[スポンサーリンク]

ケムステニュース

免疫系に捕そくされない超微粒子の薬剤

[スポンサーリンク]

デキサメタゾン きわめて小さな微粒子「ナノ粒子」を用いたステルスナノ粒子(stealth nano particles)」と呼ばれる薬剤が、将来、腫瘍細胞へのターゲット療法や体内の特異部位に送達させるドラッグデリバリー療法に用いられるかもしれない。

 米ペンシルベニア州立大学の研究者らは、ナノ単位の超微粒状態で、ポリマー製のナノシェルに内包した製剤を開発した。作製された薬剤は、乳癌(がん)治療に用いられるパクリタキセルおよび眼の炎症治療に用いられるステロイド薬のデキサメタゾン。

 これらナノシェルを細胞培養で検討したところ、24時間後に標的領域に残存していた薬剤は、カプセルに内包していない薬剤よりも少なかった。(引用:
Dr.赤ひげ.com


ステルス(stealth)とは知っているものでいうとステルス戦闘機やステルス爆弾などがよくあげられ、なんとなく戦争関連の用語に聞こえますが、”見えない,隠れる”などの意味があり、ステルス戦闘機でいえば、レーダーに探知されにくくした戦闘機のことです。


それでは今回の”ステルスナノ粒子(stealth nanoparticles)”はというと肝臓などの薬剤が臓器で吸収されないように”隠す、回避する”ための粒子のことです。


つまり、ステルスナノ粒子は薬剤を患部に運ぶための役割(ドラッグデリバリーシステム,DDS)の新しい技術ということになります。


ニコチン経皮パッチ製剤(放出制御)やプロドラッグ(導入制御)などもDDSの技術です。


ところで、今回ナノシェルに内包したデキサメタゾン(dexamethasone)ムヒマキロンなどにも入っているステロイド薬です。


関連書籍


ドラッグデリバリーシステムの新展開―究極の薬物治療をめざして


 



ドラッグデリバリーシステムDDS技術の新たな展開とその活用法―生物医学研究・先進医療のための最先端テクノロジー
DDSは投与方法や形態を工夫し、物質(drug)の体内での動きを精密にコントロールする技術・方法論。drugを扱うあらゆる研究分野に適用できるDDSの、各分野における最先端の研究成果。


関連リンク


ステロイドホルモン/副作用/糖質コルチコイド/鉱質コルチコイド/


メソポーラスシリカ材料を利用した 新規ドラッグデリバリーシステムの構築 (PDF)

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 南ア企業がヘリウム生産に挑む
  2. 数々の日本企業がIntel 2023 EPIC Supplier…
  3. ヘリウムガスのリサイクルに向けた検討がスタート
  4. 傷んだ髪にタウリン…東工大などの研究で修復作用判明
  5. 招福豆ムクナの不思議(6)植物が身を護る化学物資
  6. 三菱ケミカル「レイヨン」買収へ
  7. 富士フイルム、英社を245億円で買収 産業用の印刷事業拡大
  8. 化学かるた:元素編ー世界化学年をちなみ

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. F. S. Kipping賞―受賞者一覧
  2. 「女性用バイアグラ」開発・認可・そして買収←イマココ
  3. パッションフルーツに「体内時計」遅らせる働き?
  4. ウクライナ危機と創薬ビルディングブロック –エナミン社のケースより–
  5. バイオ触媒によるトリフルオロメチルシクロプロパンの不斉合成
  6. フラーレンの“籠”でH2O2を運ぶ
  7. 【超難問】幻のインドールアルカロイドの全合成【パズル】
  8. 高温焼成&乾燥プロセスの課題を解決! マイクロ波がもたらす脱炭素化と品質向上
  9. スポットライトリサーチ まとめ【初回〜第200回まで】
  10. 三井化学、機能性ポリマーのウェブサイト始動

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年9月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP