘍薬タケプロンが前年同期比40.6%減となり売り上げを押し下げている。主力のアクトスは0.7%増の2930億円と堅調。ベルケイドも12.9%増の381億円を売り上げた。通期予想に変更はなく売上高前年比4.5%減の1兆4000億円を目指す。我慢の時期がもうしばらく続きます。

 

第一三共 増収増益

売上高は前年同期比3.1%増の7481億円。営業利益は33.9%増の1206億円。純利益は103%増の797億円で大幅増益となった。なんといってもインドランバクシーが売り上げ利益共に大きく貢献したことが大きい。最初はドタバタしていましたが、よい会社を買収したかもしれませんね。主力のオルメテックが3.8%増の1868億円と堅調に伸びている。第一三共ヘルスケアからは誰もが一度は処方された経験があるはずのロキソニンがOTC医薬品(ドラッグストアで買える医薬品)として新発売されました。OTC解熱鎮痛剤の新たな選択肢となります。本業の処方薬の状況ですが、抗凝固薬エフィエンとがいけてません。通期売り上げ予想を150億円下方修正しました。逆に利益面の予想は上方修正しています。研究開発費の消化が次期にずれこむことが主な理由みたいです。

 

アステラス 減収減益

売上高は前年同期比5.0%減の7343億円。営業利益は33.7%減の1211億円。純利益は31.8%減の792億円だった。第一三共とほとんど数字が同じですね。OSIファーマシューティカルズの買収に伴う経費を計上したことから大幅なマイナスでした。主力のプログラフは米国で後発品に半分のシェアを奪われ15.4%減の1250億円となった。現在ある茨城県つくば市の研究所のすぐ横に新しい研究棟を建設中です。通期予想の変更はありません。

 

エーザイ 増収増益

売上高は前年同期比1.6%増の6139億円。営業利益は28.7%増の1094億円。純利益は24.9%増の674億円と大幅増益した。主力のアリセプトはグローバルで4.2%増の2476億円を売り上げた。昨年11月末に米国でアリセプトの特許が切れたが、現時点ではさほど影響は出ていない模様。期待の新薬ハラベンは販売開始後1ヶ月で4億円を売り上げた。アメリカでの価格は1mgのバイヤル瓶一つで850ドルだそうだ。適応追加などで売り上げピーク2000億円/年を目指す。通期見通しはアリセプトの後発品侵食が予想以上なのか?売り上げを250億円も下方修正した。利益面の予想は据え置いた。

 

関連会社

[amazonjs asin=”4492071083″ locale=”JP” title=”1秒でわかる!医薬品業界ハンドブック”]
Avatar photo

matsumoto

投稿者の記事一覧

修士(工学)。学生時代は有機合成・天然物合成に従事し、現在は某製 薬メーカー合成研究員。

関連記事

  1. 紅麹問題に進展。混入物質を「プベルル酸」と特定か!?
  2. カラス不審死シアノホス検出:鳥インフルではなし
  3. セントラル硝子、工程ノウハウも発明報奨制度対象に
  4. 青色LED和解:中村教授「日本の司法制度は腐ってる」
  5. SchultzとKay: 米スクリプス研究所のトップへ
  6. 有機化合物合成中に発火、理化学研が半焼--仙台 /宮城
  7. 痛風薬「フェブキソスタット」の米国売上高が好発進
  8. 大型期待の認知症薬「承認申請数年遅れる」 第一製薬

注目情報

ピックアップ記事

  1. 石油・化学プラントのスマート保安推進に向けて官民アクションプランを策定
  2. たるんだ肌を若返らせる薄膜
  3. 第3のフラッシュ自動精製装置がアップグレード:分取クロマトグラフィーシステムPure
  4. 大鵬薬品、米社から日本での抗癌剤「アブラキサン」の開発・販売権を取得
  5. 創薬におけるPAINSとしての三環性テトラヒドロキノリン類
  6. リチャード・シュロック Richard R. Schrock
  7. 除虫菊に含まれる生理活性成分の生合成酵素を単離
  8. アンリ・カガン Henri B. Kagan
  9. 【書籍】液晶の歴史
  10. 有機・高分子合成における脱”レアメタル”触媒の開発動向

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年2月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28  

注目情報

最新記事

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

開催日時 2024.09.11 15:00-16:00 申込みはこちら開催概要持続可能な…

第18回 Student Grant Award 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク会議(略称:JAC…

杉安和憲 SUGIYASU Kazunori

杉安和憲(SUGIYASU Kazunori, 1977年10月4日〜)は、超分…

化学コミュニケーション賞2024、候補者募集中!

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立した賞です。「化学・化学技術」に対する社会…

相良剛光 SAGARA Yoshimitsu

相良剛光(Yoshimitsu Sagara, 1981年-)は、光機能性超分子…

光化学と私たちの生活そして未来技術へ

はじめに光化学は、エネルギー的に安定な基底状態から不安定な光励起状態への光吸収か…

「可視光アンテナ配位子」でサマリウム還元剤を触媒化

第626回のスポットライトリサーチは、千葉大学国際高等研究基幹・大学院薬学研究院(根本研究室)・栗原…

平井健二 HIRAI Kenji

平井 健二(ひらい けんじ)は、日本の化学者である。専門は、材料化学、光科学。2017年より…

Cu(I) の構造制御による π 逆供与の調節【低圧室温水素貯蔵への一歩】

2024年 Long らは、金属有機構造体中の配位不飽和な三配位銅(I)イオンの幾何構造を系統的に調…

可視光活性な分子内Frustrated Lewis Pairを鍵中間体とする多機能ボリルチオフェノール触媒の開発

第 625 回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院 工学研究科 有機・高…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP