[スポンサーリンク]

chemglossary

Z-スキームモデル Z-Scheme Model

[スポンサーリンク]

植物は、可視光からエネルギーを得て強力な酸化還元反応を体内で駆動させている。すなわち、酸化側では水から酸素を、還元側ではATP・NADPHの製造を通じて二酸化炭素から糖を合成している。

しかしながら可視光の光子エネルギーは低く、高エネルギー反応を行う目的には不足である。そこで光合成系内では2段階の励起を行うことで、高いエネルギーポテンシャルが獲得されている。各段階の励起は光化学系I光化学系IIそれぞれが担い、その間は電子伝達系で直列に連結されている。

縦方向にエネルギーポテンシャル(酸化還元電位)を取り、横方向に電子の流れる様子を図示すると、アルファベットのZを横にしたような模式図で表現できる。このことから、光合成系の2段励起エネルギー獲得機構はZ-スキーム(Z-Scheme)と俗称される。

近年では自然界のZ-スキームを模倣することによって、実現困難な化学反応の実現を意図した触媒開発研究が進んでおり、人工光合成研究における一大領域となっている。

(冒頭画像はこちらより引用)

関連書籍

関連リンク

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. エピジェネティクス epigenetics
  2. HKUST-1: ベンゼンが囲むケージ状構造体
  3. 創薬における中分子
  4. メビウス芳香族性 Mobius aromacity
  5. 導電性ゲル Conducting Gels: 流れない流体に電気…
  6. 生物指向型合成 Biology-Oriented Synthes…
  7. 機能指向型合成 Function-Oriented Synthe…
  8. コールドスプレーイオン化質量分析法 Cold Spray Ion…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 無限の可能性を合成コンセプトで絞り込むーリアノドールの全合成ー
  2. クルクミン /curcumin
  3. 科学ボランティアは縁の下の力持ち
  4. 室内照明で部屋をきれいに 汚れ防ぐ物質「光触媒」を高度化
  5. 第136回―「有機化学における反応性中間体の研究」Maitland Jones教授
  6. ハメット則
  7. AIを搭載した化学物質毒性評価サービス「Chemical Analyzer」の販売を開始
  8. クライゼン縮合 Claisen Condensation
  9. 機能を持たせた紙製チップで化学テロに備える ―簡単な操作でサリンやVXを検知できる紙製デバイスの開発―
  10. ノーベル週間にスウェーデンへ!若手セミナー「SIYSS」に行こう!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年5月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP