[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

可逆的付加-開裂連鎖移動重合 RAFT Polymerization

[スポンサーリンク]

概要

可逆的付加-開裂連鎖移動重合(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer Polymerization, RAFT重合)は制御リビングラジカル重合法の一種である。

チオカルボニル化合物を連鎖移動剤として用いてラジカル重合を行うことで、分子量分布の狭いポリマーを、分子量を制御しつつ合成できる。

ラジカルを活性種とする特性ゆえに官能基性モノマーが使用可能であり、水溶媒でも重合可能である。原子移動重合法(ATRP)と異なり、系にハロゲン・重金属などを含まないこと、ポリマー両末端を官能基化できるなどの特徴をもつ。

この特性ゆえに、とりわけ生体適合材料への応用が期待されている手法である。

 

基本文献

・ Chiefari, J.; Chong, Y. K.; Ercole, F.; Krstina, J.; Jeffery, K.; Le, T. P. T.; Mayadunne, R. T. A.; Meijs, G. F.; Moad, C. L.; Moad, G.; Rizzardo, E.; Thang, S. H. Macromolecules 1998, 31, 5559. DOI: 10.1021/ma9804951
・ Moad, G.; Rizzardo, E.; Thang, S. H. Aust. J. Chem. 2005, 58, 379. doi:10.1071/CH05072

<review>
・Moad, G.; Rizzardo, E.; Thang, S. H. Polymer 2008, 49, 1079. doi:10.1016/j.polymer.2007.11.020
・Semsarilar, M.; Perrier, S. Nat. Chem. 2010, 2, 811. doi: 10.1038/nchem.853
・Moad, G.; Rizzardo, E.; Thang, S. H. Chem. Asian J. 2013, 8, 1634. DOI: 10.1002/asia.201300262
・Keddle, D. J. Chem. Soc. Rev. 2014, 43, 496. DOI: 10.1039/C3CS60290G

 

反応機構

ラジカル成長末端はチオカルボニル基と結合し、もう片方の鎖-硫黄原子が切断されて追い出される形でモノマーと反応する。このように2つの鎖が並行して重合をおこす。活性種の濃度を低くできるため、副反応が起こりにく分子量分布の狭いポリマーができる。 RAFT_2.gif (Sigma-Aldrichのページより引用)

 

反応例

RAFT連鎖移動剤の構造を変えることで、様々な形状のポリマーを合成することが出来る(参照:Sigma-Aldrichのページ)。ジチオエステル型では一方向伸長が起きるが、トリチオカーボネート型では二方向伸長が起きる。

 

関連動画

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

 

関連書籍

 

関連リンク

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. フェイスト・ベナリー フラン合成 Feist-Benary Fu…
  2. フィッシャーカルベン錯体 Fischer Carbene Com…
  3. ウォルフ・キシュナー還元 Wolff-Kishner Reduc…
  4. 林・ヨルゲンセン触媒 Hayashi-Jørgensen Cat…
  5. ダルツェンス縮合反応 Darzens Condensation
  6. トロスト酸化 Trost Oxidation
  7. N末端選択的タンパク質修飾反応 N-Terminus Selec…
  8. ブラム・イッター アジリジン合成 Blum-Ittah Azir…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. フェネストレンの新規合成法
  2. メタルフリー C-H活性化~触媒的ホウ素化
  3. 同位体効果の解釈にはご注意を!
  4. 有機無機ハイブリッドペロブスカイトはなぜ優れているのか?
  5. 光延反応 Mitsunobu Reaction
  6. ケムステV年末ライブ2022を開催します!
  7. 1-トリフルオロメチル-3,3-ジメチル-1,2-ベンゾヨードキソール:1-Trifluoromethyl-3,3-dimethyl-1,2-benziodoxole
  8. 有機合成化学協会誌2022年10月号:トリフルオロメチル基・気体分子等価体・蛍光性天然物・n型有機材料・交互共重合法
  9. 実験条件検討・最適化特化サービス miHubのメジャーアップデートのご紹介 -実験点検討と試行錯誤プラットフォーム-
  10. 異なる“かたち”が共存するキメラ型超分子コポリマーを造る

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2014年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP