[スポンサーリンク]

ケムステニュース

コーラから発がん物質?

[スポンサーリンク]

いわゆる大手のマスコミからの情報ではないものの、ネットでは

「コーラから発がん物質」

というニュースが流れています。

その正体は4-メチルイミダゾールです。

2015-07-27_15-16-18

おそらくいろいろなニュースサイトの情報源はウェブサイト【食品と暮らし安全】ではないかと思います。

そしてその大本の情報源は、【Center for Science In the Public Interest】 のようです。

さて、確かに発がん性の事実は存在するようです。その発がん性を調査した論文は実在しました。

で、その発がん性の原因物質の正体は、4-メチルイミダゾールが酸化酵素により分解されてできたメチルグリオキサールと推定されています。

 


 

生体内で4-メチルイミダゾールの分解反応。 出典 http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/tx015574b


 

さて、カラメル化反応は本来糖だけで起こる反応ですので、含窒素化合物が生成するはずはないのですが、これはおそらく、カラメル製造過程でアンモニアなどの化合物を添加しているものと考えられます。風味はその国の嗜好に合わせて調整されているのでしょう。ちなみに、メチルグリオキサール自体は糖が分解するときにも生成しうる化合物です。

継続して摂取すれば発がんの可能性は少なからずあると言うことであり、添加するアンモニアの量を加減すれば4-メチルイミダゾールの生成量も抑えられるはず。とすると、メーカーサイドに申し入れをする理由は一理あるとはいえます。でも、コーラを毎日飲み続けることの弊害は、4-メチルイミダゾールよりも糖の過剰摂取ではないかと思います。血糖値が上がり、タンパク質やDNAへの”糖化”反応を促進し、老化を促進することになります。

糖と含窒素化合物、すなわちアミノ酸を加熱して調理することは日常茶飯事であり、そういう食事をして顕著にガンの発生が増えたという話は聞いたことがありません。加熱調理は食中毒を減らす意味でも重要ですので、リスクを比較すれば、食中毒を防ぐことの方が圧倒的に大切です。

で、結論としては、発がん物質の取り込みを気にすることよりも、摂取カロリーに気をつけていれば、気にすることではなさそうです。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”462107203X” locale=”JP” title=”料理のわざを科学する―キッチンは実験室”] [amazonjs asin=”4061181696″ locale=”JP” title=”毒物雑学事典―ヘビ毒から発ガン物質まで (ブルーバックス)”]

 

Avatar photo

あぽとーしす

投稿者の記事一覧

微生物から動物、遺伝子工学から有機合成化学まで広く 浅く研究してきました。論文紹介や学会報告などを通じて、研究者間の橋掛けのお手 伝いをできればと思います。一応、大学教員で、糖や酵素の研究をしております。

関連記事

  1. 名城大教授ら会社設立 新素材販売
  2. 梅干し入れると食中毒を起こしにくい?
  3. 薄くて巻ける有機ELディスプレー・京大など開発
  4. 吉岡里帆さんが出演する企業ブランド広告の特設サイト「DIC岡里帆…
  5. 自己多層乳化を用いたマトリョーシカ微粒子の調製 〜油と水を混ぜて…
  6. 実現思いワクワク 夢語る日本の化学者
  7. 信越化学1四半期決算…自動車や電気向け好調で増収増益…
  8. ノーベル賞・田中さん愛大で講義

注目情報

ピックアップ記事

  1. 日本化学会と対談してきました
  2. 微小な前立腺がんを迅速・高感度に蛍光検出する
  3. 創薬におけるモダリティの意味と具体例
  4. 抗体ペアが抗原分子上に反応場をつくり出す―2つの抗体エピトープを利用したテンプレート反応の開発―
  5. ダイヤモンド半導体について調査結果を発表
  6. 米国版・歯痛の応急薬
  7. デーリング・ラフラム アレン合成 Doering-LaFlamme Allene Synthesis
  8. ChemDrawからSciFinderを直接検索!?
  9. 化学的に覚醒剤を隠す薬物を摘発
  10. 群ってなに?【化学者だって数学するっつーの!】

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年7月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

光でゆがむ分子 ― アルミニウム錯体の対称性の破れをコヒーレント振動分光で観測

第711回のスポットライトリサーチは、九州大学大学院理学研究院 化学部門(分光分析化学研究室)・江原…

有機合成のカラム精製に革新を 〜モノリスカラムで変わる「研究のスピード」〜

筆者の研究室では有機合成を行っています。合成も大変ですが、何より大変なのが精製操作。最近、とある…

酸素は系内に入り込み続ける【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

アンモニウム構造によりラジカル種の発生位置を完全に制御!

第710回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の榊原 陽太(さかきばら …

化学つれづれ草【ある研究者の回想】

概要物理化学者で量子機能材料を専門とする著者によるエッセイ集.化学者としての研究,教育,人生…

第60回有機反応若手の会

開催概要有機反応若手の会は、有機化学分野で研究を行う全国の大学院生を中心とした若手研究者が集い、…

ノーベル賞受賞者と語り合う5日間!「第18回HOPEミーティング」参加者募集!

申し込みはこちら概要主催:独立行政法人 日本学術振興会(JSPS)開催地:神奈川…

光触媒による高効率なCO2還元の実現―まさかの光を弱く当てることが重要だった―

第709回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 理学院(前田研究室)博士後期課程2年の仲田竜一 …

「π-πスタッキング」という言葉が生む誤解【芳香環の相互作用を見直す: 前編】

芳香環が平行に並んで近接しているとき、その構造を「π–π スタッキング」と表されることがよくあります…

一重項酸素によるC(sp2)−P結合切断を用いた長波長光によるリン化合物のアンケージング

第 708 回のスポットライトリサーチは、同志社女子大学 薬学部 医療薬学科 5…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP