[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第36回 生体を模倣する化学― Simon Webb教授

[スポンサーリンク]

第36回の海外化学者インタビューは、サイモン・ウェブ教授です。イギリスのマンチェスター大学の化学科に所属しており、生物学的システム、特に生体膜の構造や機能を模倣する化学を研究しています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

実のところ、僕は若い時から科学者になりたいと思っていて、動物学や物理学に興味がありました。しかし、私の父の影響で、興味が化学に変わったのです。彼は私に化学の本と大きな硫黄の袋を買って、倉庫から出てくる有害な蒸気には見て見ぬ振りをしていました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

他の2つの分野に興味があります。私は読書が好きなので、本屋を経営することは常に魅力的な案でした。これも父の影響ですが、様々な小さなビジネスを行うことにも魅力を感じました。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

化学の貢献は予期せぬ領域から来ると確信しているので、研究の多様性は不可欠です。しかし、人間の健康と寿命の改善が社会の第一の関心事であり続けるでしょう。細胞化学に関する知識の急速な増加は、この分野における化学者にとって大きなチャンスをもたらします。高齢化社会のために、新しいクラスの高度に特異的な薬物や生体材料を作り出す必要があります。最後に、一般人の科学への理解と認識を深めることは、化学者を含むすべての科学者にとって大きな課題です。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

アーネスト・ラザフォードが南マンチェスターで近くに住んでいたことを最近知って以来、彼の人生に興味を持っています。ニュージーランドの小さな町の住人から現代の偉大な研究者の一人に変わっていったことについて、彼がどのように感じたかを知りたいです。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

残念ながら、私は研究室で頻繁に作業する機会があまりありません。本当に惜しいです。私は約3ヶ月前に最後の実験を行い、学校のイベントのために提案した実験手順をテストしました。失われかけた実験技術を限界まで振り絞って、数グラムの炭酸銅を合成しました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

私は70年代のディスコ・ヒットの集大成である「Discofreakout」と一緒に、おそらく古代ローマについてのぶ厚い歴史書を持っていきます。本を読み終えたら、渡し船を引き付けるために本を燃やすと思います。

原文:Reactions – Simon Webb

※このインタビューは2007年10月26日に公開されました。

Orthogonene

投稿者の記事一覧

有機合成を専門にするシカゴ大学化学科PhD3年生です。
趣味はスポーツ(器械体操・筋トレ・ランニング)と読書です。
ゆくゆくはアメリカで教授になって活躍するため、日々精進中です。

http://donggroup-sites.uchicago.edu/

関連記事

  1. 第71回「分子制御で楽しく固体化学を開拓する」林正太郎教授
  2. 第44回―「N-ヘテロ環状カルベン錯体を用いる均一系触媒開発」S…
  3. 第21回「有機化学で生命現象を理解し、生体反応を制御する」深瀬 …
  4. 第47回「目指すは究極の“物質使い”」前田和彦 准教授
  5. 反応化学と生命科学の融合で新たなチャレンジへ【ケムステ×Hey!…
  6. 第45回―「ナノ材料の設計と合成、デバイスの医療応用」Youna…
  7. 第30回「化学研究の成果とワクワク感を子供たちにも伝えたい」 玉…
  8. 第147回―「カリックスアレーンを用いる集合体の創製」Tony …

注目情報

ピックアップ記事

  1. クリンコヴィッチ反応 Kulinkovich Reaction
  2. 砂糖水からモルヒネ?
  3. CO2が原料!?不活性アルケンのアリールカルボキシ化反応の開発
  4. クライゼン転位 Claisen Rearrangement
  5. 第89回―「タンパク質間相互作用阻害や自己集積を生み出す低分子」Andrew Wilson教授
  6. 第七回 生命を化学する-非ワトソン・クリックの世界を覗く! ー杉本直己教授
  7. Nanomaterials: An Introduction to Synthesis, Properties and Applications, 2nd Edition
  8. 有機反応を俯瞰する ー縮合反応
  9. ヒドロシリル化反応 Hydrosilylation
  10. AIで世界最高精度のNMR化学シフト予測を達成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年4月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

【11月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:アクリル含浸樹脂 ビステックスシリーズのご紹介

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物の“オルガチッ…

【日産化学 27卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で12領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

hERG阻害 –致死性副作用をもたらす創薬の大敵–

創薬の臨床試験段階において、予期せぬ有害事象 (または副作用) の発生は、数十億円以…

久保田 浩司 Koji Kubota

久保田 浩司(Koji Kubota, 1989年4月2日-)は、日本の有機合成化学者である。北海道…

ACS Publications主催 創薬企業フォーラム開催のお知らせ Frontiers of Drug Discovery in Japan: ACS Industrial Forum 2025

日時2025年12月5日(金)13:00~17:45会場大阪大学産業科学研究所 管理棟 …

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2027卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

欧米化学メーカーのR&D戦略について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、欧米化…

有馬温泉でラドン泉の放射線量を計算してみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉は、日本の温泉で最も高い塩分濃度を持ち黄褐色を呈する金泉と二酸化炭素と放射性のラドンを含んだ…

アミンホウ素を「くっつける」・「つかう」 ~ポリフルオロアレーンの光触媒的C–Fホウ素化反応と鈴木・宮浦カップリングの開発~

第684回のスポットライトリサーチは、名古屋工業大学大学院工学研究科(中村研究室)安川直樹 助教と修…

第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」を開催します!

第56回ケムステVシンポの会告を致します。3年前(32回)・2年前(41回)・昨年(49回)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP