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海外化学者インタビュー

第116回―「新たな分子磁性材料の研究」Eugenio Coronado教授

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第116回の海外化学者インタビューは、エウジェニオ・コロナド教授です。バレンシア大学の分子科学研究所に所属し、分子磁性の研究や、新しい磁性分子の開発、多機能性を示す材料の設計・研究・処理に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

初期の理由の一つは、物理学と生物学の中間に位置する化学の中心的な位置づけにありました。最近のもう一つの理由は、物質の構造、その美しさ、そしてこれらの構造を操作して新たな特性を示す新しい化合物を作るべく、化学が提供するユニークな可能性に関わるものでした。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

画家や漫画家です。これら芸術活動もまた、かなりの量の研究と多くの創造性を必要とします。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

分子スピントロニクスに取り組み始めています。ナノ磁性に関するこの新しい分野において、新しい磁性分子と材料を提供可能であることを、化学で示せるという希望があります。便利に設計され、ナノ構造化され、有用なスピントロニクスのヘテロ構造とナノスピントロニクスと量子コンピューティングの新たな機会につながるはずです。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

レオナルド・ダ・ヴィンチです。 私にとってこの人物は、科学者と芸術家の完璧な組み合わせを体現しています。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

最後の化学実験は、1987年7月に米国ジョージタウン大学の、Louis Baker教授の研究室で行いました。ポリオキソメタレートでカプセル化されたコバルト磁性クラスターを調製していました。これは、強磁性交換相互作用を示す最初のポリオキソメタレート分子となりました。物理学分野では、1991年にILLでこの種のクラスターの磁気励起を研究するための実験を行いました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

サバイバルガイド以外では、ホメロスの『オデュッセイア』を持っていきます。音楽については、ヴィヴァルディの音楽(とスペインギター)にします。

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Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

化学の分野で画期的貢献をした科学者(化学者ではなく)にインタビューしてほしいと思います(例えば、化学のノーベル賞を他分野から受賞した人など)。アーロン・クルーグ氏(生化学に興味のあった物理学者)は最適な選択でしょう。

 

原文:Reactions –  Eugenio Coronado

※このインタビューは2009年5月15日に公開されました。

 

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cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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