[スポンサーリンク]

身のまわりの分子

ギンコライド ginkgolide

[スポンサーリンク]

ギンコライド(ginkgolide)は、イチョウ(Ginkgo biloba)に含まれるジテルペンである。

歴史・用途

イチョウの樹皮および葉に含まれる苦み成分である。ギンゴライド類には血小板活性化因子(Platelet Activating Factor:PAF)の作用を強力に抑える働きがある。PAFはアレルギーや喘息を始め、さまざまな炎症に深く関わる因子であり、そのユニークな生理活性ゆえ各方面から注目を集めている化合物である。

構造も大変ユニークである。6個の5員環からなるきわめて特徴的なかご型構造を有している。また、t-ブチル基をもつ天然物としては、最初に単離されたものでもある。 1967年の中西香爾らによる構造決定の際には、NOE(nuclear Overhauser effect)が初めて利用された。

近年では「イチョウ葉エキス」の名称で、記憶力増進・脳内血流改善などの効能をもつとされるサプリメントとして販売されています。

 

関連文献

  1.  (a)  Stromgaard, K.; Nakanishi, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 1640. DOI: 10.1002/anie.200300601 (b) 有機合成化学協会誌 2000, 58, 46.

関連リンク

Ginkgolide – Wikipedia

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)
  2. ゲラニオール
  3. アデノシン /adenosine
  4. 虫歯とフッ素のお話① ~どうして歯磨きにフッ素が使われるの??~…
  5. チアミン (thiamin)
  6. ノッド因子 (Nod factor)
  7. みんなおなじみ DMSO が医薬品として承認!
  8. ククルビットウリル Cucurbituril

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 乳化剤の基礎とエマルション状態の評価【終了】
  2. 静電相互作用を駆動力とする典型元素触媒
  3. ひどい論文を書く技術?
  4. カチオン中間体の反応に新展開をもたらす新規フロー反応装置の開発
  5. 2009年10月人気化学書籍ランキング
  6. CASがSciFinder-nの画期的逆合成プランナーの発表で研究・開発の生産性向上を促進
  7. 超薄型、曲げられるMPU開発 セイコーエプソン
  8. イオン液体ーChemical Times特集より
  9. みんなおなじみ DMSO が医薬品として承認!
  10. 超一流誌による論文選定は恣意的なのか?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年10月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

細胞代謝学術セミナー全3回 主催:同仁化学研究所

細胞代謝研究をテーマに第一線でご活躍されている先生方をお招きし、同仁化学研究所主催の学術セミナーを全…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎

開催日:2023/12/06 申込みはこちら■開催概要マテリアルズ・インフォマティクスを…

プロトン共役電子移動を用いた半導体キャリア密度の精密制御

第582回のスポットライトリサーチは、物質・材料研究機構(NIMS) ナノアーキテクトニクス材料研究…

有機合成化学協会誌2023年11月号:英文特別号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2023年11月号がオンライン公開されています。…

高懸濁試料のろ過に最適なGFXシリンジフィルターを試してみた

久々の、試してみたシリーズ。今回試したのはアドビオン・インターチム・サイエンティフィ…

細胞内で酵素のようにヒストンを修飾する化学触媒の開発

第581回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 薬学系研究科 有機合成化学教室(金井研究室)の…

カルロス・シャーガスのはなし ーシャーガス病の発見者ー

Tshozoです。今回の記事は8年前に書こうと思って知識も資料も足りずほったらかしておいたのです…

巨大な垂直磁気異方性を示すペロブスカイト酸水素化物の発見 ―水素層と酸素層の協奏効果―

第580回のスポットライトリサーチは京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻 陰山研究室の難波…

2023年度第1回日本化学連合シンポジウム「ヒューメインな化学 ~感覚の世界に化学はどう挑むか~」

人間の幸福感は、五感に依るところが大きい。化学は文明的で健康的な社会を支える物質を継続的に産み出して…

超難溶性ポリマーを水溶化するナノカプセル

第579回のスポットライトリサーチは東京工業大学 化学生命科学研究所 吉沢・澤田研究室の青山 慎治(…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP