[スポンサーリンク]

ケムステニュース

エーザイ、米国で抗てんかん剤「Banzel」(ルフィナミド)の小児適応の承認取得

[スポンサーリンク]

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、米国子会社であるエーザイ・インクが、抗てんかん剤「Banzel(R)」(一般名:ルフィナミド)に関する小児適応の追加申請について、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)より承認を取得したことをお知らせします。
今回の承認により、これまでの適応症である「4歳以上の小児および成人における、レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut Syndrome:LGS)に伴うてんかん発作の併用療法」に、1~3歳までの小児患者様への適応が追加されました。

今回の追加適応症の承認は、1~3歳のLGS患者様を対象にした「Banzel」と既存の抗てんかん薬を比較対照とした上乗せ治療の臨床第III相試験(303試験)の中間解析に基づくものです。本試験における「Banzel」の薬物動態と安全性のプロファイルが、4歳以上の患者様を対象にしたこれまでの臨床試験結果と整合性があることが確認されました。また、「Banzel」投与群で確認された主な副作用は、嘔吐および眠気でした。

本臨床データは、FDAからの小児臨床試験実施要請書(Written Request)の要件を満たしていることが認められ、本剤の米国における特許期間は6カ月間延長され、最長で2023年5月まで存続します。(引用:日経プレスリリース 2015年2月16日)

 

ルフィナミドは上図にあるようなトリアゾール環を有した構造をもった医薬品です。日本ではイノベロン、海外ではBanzelという名前で発売されています。抗てんかん薬はドラッグ・ラグ(drug lag)と呼ばれる、日本特有の海外に比べて薬の承認にタイムラグが多い薬です。

このルフィナミドも欧州では2007年、米国では2008年に承認されていましたが、日本では2013年3月と5年のタイムラグの後、承認されました。これ以前に発売されている抗てんかん薬のなかではなんと18年も日本と海外のドラッグ・ラグがあったものもあるようです。

現在日本で発売されている抗てんかん薬は約20種類ほど。ルフィナミドは「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないLennox-Gastaut症候群における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法」として使用が認められているのみです。

さて、現在エーザイではファースト・イン・クラス(画期的医薬品)の抗てんかん薬として「ペランパネル」の日本での承認申請に向けたフェーズIII試験が進められています。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、ベランパネルは、シナプス後AMPA受容体のグルタミン酸による活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択的、非競合AMPA受容体拮抗剤です。この薬も欧米ではすでに2012年に承認されFycompa®として発売されています。臨床試験を経て承認を取れ次第発売となりますが、、できるだけドラッグ・ラグのないように発売されるとよいですね。

 

2015-02-18_22-06-47

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4787819224″ locale=”JP” title=”プライマリ・ケアのための新規抗てんかん薬マスターブック”][amazonjs asin=”452173698X” locale=”JP” title=”子どものけいれん・てんかん 見つけ方・見分け方から治療戦略へ”]
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. スイス連邦工科大ジーベーガー教授2007年ケーバー賞を受賞
  2. 京大融合研、産学連携で有機発光トランジスタを開発
  3. 富士フイルムが医薬事業に本格参入
  4. UBEの新TVCM『ストーリーを変える、ケミストリー』篇、放映開…
  5. 猛毒キノコ「カエンタケ」が各地で発見。その有毒成分とは?
  6. 秋の褒章2013-化学
  7. ノーベル化学賞、米・イスラエルの3氏に授与
  8. 抗精神病薬として初めての口腔内崩壊錠が登場

注目情報

ピックアップ記事

  1. バリー・ハリウェル Barry Halliwell
  2. gem-ジフルオロアルケンの新奇合成法
  3. AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?
  4. 反応機構を書いてみよう!~電子の矢印講座・その1~
  5. 材料開発における生成AIの活用方法
  6. クノール キノリン合成 Knorr Quinoline Synthesis
  7. ウルツ反応 Wurtz Reaction
  8. Carl Boschの人生 その6
  9. 分子研 大学院説明会・体験入学説明会 参加登録受付中!
  10. 第39回「発光ナノ粒子を用いる生物イメージング」Frank van Veggel教授

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年2月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
232425262728  

注目情報

最新記事

第69回「見えないものを見えるようにする」野々山貴行准教授

第69回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

第68回「表面・界面の科学からバイオセラミックスの未来に輝きを」多賀谷 基博 准教授

第68回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

配座制御が鍵!(–)-Rauvomine Bの全合成

シクロプロパン環をもつインドールアルカロイド(–)-rauvomine Bの初の全合成が達成された。…

岩田浩明 Hiroaki IWATA

岩田浩明(いわたひろあき)は、日本のデータサイエンティスト・計算科学者である。鳥取大学医学部 教授。…

人羅勇気 Yuki HITORA

人羅 勇気(ひとら ゆうき, 1987年5月3日-)は、日本の化学者である。熊本大学大学院生命科学研…

榊原康文 Yasubumi SAKAKIBARA

榊原康文(Yasubumi Sakakibara, 1960年5月13日-)は、日本の生命情報科学者…

遺伝子の転写調節因子LmrRの疎水性ポケットを利用した有機触媒反応

こんにちは,熊葛です!研究の面白さの一つに,異なる分野の研究結果を利用することが挙げられるかと思いま…

新規チオ酢酸カリウム基を利用した高速エポキシ開環反応のはなし

Tshozoです。最近エポキシ系材料を使うことになり色々勉強しておりましたところ、これまで関連記…

第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り拓く次世代型材料機能」を開催します!

続けてのケムステVシンポの会告です! 本記事は、第52回ケムステVシンポジウムの開催告知です!…

2024年ノーベル化学賞ケムステ予想当選者発表!

大変長らくお待たせしました! 2024年ノーベル化学賞予想の結果発表です!2…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP