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決算短信~日本触媒と三洋化成の合併に関連して~

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投資家でなければ関係ないと思われがちな決算短信ですが、実は企業のいろいろな情報が正直に書いてある書類です。今回は、先日、合併の発表があった日本触媒と三洋化成の決算短信を例にどのような情報が読み取れるか見ていきます。

決算短信とは

決算短信とは、企業の決算発表の内容をまとめた書類のことです。決算の内容をまとめた書類としては有価証券報告書というものもありますが、こちらは決算短信よりも詳細に記載されているものの決算の3カ月以上後に発行されます。そのため証券取引所は各社の決算の内容を素早く投資家に伝えるために、決算短信の作成を要請しています。有価証券報告書は法定開示書なので虚偽の記載があると法律違反となるかつ取引所から重いペナルティを受けてしまいます。一方、決算短信は適時開示書類なので法律違反にはなりませんが、虚偽報告は信頼を損なう行為なので虚偽事実の公表といったペナルティを受けてしまいます。そのため、決算短信は企業のビジネスの状態を知る速報誌だと思います。ただし決算短信を報告しているのは日本の上場企業だけでその他の企業には作成する義務はありません。

決算短信からわかること

決算短信は、投資家の判断材料なので、売り上げや財務状況が書かれています。具体的には「サマリー情報(短信部分)」と「添付資料」に分かれていて、サマリーには、昨年度の業績、配当、今年度の予想業績が数字で示されています。会社を知るという目線では添付資料のほうが重要で、セグメントや地域別の詳細な値とそれに関するコメント、今後の方針などが書かれています。以下の日本触媒と三洋化成の比較では、添付資料について見ていきます。

決算短信による比較

日本触媒と三洋化成の経営統合に関する資料では、その目的や効果について書かれています。まず経営等後の意義として「強みと課題が補完関係にある」ということで、セグメントの違いについて表を作ってみました。両社でセグメントの分け方が異なるため正確な比較はできませんが、コメントを見る限り日本触媒は、基礎化学品と機能性化学品でバランス良くビジネスを行っているのに対して、三洋化成は機能性化学品において多方面にビジネスを行っているようです。そのため、経営統合により、日本触媒の強みである吸水性樹脂のマーケットポジションを強固にしつつ、三洋化成の強みである新規ビジネスへの展開にも力を入れることになるようです。

決算短信には、地域別の売り上げも記載されています。こちらも地域の区分けが異なるので単純比較はできませんが、日本触媒は欧州での売り上げが10%を超えているのに対して、三洋化成はアジアの中で中国の売り上げが15%を超えているのが特徴だと読み取れます。これの売り上げの違いは、吸水性樹脂とアクリル酸プラントの所在地と相関があり、経営統合によって全世界にプラントを持つ企業となります。

これ以外に、細かな財務状況を示す連結貸借対照表やキャッシュフローが必ず示されていて、お金の動きを知ることができます。また、グループが多い場合には企業の関係図も記載されていて、名前が異なる企業でも関連性がありどのような関係でビジネスを行っているかがわかります。決算短信ではネガティブな情報も開示されていて減収や減益の理由も論じられています。また減損損失という、資産の収益性が低下したため資産そのものの価値を下げる処理を行ったことについても記載されています。例えば、海外での売り上げが低下した時にその生産拠点の価値を下げることが行われます。

データからわかること

就職活動を行っていると本当の企業の姿を知るためには投資家向けの情報を見ろとのアドバイスを受けることがありますが、情報を見ても面接を突破できるテクニックは書いてありません。これらの情報からわかることは、企業の生データであり、どんなビジネスをどこで行っていてどんな将来を見据えているかではないでしょうか。例えば富士フイルムの場合、化粧品や化成品といったケミカルの事業に注力していると思われがちですが、2019年3月期の決算短信を見ると、たしかにフィルムやカメラ、光学デバイスといった写真に関連するイメージングに関する売り上げは15%ほどと少ない割合ですが、デジタル複合機やソフトウェアなどのドキュメントに関する売り上げが40%以上あり、ヘルスケア&マテリアルズの売り上げとほぼ同等で、写真や印刷に関するビジネスも大きく展開していることがわかります。

富士フイルムホールディングスの売上の割合(出典:2019年3月期決算短信

このように投資家向けの資料を読み、一般のイメージや会社説明会ではわからない売り上げや設備投資の割合を分析することで、その会社を現状・将来と自分が関わりたい仕事・ビジョンがマッチしているかを考えるのが就職活動時の応用方法だと思います。

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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