[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第153回―「ネットワーク無機材料の結晶学」Micheal O’Keeffe教授

[スポンサーリンク]

第153回の海外化学者インタビューは、マイケル・オキーフィ教授です。アリゾナ州立大学化学・生化学科に所属し、幾何学的手法を用いた無機材料の設計・合成に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

本当は数学者になりたかったのですが、それは将来性がないと言われてしまいました。学校では、退職した化学技術者が南米鉱山技師としての冒険話をしながら化学を教えてくれました。物理よりも化学のほうがずっと楽しそうでした。可笑しいことですが、私はこれまで南米に行ったことがありません。少なくとも、その鉱山の一つはあまり楽しくないように最近思いました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

もし才能があるなら、建築家になりたいと思っています。芸術と工学の素晴らしい融合ですね。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

新しいゼオライトや関連材料をデザインして(合理的に)合成するためのアイデアへ到達できることを夢見ています。この重要材料の合成は、そのほとんどが経験的に行われている現状です。最近、金属-有機構造体(MOF)などが開発されてきているのとは対照的です。

Q.あなたがもし、歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

マイケル・ファラデーは、最も偉大な科学者として推薦したい人物です。しかし、J・D・バーナルもリストの上位に入っています。楽しい夕食の相手になってくれると思います。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

ずいぶん昔のことです。70年代初頭、私たちはいくつかの単純な塩が、優れた陰イオン伝導性固体電解質(超イオン伝導体)になることに初めて気づきました。当時の私のところには、フッ化鉛の研究をしていたカール・デリントンというよく働く学生がいましたので、私は自分でフッ化イットリウムとフッ化ルテチウムの研究をすることにしました。結果は素晴らしいもので、『Science』誌に発表されました。(最近、単著の実験論文はどれほど見かけますかね?)。カールは騙されませんでした。彼のフッ化鉛の研究は『Nature』誌に掲載され、他にも5本の論文で筆頭著者になりました。博士号の研究としては悪くないですよね。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

本:時間をつぶすために、最高に深遠な群理論の本を持っていきます。

音楽:バッハの独奏曲であればなんでもいいですが、ゴールドベルグ変奏曲がいいかもしれません。そして、太陽電池付きコンピュータに入っているプログラムを1つ持って行ってもいいでしょうか?可能なら、FORTRANのコンパイラでお願いします。

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

寺崎 治氏です。実験化学者が理論を学ぶことは有益だと思っています。例えば、彼のケースでは回折物理学です。寺崎氏のグループは優れた実験を行い、それが深い理論的洞察と結びついて、材料化学に多大な影響を与えてきました。彼の話は、若い化学者のインスピレーションになるはずです。

 

原文:Reactions – Michael O’Keeffe

※このインタビューは2011年4月29日に公開されました。

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第一回 人工分子マシンの合成に挑む-David Leigh教授-…
  2. 第40回「分子設計で実現する次世代バイオイメージング」山東信介教…
  3. 第59回―「機能性有機ナノチューブの製造」清水敏美 教授
  4. 第42回―「ナノスケールの自己集積化学」David K. Smi…
  5. 第143回―「単分子エレクトロニクスと化学センサーの研究」Non…
  6. 第127回―「生物学的に取扱困難な金属イオンを研究する」Ann …
  7. 第16回 教科書が変わる心躍る研究を目指すー野崎京子教授
  8. 第57回「製薬会社でVTuber担当?化学者の意外な転身」前川 …

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. フィル・バラン Phil S. Baran
  2. ひらめききらめく:/1 「創」のとき、夢の鼓動 /北海道
  3. 化学探偵Mr.キュリー6
  4. ヤコブセン転位 Jacobsen Rearrangement
  5. REACH規則の最新動向と対応方法【終了】
  6. 最新プリント配線板技術ロードマップセミナー開催発表!
  7. 三菱化学の合弁計画、中国政府が認可・330億円投資へ
  8. 技術者・研究者のためのプレゼンテーション入門
  9. ナノの世界の交通事情~セルラーゼも渋滞する~
  10. ここまで進んだ次世代医薬品―ちょっと未来の薬の科学

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年5月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

ナノ学会 第22回大会 付設展示会ケムステキャンペーン

ナノ学会の第22回大会が東北大学青葉山新キャンパスにて開催されます。協賛団体であるACS(ア…

【酵素模倣】酸素ガスを用いた MOF 内での高スピン鉄(IV)オキソの発生

Long らは酸素分子を酸化剤に用いて酵素を模倣した反応活性種を金属-有機構造体中に発生させ、C-H…

【書評】奇跡の薬 16 の物語 ペニシリンからリアップ、バイアグラ、新型コロナワクチンまで

ペニシリンはたまたま混入したアオカビから発見された──だけではない.薬の…

MEDCHEM NEWS 33-2 号「2022年度医薬化学部会賞」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける分子生成の基礎と応用

開催日:2024/05/22 申込みはこちら■開催概要「分子生成」という技術は様々な問題…

AlphaFold3の登場!!再びブレイクスルーとなりうるのか~実際にβ版を使用してみた~

2021年にタンパク質の立体構造予測ツールであるAlphaFold2 (AF2) が登場し、様々な分…

【5月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 有機金属化合物 オルガチックスによる「密着性向上効果の発現(プライマー)」

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎

開催日:2024/05/15 申込みはこちら■開催概要マテリアルズ・インフォマティクスを…

分子は基板表面で「寝返り」をうつ!「一時停止」蒸着法で自発分極の制御自在

第613回のスポットライトリサーチは、千葉大学 石井久夫研究室の大原 正裕(おおはら まさひろ)さん…

GoodNotesに化学構造が書きやすいノートが新登場!その使用感はいかに?

みなさんは現在どのようなもので授業ノートを取っていますでしょうか。私が学生だったときには電子…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP