[スポンサーリンク]

ケムステニュース

住友化学、硫安フリーのラクタム製法でものづくり大賞

[スポンサーリンク]

ナイロン6 住友化学は3日、経済産業省から第1回経済産業大臣表彰「ものづくり日本大賞」を受賞する。受賞対象は画期的なプロセスの開発とその商業運転を開始した「硫安フリーのカプロラクタムプロセス開発とその工業化」。ナイロン6原料のカプロラクタムは、従来のプロセスでは大量の硫安(アンモニウム)が副生するだけでなく、副原料製造・硫安回収のための多大な設備が必要で、設備投資額が膨大だった。また、製造工程が長く多くの運転員も必要だった。 (引用:化学工業日報


ナイロン6(NYLON-6)はカプロラクタムから作るわけですが、このカプロラクタムを合成する際、ベンゼンを出発原料とし、シクロヘキサノンを経由して、シクロヘキサノンオキシムを液相でベックマン転位(Beckmann 転位)して製造する製法が主流となっています。この合成の際、ラクタムの数倍の硫安が副成し、これが問題となっています。


そこで、新プロセスではシクロヘキサノンに新規に開発したTS-1(MFI 型チタノケイ酸ゼオライト)触媒下アンモニアと過酸化水素を作用させることによりオキシムを合成し、さらにMFIゼオライトを作用させることでベックマン転位を進行させます。これによって硫酸を用いないため硫安が生成することがないそうです


カプロラクタムの合成


 


 


 

関連ニュース

三菱化学、来年3月にナイロン原料の外販事業から撤退=事業環境悪化で(2004.12.4)

関連書籍 


ナイロンの発見

関連リンク

住友化学 研究開発 研究開発論文 最新研究論文

ポリアミド系樹脂

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ビタミンDで肺ガンの生存率が上がる?
  2. 経営統合のJXTGホールディングスが始動
  3. カネカ 日本の化学会社初のグリーンボンドを発行
  4. 後発医薬品、相次ぎ発売・特許切れ好機に
  5. アラン・マクダイアミッド氏死去
  6. 令和元年度 のPRTR データが公表~第一種指定化学物質の排出量…
  7. 海洋生物の接着メカニズムにヒントを得て超強力な水中接着剤を開発
  8. AIで世界最高精度のNMR化学シフト予測を達成

注目情報

ピックアップ記事

  1. Imaging MS イメージングマス
  2. 野依記念物質科学研究館
  3. 第40回ケムステVシンポ「クリーンエネルギーの未来を拓く:次世代電池と人工光合成の最新動向」を開催します!
  4. 総合化学大手5社の前期、4社が経常減益
  5. 被ばく少ない造影剤開発 PETがん診断に応用へ
  6. リンダウ会議に行ってきた③
  7. 最も引用された論文
  8. L-RAD:未活用の研究アイデアの有効利用に
  9. 有望ヘリウム田を発見!? ヘリウム不足解消への希望
  10. アメリカ大学院留学:実験TAと成績評価の裏側

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年8月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP