[スポンサーリンク]

一般的な話題

糖鎖合成化学は芸術か?

[スポンサーリンク]

有機合成化学者の中でも恐れられている合成反応はなんでしょうか?やはり爆発の可能性のある反応かもしれません。

でも、生成する結合の構造の重要さにかかわらずいやがられている反応があります。

それはグリコシド形成反応ではないでしょうか?異論はたくさんあると思いますが、話の都合上受け付けません。

グリコシド結合とは、糖と糖、または、糖と糖以外の分子をつなぐ結合で、一般的にはアセタールのことを言います。アセタールなんてそんなに難しいの?と思われるかもしれませんが、糖は多くのヒドロキシ基からなる化合物群であるため、位置や立体の選択性を制御することがとんでもなく面倒くさいのです。

こんな反応を取り扱いをする研究者達は、キット芸術家に違いないと思います。

今日はそんな思いを何となくつぶやきます。

配糖体

[amazonjs asin=”456304539X” locale=”JP” title=”糖鎖の科学入門”]

 

理解できないことが理解できたあの日

筆者が最初に出席した学会(まだスライドを使用している時代ですが)では、当時4年生と言うこともあり、どこの会場に行ったらいいのかわからないので仕方なく、「糖鎖工学」のセッションにいきました。

4年生と言っても卒論終了時なので、いろいろな糖鎖の構造があり、多種多様な生理活性を示すことはある程度理解していました。
が、しかし、糖鎖合成のセッションに半日いた結果は、
「何も理解できない」と言うことが理解できた、ということでした。
構成している単糖の構造はわかるんですが、最初に提示されたオリゴ糖をどう組み立てるのかが全く検討つかないし、発表者は当たり前のようにいとも簡単に話を進めていきます。
そりゃぁ,話について行けるわけもありません。

WS000001

糖鎖合成反応の流れ。見た目は単純なんです。

[amazonjs asin=”4891731230″ locale=”JP” title=”きちんとわかる糖鎖工学 (産総研ブックス)”]

 

時間が経てばわかった気になる

現在、そんな話もある程度笑い話になりつつあります。まあ、うん十年も経てばグリコシド結合形成反応(リンク先は一例です)や保護基にどういったものがあるのかは、だいたい知っていますから。

しかし、どういったグリコシド形成反応を選択するのか、どの手順でつなげるのか、保護基はどうするの?

なんて話は未だに理屈だけでは到底理解できません。各々の反応を理解するのは簡単なんですけどね。

糖以外の天然物でも構造は複雑だし合成戦略はキット大変なんだと容易に想像できますが、糖はひたすらOHだけ。

その手順などの発想は、もはや芸術的というしかないんです。匠の技、という言い方もできるかもしれません。

ということで、もしこれから糖鎖工学の研究者を目指すのであれば、芸術の心も育てることをおすすめします。

ケムステの記事をたくさん読んでも良し、ご存じの方も多いかと思いますが、有機化学美術館なんていうサイトもあるのでじっくり分子の芸術を見るというのも良し。

やっぱり分子を書くのが一番かもしれません。習うより慣れよ、的に。

いずれにせよ、是非糖鎖工学の世界に行ってみてください。何か新しいものを感じることができるかもしれませんよ。

糖の世界を知りたい方は是非こちらへ→Forum of Carbohydrate: Coming of Age

ただ私は基本的に芸術鑑賞をする方を楽しみたいと思います。あまり芸術を作るというセンスはないもので。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4061395475″ locale=”JP” title=”糖化学の基礎”]
Avatar photo

あぽとーしす

投稿者の記事一覧

微生物から動物、遺伝子工学から有機合成化学まで広く 浅く研究してきました。論文紹介や学会報告などを通じて、研究者間の橋掛けのお手 伝いをできればと思います。一応、大学教員で、糖や酵素の研究をしております。

関連記事

  1. 第54回ケムステVシンポ「構造から機能へ:ケイ素系元素ブロック材…
  2. “Wisconsin Process”に…
  3. ダイセルが開発した新しいカラム: DCpak PTZ
  4. HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:Dir…
  5. 実験手袋をいろいろ試してみたーつかいすてから高級手袋までー
  6. 有機色素の自己集合を利用したナノ粒子の配列
  7. 今年は共有結合100周年ールイスの構造式の物語
  8. 不安定な合成中間体がみえる?

注目情報

ピックアップ記事

  1. BASFクリエータースペース:議論とチャレンジ
  2. 水素化ナトリウムの酸化反応をブロガー・読者がこぞって追試!?
  3. 三井化学岩国大竹工場の設備が未来技術遺産に登録
  4. MSI.TOKYO「MULTUM-FAB」:TLC感覚でFAB-MS測定を!(2)
  5. バリー・ハリウェル Barry Halliwell
  6. 並外れた光可逆的粘弾性変化を示すシリコーンエラストマーの開発~市販のレーザーポインターをあてるだけで簡単にはがせる解体性粘接着剤用途に期待~
  7. 土釜 恭直 Kyoji Tsuchikama
  8. マンニッヒ反応 Mannich Reaction
  9. Side Reactions in Organic Synthesis II
  10. 第4回鈴木章賞授賞式&第8回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part II

さて、Part Iに引き続きPart II!年会をさらに盛り上げる企画として、2011年より…

凍結乾燥の常識を覆す!マイクロ波導入による乾燥時間短縮と効率化

「凍結乾燥は時間がかかるもの」と諦めていませんか?医薬品や食品、新素材開発において、品質を維…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part I

まだ寒い日が続いておりますが、あっという間に3月になりました。今年も日本化学会春季年会の季節です。…

アムホテリシンBのはなし 70年前に開発された奇跡の抗真菌薬

Tshozoです。以前から自身の体調不良を記事にしているのですが、昨今流行りのAIには産み出せな…

反応操作をしなくても、化合物は変化する【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか温度を測ること…

ジチオカーバメートラジカル触媒のデザイン〜三重項ビラジカルの新たな触媒機能を発見〜

第698回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(大井研究室)博士後期課程1年の川口…

第5回プロセス化学国際シンポジウム(ISPC 2026)でポスター発表しませんか!

詳細・申込みはこちら!日本プロセス化学会は、約5年に一度、プロセス化学国際シンポジウムを開催して…

キラル金属光レドックス触媒の最前線を駆け抜けろ!触媒デザインの改良と生物活性天然物の前人未到の不斉全合成を同時に達成

第697回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(石原研究室)博士後期課程1年の赤尾…

世界のバイオ医薬品CDMO市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、世界の…

ACS150 JACS Symposium Series: Advancing Molecular Transformations for Chemical Innovation開催のお知らせ

アメリカ化学会(ACS)創立150周年を記念した ACS150 JACS Symposium Ser…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP