[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

君はPHOZONを知っているか?

唐突ですがスマホでゲームやりますか?
筆者はファミコン世代ということもあり、様々なゲームをやってきました。一番ハマったのはPCのロールプレイングゲームです。
基本的にスマホゲームに興味はないのですが、つい懐かしさにかられてレトロゲームをダウンロードしたりしてしまいます。また、化学に関係するアプリなんかもできるだけ試して、いつか記事にまとめようかなとかしています。

ということで思い立ちまして今回のポストでは、昔懐かしいゲームをご紹介したいと思います。マニアックすぎるネタですがお付き合い下さい。

数年前にiOSのナムコアーケードというアプリをタブレットに入れて、たまに無料プレイしたり、思わず課金したりしていました。先日ふとプレイしたくなり、アプリを開いたのですが、なんとサービス終了でプレイ不能。せっかく課金してたのに悔しい思いをしたのが今回の記事のきっかけです。
その昔ナムコのアーケードゲーム(ゲームセンターのゲーム)に、PHOZONというゲームがあり、これが化学をモチーフにしたゲームだったんですね。しかしながらリリースが1983年ですので、当時はあまり意識しませんでした。しかもハッキリ言って現在でいうところのクソゲーですから、ゲームセンターでハマった記憶もありません。

今あらためて見てみると、化学に関するデザインがふんだんに盛り込まれていることに気づかされるのです。ということで、まずはそのゲーム内容を簡単にご紹介しましょう。

ゲーム画面の一部

まず、自機は画像の赤矢印で示した黒い丸にトゲが生えたその名も「ケミック(CHEMIC)」です。これをレバーで動かすんですね。ゲームの目的は画面中央(四角で囲ったところ)にあるモチーフ「Formationを組み上げる」ことです。ケミックを操り、周辺を飛び回っている黄色で示したメタンのような「モレック(MOLECULE)」を捕まえると「結合」します。適切な方向からモレックを捕まえないと目的の構造を作ることができません。正しくないところにモレックが結合してしまったときはボタンを押すと「結合を切断」できます。これはなんだか分子構造を組み立てていく作業ですよね。化学の本質のところかと思います。
しかしこの操作が結構イラッとするのですが、これまたゲームにはつきもののお邪魔虫がいます。緑で示したその名も「アトミック(ATOMIC)」です。こいつにケミックが触れるとアウトとなります。図ではアトミックはいくつかの球が集まっていますが、これがやっかいなことに分裂(核分裂!)します。しかもその際に小さな「ALPHA線(ALPHA RAY)」と「BETA線(BETA RAY)」、すなわち放射線を出しやがるんですね。リアルですねー
基本的に逃げ回るしかないのですが、たまに「POWER MOLECULE」が出てくるのでそれをとることでアトミックを攻撃することができるようになります。
いかがでしょうか?アトミックが分裂して放射線出すなんて斬新な設定じゃありませんか!うーんもう一度やりたいな・・・

さて、有機化学者の端くれとしては、ゲームの内容よりも気になるのが背景にある構造式ですね。かなり凝ったデザインですが、ぱっと見おかしなところも多々あります。という訳でこの分子をChemDrawで再現してみることに挑戦してみました。これがまたやり始めたら結構大変な作業でして、ちょっと後悔しました。ところどころある化学的な誤りを都合良く解釈しながらの作業で、小一時間はかかってしまいました。
まず左右を見比べてみて左側の方が解釈しやすかったのでそちらを基にしてみます。ぱっと見オキサゾール環かな?と思った5員環が実は二重結合のところが炭素であるというところがミソです。そして目立つのが窒素が4つ結合した「コバルト」です!ゲームのデザイナーさんはビタミンB12をもじったんですかね。

これはもの凄い超分子だぞと思ったのですが、どうしても上部にある部分で分子の切れ目ができてしまいました。アミノ基とカルボキシ基でアミド結合してると解釈してもよかったのですが、そこは抑えて水素結合でとどめることにしました。NO3は明らかに誤りなのでNO2にしています。さあそしていよいよできあがった左側ユニットがこちらです。コバルトの価数に無理がありますがご了承下さい。

なかなかに手強い!

現実問題としてはイミンエナミンの構造がむき出しになってしまっているのでありえそうもない分子ですが、不可能ではないかと思います。そして最後に右側も作ってドッキングしてから結合の方向を整えたのがこちらです。

結構ゲーム画面の図と似てるでしょ!

どうですこの美しさ!(自画自賛)超大作じゃないです?そこで大発見(?)が。赤で示した部分がゲーム画面では欠落しているんです。これは単なるミスなのか、それともわざと非対称の分子を狙ったのかどちらなんでしょうか。真相は闇の中でしょうか。

こんな分子現実に合成できますか?全くナンセンスというわけでもない凄い発想だと思います。ゲームの作者に敬意を表します。

なんて・・・自己満足の超絶くだらないポストで申し訳ございませんでした。ゲームについてはオリジナルは失礼ながら超難しいので、リメイクしたらおもしろいんじゃないでしょうか?

スーパープレイ動画をご紹介しておきます。どうしてもプレイしたい方は以下の二つのソフトに収録されていますので是非。

関連書籍

The following two tabs change content below.
ペリプラノン

ペリプラノン

有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。
ペリプラノン

最新記事 by ペリプラノン (全て見る)

関連記事

  1. ベンジル位アセタールを選択的に酸素酸化する不均一系触媒
  2. 科学系のLINEスタンプを使おう!!
  3. sp3炭素のクロスカップリング反応の機構解明研究
  4. Chemistry Reference Resolverをさらに…
  5. アズレンの蒼い旅路
  6. 第94回日本化学会付設展示会ケムステキャンペーン!Part II…
  7. 海洋天然物パラウアミンの全合成
  8. ヤモリの足のはなし ~吸盤ではない~

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学大手9月中間 三井化学と旭化成が経常減益
  2. 二つのCO2を使ってアジピン酸を作る
  3. ナノ孔に吸い込まれていく分子の様子をスナップショット撮影!
  4. 先制医療 -実現のための医学研究-
  5. 有機ラジカルポリマー合成に有用なTEMPO型フリーラジカル
  6. 嘘か真かヒトも重水素化合物をかぎわける
  7. カチオン重合 Cationic Polymerization
  8. 大日本製薬と住友製薬が来年10月合併・国内6位に
  9. フェネストレンの新規合成法
  10. 求核剤担持型脱離基 Nucleophile-Assisting Leaving Groups (NALGs)

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

持続可能性社会を拓くバイオミメティクス

内容生物に学ぶ考え方は,ナイロンに見られるように古くからあった.近年,ナノテクノロジーの飛躍…

鉄カルベン活性種を用いるsp3 C-Hアルキル化

2017年、イリノイ大学 M. Christina Whiteらは鉄フタロシアニン触媒から生成するメ…

「生合成に基づいた網羅的な天然物全合成」—カリフォルニア大学バークレー校・Sarpong研より

「ケムステ海外研究記」の第19回目は、向井健さんにお願いしました。向井さんはカリフォルニア大…

研究者向けプロフィールサービス徹底比較!

研究者にとって、業績を適切に管理しアピールすることは重要です。以前にも少し触れましたが、科研費の審査…

天然有機化合物の全合成:独創的なものづくりの反応と戦略

概要生物活性天然有機化合物(天然物)は生命の40億年にわたる進化によって選択された高機能分子…

細菌を取り巻く生体ポリマーの意外な化学修飾

地球上に最もたくさんある有機化合物は何でしょう?それは、野菜や果物、紙、Tシャツ、木材、etc…身の…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP