[スポンサーリンク]

一般的な話題

どろどろ血液でもへっちゃら

 

 

Fatty Acids Identified in the Burmese Python Promote Beneficial Cardiac Growth

Cecilia A. Riquelme, C. A.; Magida, J. A.; Harrison, B. C.; Wall, C. E.; Marr, T. G.; Secor, S. M.; Leinwand, L. A. Science 2011, 334, 528-531. DOI: 10.1126/science.1210558

血液サラサラ”誰もが一度は聞いたことがあるフレーズもニシキヘビには無縁のようです。中高年になれば誰もが気になる血中のコレステロールを始めとする脂質ですが、ニシキキヘビにとっては逆に心臓などの臓器を強化するための重要な因子なんだとか。

巨大なヘビともなると一回の食事量も多く(大人の鹿を飲み込んだりします)、食後には臓器が大きくなって消化速度を上げることが知られています。コロラド大学ボールダー校のLeinwandらのグループはニシキヘビがどのようにして臓器を大きくしたりするのかについてScience誌に報告しました。

Leinwandらは、ニシキヘビの食事後の血液に着目し成分を分析してみたところ、食後一時間程度の血液中には驚くべき量の脂質が含まれていることが分かりました。トリアシルグリセロールは50倍以上にもなったそうです。その脂質が臓器増大に関与しているのか確かめるため、その他の成分についても細かく分析し、可能性を排除していった結果、結局ある三つの脂肪酸が因子の候補として残りました。

acids.png

血漿中に見いだされた脂肪酸は、ミリスチン酸パルミチン酸パルミトレイン酸でありどれもありふれた脂肪酸でした。これらの混合物をマウスに投与したところ、心臓の肥大が観察されました。ということは、これらの脂肪酸を摂取することにより、私たちヒトにも効果があるのではないかと期待が高まります。すなわち、脂肪酸で滋養強壮というわけです。

しかしそうはうまく行かないようで、パルミチン酸は心筋のアポトーシス(細胞死)を引き起こすことが知られているこのことです。よってLeinwandらのこの結果は一見矛盾しているように見えますが、パルミトレイン酸などと混合された組み合わせがいいのではないかとのことでした。

ニシキヘビは血液中の脂肪酸濃度が高いにも関わらず、心臓病になっているわけではありません。ニシキヘビが心臓病にならない仕組みが分かれば、ヒトの心臓病へ応用できるかもしれません。いつも悪役になってばかりの脂肪酸ですが、反対に脂肪酸は健康にいいなんて日が来るのかもしれませんね!?

以上新人記者のペリプラノンがお届けしました。これからも天然物化学の話題などを発信したいと思いますのでよろしくお願いします。

The following two tabs change content below.
ペリプラノン

ペリプラノン

有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。
ペリプラノン

最新記事 by ペリプラノン (全て見る)

関連記事

  1. 近傍PCET戦略でアルコキシラジカルを生成する
  2. ADC薬 応用編:捨てられたきた天然物は宝の山?・タンパクも有機…
  3. 雷神にそっくり?ベンゼン環にカミナリ走る
  4. 第54回天然有機化合物討論会
  5. 化学に耳をすませば
  6. 【書籍】アリエナイ化学実験の世界へ―『Mad Science―炎…
  7. 一流化学者たちの最初の一歩
  8. タクミナ「スムーズフローポンプQ」の無料モニターキャンペーン

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 製薬各社の被災状況
  2. ハウアミンAのラージスケール合成
  3. フッ素をホウ素に変換する触媒 :簡便なPETプローブ合成への応用
  4. パーキン反応 Perkin Reaction
  5. ピーター・シュルツ Peter G. Schultz
  6. 筑波山
  7. 真空ポンプ
  8. ハニートラップに対抗する薬が発見される?
  9. ヘル・フォルハルト・ゼリンスキー反応 Hell-Volhard-Zelinsky Reaction
  10. 秘密保持契約(NDA)

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

Chem-Station Twitter

PAGE TOP