[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第83回―「新たな電池材料のモデリングと固体化学」Saiful Islam教授

[スポンサーリンク]

第83回の海外化学者インタビューは、サイフル・イスラム教授です。バ-ス大学化学科に所属し、新しい燃料電池やリチウムイオン電池材料の原子スケールモデリングに重点を置いた固体材料化学の側面に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

 

Q. あなたが化学者になった理由は?

15歳の頃、結晶成長のプロジェクトにワクワクしていたことと、故ジョージ・(ロード)・ポーター教授の光化学に関する感動的な講演を聞くために王立研究所(ロンドン)に行ったことを覚えています。それまでは、フルタイムの仕事として化学ができるとは思っていませんでした。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

夢の仕事:サッカー選手のレフトウィングです。

その他の仕事:もっと政治に(左翼側にも)関わることです。悲しいことに、世界の富と権力の分配はいまだに非常に不平等です。19世紀と20世紀の民主的変革のほとんどは、人々が進歩的な闘争に参加しなければ実現しなかったでしょう。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

(a) おそらくほとんどあるいはすべての化学者は、知識の進歩によってすでに貢献しています。化学は現代科学の多くを支えています。持続可能なエネルギー、病気(例えばHIV、マラリア、癌)の解決策、きれいな水、汚染の軽減など、明らかに幅広い貢献がなされてしかるべきでしょう。私の分野である基礎的な材料化学は、クリーンエネルギー変換および貯蔵において将来的なブレークスルーの鍵なのです。

(b) 迷信よりも証拠/理性の重要性を促し、大衆(そして人気のあるメディアに)協力することによってです。「化学物質」 という言葉が毒と同義語になった人もいます。しかし、Joe(そしてJosephine) Publicは、動物であれ、植物であれ、鉱物であれ、すべての物質は化学物質からできていることを知っておくべきです。化学物質がないと、どんな感じになるか想像してみてください。テレビもコンピューターもなければ、プラスチックも性ホルモンもありません。リストは無限です。確かに、化学物質がなければ生命は存在しないでしょう!

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

チャールズ・ダーウィンです。彼がどのようにして(自然淘汰による進化という)大きく強力なアイデアを手に入れたのか、そしてどのようにして宗教的挑戦者に対処したのかを知りたいためです。科学以外では、マハトマ・ガンジーです。大英帝国の支配に対抗し勝利を収めた、注目すべき人物です。第二次世界大戦の頃、彼はジャーナリストから西洋文明についてどう思うか尋ねられ、こう言いました。「それはいい思想だと思います」。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

これが重要かどうかはわかりませんが、私の研究は大部分が計算化学なので、未だにシミュレーションに手を出しています。UCL(80年代前半)の学生時代、実際の有機化学はあまり得意ではありませんでした。研究室での最後の実験は、博士課程でのスピネル酸化物(NiMn2O4)の固相合成です。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

フィクション:ガブリエル・ガルシア・マルケスの「百年の孤独」です。20世紀の詩集(W.B.Yeats、W.H.Auden、P.Nerudaなど)もいいでしょう。

ノンフィクション::リチャード・ドーキンスの「虹の解体」です。科学の美しさ、驚異、興奮を伝えるのに不可欠な読み物です。

CD:The Smithsの「The Queen is Dead」に、Morrissey & Marrのクラシック・トラック「There is a Light that Never Goes Out」です。とても大きな音で演奏できまるのですが、近所迷惑になどなりません!笑って過ごすには、Monty Pythonの「Life of Brian」のCDも欲しいですが、これは「Always Look on the Bright Side of Life」という曲で終わります。

原文:Reactions – Saiful Islam

※このインタビューは2008年9月26日に公開されました。

 

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第156回―「異種金属―有機構造体の創製」Stéphane Ba…
  2. 第140回―「製薬企業のプロセス化学研究を追究する」Ed Gra…
  3. 第七回 巧みに非共有結合相互作用をつかうー Vince Rote…
  4. 第88回―「新規なメソポーラス材料の創製と応用」Dongyuan…
  5. 第109回―「サステイナブルな高分子材料の創製」Andrew D…
  6. 第52回「薬として働く人工核酸を有機化学的に創製する」和田 猛教…
  7. 第174回―「特殊な性質を持つフルオロカーボンの化学」David…
  8. 第48回―「周期表の歴史と哲学」Eric Scerri博士

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 緑膿菌の代謝産物をヒトの薬剤に
  2. アザヘテロ環をあざとく作ります
  3. 身近なカガクを説明した記事まとめ
  4. ここまでできる!?「DNA折り紙」の最先端 ② ~巨大な平面構造体 編~
  5. 徒然なるままにセンター試験を解いてみた
  6. ジムロート転位 (ANRORC 型) Dimroth Rearrangement via An ANRORC Mechanism
  7. フリーデル・クラフツ アシル化 Friedel-Crafts Acylation
  8. ジェイコブセン速度論的光学分割加水分解 Jacobsen Hydrolytic Kinetic Reasolution (Jacobsen HKR)
  9. 有機合成化学協会誌2022年9月号:π-アリルパラジウム・ポリエンマクロラクタム・Sirtuin蛍光プローブ・安定ラジカルカチオン・金属-硫黄クラスター
  10. 基礎材料科学

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年4月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

注目情報

最新記事

複雑なモノマー配列を持ったポリエステル系ブロックポリマーをワンステップで合成

第445回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院工学研究院 応用化学部門 高分子化学研究室(…

河崎 悠也 Yuuya Kawasaki

河崎 悠也 (かわさき ゆうや) は、日本の有機化学者。九州大学先導物質化学研究所 …

研究者1名からでも始められるMIの検討-スモールスタートに取り組む前の3つのステップ-

開催日:2022/12/07  申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の…

吉田 優 Suguru Yoshida

 吉田 優(よしだ すぐる)は、日本の化学者。専門は、有機合成化学、ケミカルバイオロジー。2…

小山 靖人 Yasuhito Koyama

小山 靖人(こやま やすひと)は、日本の有機化学者。富山県立大学工学部医薬品工学…

ポンコツ博士の海外奮闘録XIV ~博士,釣りをする~

シリーズ累計20話!!タイトルの○数字がなくなりました。節々の回は出来る限り実験ネタや個人的なグッと…

定型抗精神病薬 「ピモジド」の化学修飾により新規難治性疼痛治療薬として極めて有望な化合物の創製に成功

第444回のスポットライトリサーチは、近畿大学大学院 薬学研究科 薬学専攻 病態薬理学研究室の笠波 …

【好評につきリピート開催】マイクロ波プロセスのスケールアップ〜動画で実証設備を紹介!〜 ケミカルリサイクル、乾燥炉、ペプチド固相合成、エステル交換、凍結乾燥など

<内容>マイクロ波プロセスのスケールアップがどのように実現されるか、実証設備の動画も交えてご紹介…

三井化学、DXによる企業変革の成果を動画で公開

三井化学株式会社は、常務執行役員 CDO 三瓶 雅夫による、三井化学グループ全社でのDX推進の取り組…

消光団分子の「ねじれ」の制御による新たな蛍光プローブの分子設計法の確立

第443回のスポットライトリサーチは、東京大学薬学部/大学院薬学系研究科 薬品代謝化学教室に在籍され…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP