[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

史 不斉エポキシ化 Shi Asymmetric Epoxidation

[スポンサーリンク]

 

概要

触媒量のフルクトース母核ケトンおよびオキソンを用いてキラルなジオキシランを発生させ、不斉エポキシ化を行う方法。塩基性で行い、氷冷下-室温という穏和な条件下に反応は進行する。大量スケールにも適用可能。ただし、触媒量はやや多め(20-30mol%)。

基本文献

  • Tu, Y.; Wang, Z.-X.; Shi, Y. J. Am. Chem. Soc. 1996118, 9806. DOI: 10.1021/ja962345g
  • Wang, Z.-X.; Tu, W; Frohn, M.; Zhang, J.-R.; Shi, Y. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 11224.doi:10.1021/ja972272g
  • Frohn, M.; Shi, Y. Synthesis 2000, 14, 1979. DOI: 10.1055/s-2000-8715
  • Adam, W.; Saha-Moeller, C. R.; Zhao, C. -G. Org. React. 2002, 61, 219.
  • Shi, Y. Acc. Chem. Res. 2004, 37, 488. DOI: 10.1021/ar030063x

 

反応機構

系中で発生するキラルジオキシランが実際の活性種として働く。酸性条件下においては、副反応のBaeyer-Villiger酸化によって触媒が壊れてしまうため、塩基性条件下で行うことが要請される。
shi_epoxidation_2.gif

反応例

複数のオレフィンを、立体制御しつつ一挙にエポキシ化したい時にも、本法はしばしば有効となる。
Glabrescolの合成[1] shi_epoxidation_3.gif
カスケード反応によるポリエーテル系化合物合成[2] shi_epoxidation_5.gif
Octalacinの合成研究[3]:共役ジエンの場合、電子豊富もしくは立体的にすいているオレフィンのみが反応し、ビニルモノエポキシド体が生成する。
shi_epoxidation_4.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Xiong, Z.; Corey, E. J. J. Am. Chem. Soc. 2000122, 4831, 9328. DOI: 10.1021/ja000842y DOI: 10.1021/ja0024901

[2] Simpson, G. L.; Heffron, T. P.; Merino, E.; Jamison, T. F. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 1056. DOI: 10.1021/ja057973p

[3] Bluet, G.; Campagne, J.-M. Synlett 2000, 221. DOI: 10.1055/s-2000-6491

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

関連記事

  1. ウォルフ転位 Wolff Rearrangement
  2. ウィリアムソンエーテル合成 Williamson ether s…
  3. デーヴィス酸化 Davis Oxidation
  4. ジュリア・コシエンスキー オレフィン合成 Julia-Kocie…
  5. ジムロート転位 (ANRORC 型) Dimroth Rear…
  6. アッペル反応 Appel Reaction
  7. 藤原・守谷反応 Fujiwara-Moritani Reacti…
  8. マイケル付加 Michael Addition

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第108回―「Nature Chemistryの編集長として」Stuart Cantrill博士
  2. 第97回日本化学会春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part II
  3. 【書籍】「ルールを変える思考法」から化学的ビジネス理論を学ぶ
  4. マット・フランシス Matthew B. Francis
  5. SelectfluorR
  6. 電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ①
  7. アルコールのカップリング、NHC塩がアルとおコール
  8. 市川アリルシアナート転位 Ichikawa Allylcyanate Rearrangement
  9. ケミカルバイオロジーがもたらす創薬イノベーション ~ グローバルヘルスに貢献する天然物化学の新潮流 ~
  10. ホウ素-ジカルボニル錯体

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

河村奈緒子 Naoko Komura

河村 奈緒子(こうむら なおこ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の有機化学者である。専門は糖鎖合…

分極したBe–Be結合で広がるベリリウムの化学

Be–Be結合をもつ安定な錯体であるジベリロセンの配位子交換により、分極したBe–Be結合形成を初め…

小松 徹 Tohru Komatsu

小松 徹(こまつ とおる、19xx年xx月xx日-)は、日本の化学者である。東京大学大学院薬学系研究…

化学CMアップデート

いろいろ忙しくてケムステからほぼ一年離れておりましたが、少しだけ復活しました。その復活第一弾は化学企…

固有のキラリティーを生むカリックス[4]アレーン合成法の開発

不斉有機触媒を利用した分子間反応により、カリックスアレーンを構築することが可能である。固有キラリ…

服部 倫弘 Tomohiro Hattori

服部 倫弘 (Tomohiro Hattori) は、日本の有機化学者。中部大学…

ぱたぱた組み替わるブルバレン誘導体を高度に置換する

容易に合成可能なビシクロノナン骨格を利用した、簡潔でエナンチオ選択的に多様な官能基をもつバルバラロン…

今年は Carl Bosch 生誕 150周年です

Tshozoです。タイトルの件、本国で特に大きなイベントはないようなのですが、筆者が書かずに誰が…

ペンタフルベンが環構築の立役者!Bipolarolide D の全合成

4つの五員環が連結するユニークな構造をもつ天然物bipolarolide Dの全合成を達成した。エナ…

植物由来アルカロイドライブラリーから新たな不斉有機触媒の発見

第632回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院医学薬学府(中分子化学研究室)博士課程後期3年の…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP