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原野 幸治 Koji Harano

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原野 幸治 (はらの こうじ)は、日本の有機化学者である。

物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 電子顕微鏡グループ・主幹研究員。第28回ケムステVシンポ講師

経歴

1998年 3月 久留米大学附設高等学校卒業
2002年 3月 東京大学理学部化学科卒業
2004年 3月 東京大学大学院理学系研究科化学専攻 修士課程修了
2004年 4月~2007年3月 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2007年 3月 東京大学大学院理学系研究科化学専攻 博士課程終了(指導教員:塩谷光彦教授)
博士(理学)取得(東京大学)
2007年 4月~6月 東北大学大学院理学研究科 博士研究員(山下正廣教授)
2007年 7月~2015年3月 東京大学大学院理学系研究科化学専攻 助教(中村栄一教授)
2015年 4月~2022年1月 東京大学総括プロジェクト機構 特任准教授
(東京大学大学院理学系研究科 兼務)
2022年 2月〜現在 物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 主幹研究員

受賞歴

2004年 第54回錯体化学討論会 ポスター賞
2005年 日本化学会第85春季年会 学生講演賞
2005年 Tokyo Summer School on Frontier Chemistry 2005 ポスター賞
2009年 井上研究奨励賞
2012年 グローバルCOE 海外レクチャーシップ
2014年 日本化学会第94春季年会優秀講演賞(学術)
2015年 JST CREST「分子技術」ライジング・スター賞
2016年 日本化学会進歩賞
2016年 風戸研究奨励賞
2018年 Chemist Award BCA
2019年 Thieme Chemistry Journals Award
2019年 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞
2019年 日本顕微鏡学会奨励賞
2020年 BCSJ賞(6月号)
2020年 基礎有機化学会 野副記念奨励賞
2020年 BCSJ賞(9月号)
2021年 BCSJ賞(2月号)

研究業績

材料の機能は,それを構成する原子および分子そのものの性質と,材料の中での原子・分子の配列によって決まります.しかし,科学者がどんなに緻密に分子を設計,合成しても,材料の中で適切に分子が配列しない限り思い通りの機能は得られません.我々は,分子とマクロ世界を橋渡しするナノ・メゾスケールにおける分子集合の構造とダイナミクスへの理解が分子と機能を繋ぐ上で最も重要であると考えています.そして,これからの時代は化学式と静的構造に頼ってきた分子科学を一新し,三次元情報に時間軸を加えた四次元情報を理解の基盤とした物質科学研究を展開するべきであると考え.そのツールとして高分解能電子顕微鏡(電顕)に着目し,ひとつひとつの分子の動きや反応,さらには集合する様子を原子分解能の映像としてとらえる技術の開発と,その分子科学への応用を推進しています.例えば,分子集合の過程で生じるナノメートルサイズの小さな中間体の構造解析のための原子分解能電顕手法「化学釣り針法」を開発し,結晶性材料の初期形成過程の直接観察に成功するなど,集合体を形成する分子が一つ一つ集まる様子を見て解析するという材料科学研究の新しい方向性を示しました.[1–3]さらに,近年高性能化が著しい高速撮像素子と電子顕微鏡を融合活用し,世界最高速の分子動画撮影や像ぶれを完全除去できる画像処理法を開発しました.この技術を用い,確率論的に起こる分子の反応や動きの瞬間を捉えることで,分子の構造を一つ一つ調べつつ統計として分子の動的振る舞いを解明する研究を展開しています.[4–7]また,これら研究で培った電子顕微鏡技術を活かし,「分子集合体のかたちを観ながら研究する」ことで,分子とマクロを繋ぐナノ,メゾ領域の分子集合機構の理解に基づく幅広い機能性分子集合体材料の開発を行っています.[8–10]最近では,電顕像の解釈を容易にするための新しい分子模型「原子番号相関分子模型(ZC模型)」を提案するなど,分子科学研究や初等中等教育における電顕手法の更なる普及に取り組んでいます.[11]

関連文献

  1. Heterogeneous Nucleation of Organic Crystals Mediated by Single-Molecule Templates, K. Harano, T. Homma, Y. Niimi, M. Koshino, K. Suenaga, L. Leibler, E. Nakamura, Nat. Mater. 11, 877–881 (2012).
  2. Atomistic Structures and Dynamics of Prenucleation Clusters in MOF-2 and MOF-5 Syntheses, J. Xing, L. Schweighauser, S. Okada, K. Harano, E. Nakamura, NatCommun. 10, 3608 (2019).
  3. Rim Binding of Cyclodextrins in Size-Sensitive Guest Recognition, H. Hanayama, J. Yamada, I. Tomotsuka, K. Harano, E. Nakamura, JAm. Chem. Soc. 143, 5786–5792 (2021).
  4. Real-Time Video Imaging of Mechanical Motions of a Single Molecular Shuttle with Sub-millisecond Sub-angstrom Precision, T. Shimizu, D. Lungerich, J. Stuckner, M. Murayama, K. Harano, E. Nakamura, BullChem. Soc. Jpn. 93, 1079–1085 (2020).
  5. Direct Microscopic Analysis of Individual C60 Dimerization Events: Kinetics and Mechanisms, S. Okada, S. Kowashi, L. Schweighauser, K. Yamanouchi, K. Harano, E. Nakamura, JAm. Chem. Soc. 139, 18281–18287 (2017).
  6. Ionization and Electron Excitation of C60 in a Carbon Nanotube: A Variable Temperature/voltage Transmission Electron Microscopic Study, D. Liu, S. Kowashi, T. Nakamuro, D. Lungerich, K. Yamanouchi, K. Harano, E. Nakamura, ProcNatl. Acad. Sci. U.S.A. 119, e2200290119 (2022).
  7. Time-Resolved Imaging of Stochastic Cascade Reactions over a Submillisecond to Second Time Range at the Angstrom Level, T. Shimizu, D. Lungerich, K. Harano, E. Nakamura, J. Am. Chem. Soc. 144, 9797–9805 (2022).
  8. Conical Ionic Amphiphiles Endowed with Micellization Ability but Lacking Air– and Oil–Water Interfacial Activity, H. Nitta, K. Harano, M. Isomura, E. H. G. Backus, M. Bonn, E. Nakamura, J. Am. Chem. Soc. 139, 7677–7680 (2017).
  9. Nano- and Microspheres Containing Inorganic and Biological Nanoparticles: Self-Assembly and Electron Tomographic Analysis, R. Sekine, P. Ravat, H. Yanagisawa, C. Liu, M. Kikkawa, K. Harano, E. Nakamura, J. Am. Chem. Soc. 143, 2822–2828 (2021).
  10. De Novo Synthesis of Free-Standing Flexible 2-D Intercalated Nanofilm Uniform over Tens of cm2, P. Ravat, H. Uchida, R. Sekine, K. Kamei, A. Yamamoto, O. Konovalov, M. Tanaka, T. Yamada, K. Harano, E. Nakamura, Adv. Mater. 34, 2106465 (2022).
  11. Atomic-number (Z)-correlated Atomic Sizes for Deciphering Electron Microscopic Molecular Images, J. Xing, K. Takeuchi, K. Kamei, T. Nakamuro, K. Harano, E. Nakamura, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 119, e2114432119 (2022).

 

コメント&その他

上でご紹介した原子番号相関分子模型で分子構造を表示できるパラメータを組み込んだ分子描画ソフトMole=Qを無料で公開しています(株式会社システムインフロンティアのご協力を得ております).ぜひ試してみて下さい.

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有機合成を専門とする教員。将来取り組む研究分野を探し求める「なんでも屋」。若いうちに色々なケミストリーに触れようと邁進中。

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