[スポンサーリンク]

chemglossary

アゾ化合物シストランス光異性化

光で分子のかたちを変えられる。そして、物質の性質を思いのままに制御できる。そんなことができたら、おもしろいと思いませんか。実は、アゾ化合物の光異性化を利用すれば、それも可能です。(冒頭図:鮮やかな橙色が特徴なp-フェニルアゾフェノールの構造式)

2個のベンゼン環が窒素間二重結合を介して結ばれた構造をアゾベンゼンと呼びます。この構造は紫外光から可視光にかけての光を吸収するため、高校の化学で学習するように、歴史的には色素として使われてきました。

これらアゾ化合物には、アルケンと同様に、シスとトランスの配座異性体が存在し、特定の波長の光を当てることで制御できます。通常はトランス体が安定であり、光異性化反応でシス体に変換させ、分子のかたちを動かすことができるのです。この性質は、液晶・磁性[1],[2]・超伝導[3]などの分野で機能材料に応用されてきました。さらに、近年、ケミカルバイオロジーのツール[4],[5],[6],[7]としても、アゾ化合物は注目されています。

 

GREEN2012azo2

参考文献

  1. アゾベンゼン光異性化による極低温化磁性材料の制御 ”Photofunctional Vesicles Containing Prussian Blue and Azobenzene.” Y. Einaga et al. J. Am. Chem. Soc. 1999 DOI: 10.1021/ja982450l
  2. アゾベンゼン光異性化による室温強磁性材料の制御 ”Reversible Photo-Switching of the Magnetization of Iron Oxide Nanoparticles at Room Temperature.” Rie Mikami et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2004 DOI: 10.1002/anie.200460964
  3. アゾベンゼン光異性化による超伝導材料の制御 “Reversible Optical Manipulation of Superconductivity.” Aya Ikegami et al. Angew. Chem. Int. Ed.2010 DOI: 10.1002/anie.200904548
  4. アゾベンゼン光異性化によるデオキシリボ核酸の制御 “Synthesis of azobenzene-tethered DNA for reversible photo-regulation of DNA functions: hybridization and transcription.” Hiroyuki Asanuma et al. Nature Protocol 2007 DOI: 10.1038/nprot.2006.465
  5. アゾベンゼン光異性化による薬物標的カリウムチャネルの制御 “Photochemical control of endogenous ion channels and cellular excitability.” Doris L Fortin et al. Nature Methods 2008 DOI: 10.1038/nmeth.1187
  6. アゾベンゼン光異性化を利用した遺伝的に盲目のマウスの救済”Photochemical Restoration of Visual Responses in Blind Mice Aleksandra Polosukhina.” Aleksandra Polosukhina et al. Neuron 2012 DOI: 10.1016/j.neuron.2012.05.022
  7. アゾベンゼン光異性化によるアセチルコリン受容体を標的とした制御 “Optochemical control of genetically engineered neuronal nicotinic acetylcholine receptors.” Ivan Tochitsky et al. Nature Chemistry 2012 DOI: 10.1038/nchem.1234

 

関連書籍

 

The following two tabs change content below.
Green

Green

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。
Green

最新記事 by Green (全て見る)

関連記事

  1. N-ヘテロ環状カルベン / N-Heterocyclic Car…
  2. ランタノイド / lanthanide
  3. 薄層クロマトグラフィ / thin-layer chromato…
  4. 金属-有機構造体 / Metal-Organic Framewo…
  5. ポリメラーゼ連鎖反応 polymerase chain reac…
  6. 界面活性剤 / surface-active agent, su…
  7. 抗体触媒 / Catalytic Antibody
  8. 国連番号(UN番号)

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. セミナー/講義資料で最先端化学を学ぼう!【有機合成系・2016版】
  2. 産官学の深耕ー社会への発信+若い力への後押しー第1回CSJ化学フェスタ
  3. モヴァッサージ脱酸素化 Movassaghi Deoxigenation
  4. レギッツジアゾ転移 Regitz Diazo Transfer
  5. ヤコブセン転位 Jacobsen Rearrangement
  6. 上村 大輔 Daisuke Uemura
  7. 春の褒章2010-林民生教授紫綬褒章
  8. 医薬品の黄金世代到来?
  9. 傷んだ髪にタウリン…東工大などの研究で修復作用判明
  10. 化合物太陽電池の開発・作製プロセスと 市場展開の可能性【終了】

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

Chem-Station Twitter

PAGE TOP