[スポンサーリンク]

一般的な話題

喜多氏新作小説!『美少女教授・桐島統子の事件研究録』

[スポンサーリンク]

 

 

寒さが一段と厳しくなってまいりました。今回はそんな年末年始ののんびりできる時期におすすめの1冊を紹介します。これまでケムステでは「ラブ・ケミストリー」「猫色ケミストリー」そして、「ラブ・リプレイ」とほとんど例のない化学を舞台にした小説を執筆されてきた喜多喜久氏の書籍を応援し、紹介させていただきました。この度12月20日に第4弾となる小説を出版されるそうで、またまた本人に登場していただきまして、見所を紹介していただく事になりました。

が、しかしどうやら今回は化学が舞台ではないようで、どちらかというと生化学、いや生物の分野になるのかな?なんにせよ、折角なんでケムステ読者様に紹介させていただきたいと思います!それでは喜多さんどうぞ!

 

 

「化学者のつぶやき」をご覧の皆様。いつもお世話になっております。喜多喜久です。

前作からまだ三カ月半ほどしか経っておりませんが、このたび無事に第四作目が刊行される運びとなり、また紹介記事を載せていただくことになりました。

 

新作は一転生物学が舞台

新作のタイトルは『美少女教授・桐島統子の事件研究録』です。(2012年12月20日刊行予定・中央公論新社)

(ちなみに「統子」は「もとこ」と読みます)

あれ、「ケミストリー」はどこに行っちゃったの……?と思われるかもしれませんが、本作はこれまでの

某T大を舞台にしたシリーズとは異なり、本文中に化学実験の描写は全くありません。

同じサイエンスでも、研究内容はバリバリの生物系。

物語のキーワードは「吸血鬼」と「ウイルス」と「ノアの方舟」です。

 

どんなストーリー?

ストーリーは、主人公・芝村拓也が東京科学大学に入学するところから幕を開けます。

入学早々、彼は大学病院の地下にある怪しい施設に呼び出され、「桐島統子」を名乗る謎の美少女と対面する

ことになります。日本人女性初のノーベル賞受賞者である桐島教授は、現在88歳。ひょんなことから若返り、

地下のラボで研究生活を送っているのだと語ります。

似ても似つかぬ姿に、拓也は思いっきり戸惑いますが、なんだかんだで彼女が本物の 桐島統子であると納得し、彼女に頼まれて、地下のラボで実験アシスタントのアルバイトを始めます。

 

桐島教授は稀少疾患の研究をしており、大学病院と連携して、患者の生体試料を用いた実験をしています。ある日、彼女のところに、原因不明の高熱で入院した、拓也の同級生・飯倉の血液サンプルが持ち込まれます。

拓也はその話を聞いて、飯倉が数日前に「吸血鬼にやられたのかも」という意味深な一言を漏らしていたことを思い出します。謎の病気と、大学内で噂になっている吸血鬼。不吉な予感を覚え、拓也は自発的に事件の調査を

始めます。やがて、飯倉の血液からあるウイルスが単離され、病気の原因が明らかになりますが……。

 

――と、ここまでで大体ストーリーの半分くらいでしょうか。

この先は、実際に本を手に取ってご確認いただければ幸いです。

 

今年の話題、ノーベル医学・生理学賞に関連?

過去三作と違い、若返りという設定を除けば、ファンタジー要素はありません。本文中で起こる出来事は

すべて現実にも起こりうることであり、それゆえ、本作は結構シリアスな話になっています。

犯人を指摘するのは比較的容易ですが、犯人の計画の全貌を完璧に予測するのは難しいのではと思います。

 

書いたのは十月以前ですが、桐島教授はノーベル医学・生理学賞を受賞している、という設定になっています。

我田引水な結論ですが、山中先生の受賞に沸いた今年のシメに最適な一冊ではないでしょうか。

生物系の方はもちろん、化学専門の方、ひいては文系の方にもオススメしたいと思います。

 

四作目にして初めて、続編を意識した作りになっていますが、次があるかどうかは実績次第。

ということで、皆様どうぞよろしくお願いいたします!

 

というわけで、喜多さんの新作『美少女教授・桐島統子の事件研究録』の紹介でした。私も今年の年末はこの本でもよんでゆっくりしたいと思います。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4796688579″ locale=”JP” title=”ラブ・ケミストリー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)”][amazonjs asin=”4800209692″ locale=”JP” title=”猫色ケミストリー (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)”][amazonjs asin=”4800200946″ locale=”JP” title=”ラブ・リプレイ (『このミス』大賞シリーズ)”]

 

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 製薬業界における複雑な医薬品候補の合成の設計について: Natu…
  2. 第16回日本化学連合シンポジウム「withコロナ時代における化学…
  3. 反応開発はいくつ検討すればいいのか? / On the Topi…
  4. 転職でチャンスを掴める人、掴めない人の違い
  5. シュプリンガー・ネイチャーが3つの特設ページを公開中!
  6. 美麗な元素のおもちゃ箱を貴方に―『世界で一番美しい元素図鑑』
  7. 電子豊富芳香環に対する触媒的芳香族求核置換反応
  8. 有機合成化学協会誌2020年7月号:APEX反応・テトラアザ[8…

注目情報

ピックアップ記事

  1. マクミラン触媒 MacMillan’s Catalyst
  2. ダニエル・ノセラ Daniel G. Nocera
  3. サイエンスアゴラ2015総括
  4. 研究者/研究力
  5. 天然物化学
  6. 吉野彰氏が2021年10月度「私の履歴書」を連載。
  7. カルボン酸β位のC–Hをベターに臭素化できる配位子さん!
  8. 林・ヨルゲンセン触媒 Hayashi-Jørgensen Catalyst
  9. 金属イオン認識と配位子交換の順序を切替えるホスト分子
  10. ご長寿化学者の記録を調べてみた

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年12月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

【9月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】有機金属化合物 オルガチックスを用いたゾルゲル法とプロセス制御ノウハウ①

セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチック…

2024年度 第24回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞 候補業績 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク会議(略称: …

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

開催日時 2024.09.11 15:00-16:00 申込みはこちら開催概要持続可能な…

第18回 Student Grant Award 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク会議(略称:JAC…

杉安和憲 SUGIYASU Kazunori

杉安和憲(SUGIYASU Kazunori, 1977年10月4日〜)は、超分…

化学コミュニケーション賞2024、候補者募集中!

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立した賞です。「化学・化学技術」に対する社会…

相良剛光 SAGARA Yoshimitsu

相良剛光(Yoshimitsu Sagara, 1981年-)は、光機能性超分子…

光化学と私たちの生活そして未来技術へ

はじめに光化学は、エネルギー的に安定な基底状態から不安定な光励起状態への光吸収か…

「可視光アンテナ配位子」でサマリウム還元剤を触媒化

第626回のスポットライトリサーチは、千葉大学国際高等研究基幹・大学院薬学研究院(根本研究室)・栗原…

平井健二 HIRAI Kenji

平井 健二(ひらい けんじ)は、日本の化学者である。専門は、材料化学、光科学。2017年より…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP