[スポンサーリンク]

一般的な話題

「人工知能時代」と人間の仕事

[スポンサーリンク]

デジタル技術の進歩は著しく、特に、人工知能(AI)と呼ばれる機械学習システムの進歩は、世界の労働者のあり方に革命をもたらすといわれる。AI が良き相棒となるか人間の雇用を奪うかをはじめ、デジタル技術が人間の仕事にどんな影響をもたらすか、3 つの観点で検証した。

タイトルおよび説明はシュプリンガー・ネイチャーの出版している日本語の科学まとめ雑誌である「Natureダイジェスト」1月号から(画像クレジット:CHRIS MALBON)。最新サイエンスを日本語で読める本雑誌から個人的に興味を持った記事をピックアップして紹介しています。過去の記事は「Nature ダイジェストまとめ」を御覧ください。

AI時代の仕事と雇用

1月号の特集記事より。多くの人が期待と恐れを感じている人工知能(AI)。このブログを見ている人は研究においてAIの活用がどこまで研究活動を楽にし、そして仕事を奪っていくのか、気になる人が多いと思います。前者はAIの肯定的な見方(チャンス)、後者は悲観的な見方(リスク)ですね。

さて、本記事ではスタンフォードで非常勤教授であるセバスチャン・スランの試みから話が始まります。ちなみにこの人大学教授としてというよりも、グーグルグラスを開発したGoogle Xの創設者としての方が有名ですね。

彼は現在社長としてオンライン授業を提供する「Udacity」の営業部門のテコ入れにAIを使いました。具体的にはオンライン授業の受講に関して問い合わせにオンラインチャットで担当する営業担当者の手助け。問い合わせ事項を集めて、受講者の獲得につながったもの、よくある質問に対する回答を学習させたのです。

こうして出来上がった、「デジタル営業アシスタント」を実際のオンラインチャット担当の営業と”働かせ”ました。実際には、プログラムが適切な応答を提案したものを、そのまま返信したり、少し手を入れて返信する。こうした作業だけで、これまでの2倍の見込み客に同時に対応することができるようになり、応対が売上に結びつく割合も高くなったそうです。

この話はAIをうまく使った好例ですが、記事ではそれ以外にも3つの切迫的な問題を紹介してます。

ここで語る3つの切迫的な問題とは

機械学習は熟練労働者を不要にするか?

・ギグ・エコノミー拡大で労働者からの搾取が進む?

・デジタルスキルの格差は解消できるか?

です。7ページに渡り、その問題に対しての対応策などを述べているのでぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

国際単位系(SI)が変わる

より高精度の基準が、宇宙の測定方法を変えるかもしれない。

先日「キログラム定義の変更」について記事を公開しました。現行のキログラムの定義(国際キログラム原器)を改定し、定数によってキログラムを決めようという試みです。実はそれだけでなく、他の国際単位系についても同様な試みがなされています。7つの基本単位がありますが、そのうちキログラム(kg)に加えて、アンペア(A)、ケルビン(K)、モル(mol)の4つを改定しようとしています。以下に改定後の国際単位系についてのまとめを引用します。

図. 国際単位系はこう変わる(出典:Natureダイジェスト)

 

正直、日常生活ではまったく変わりません。記事では、現行の問題点や将来的にどの程度現状の不確かさが解消されるのか、図をつかってわかりやすく述べています。この”小さな”変更が影響する研究を行っているひとには大ニュースですね。定義が認められれば2019年5月に施行されるということです。

その他と特別公開記事

本号には、ケムステでもとりあげた、David Liuらの「一塩基変換法の開発」についてのニュースもありました(「4種の塩基置換に対応した「一塩基エディター」)。記事は大変わかりやすくかいてありましたが、余談ですがなんとアイキャッチ画像が一緒でした。我々も画像を購入しているので、たまたま一致したようです。こんなことってあるんですね。

さて、今月号の特別公開記事は「実験者の性別がケタミンの作用を左右する?!」「第19回 Nature Café 〜芸術はなぜ人の心を動かすのか〜「音楽と医学の学問的融合の発展を目指して」レポートの2つ。前者は短い記事ですが、マウスにケタミンを投与する実験で、投与者が男性の場合にだけ、マウスに抗うつ作用が見られるという最近の研究について述べています。後者は、「Nature Café」というトップサイエンティストを囲んで行うサイエンス・カフェの様子をレポートしたものです。今回は、ヴァイオリニストで東京藝術大学学長である澤和樹氏をパネリストとしてよんで、音楽と科学との関係について述べています。一見全く逆のダイレクションであるような2つを話題にして、それらの共通性や融合可能性について述べています。

2記事とも無料で読めますので、ぜひお試しあれ。

研究室購読

昨年から研究室購読をはじめて、1年が経ちました。研究室ではパラパラとめくられ、たまに話題にされる程度ですが、本年度も続けて購読したいと思います。卒論・修論など慌ただしい時期となっていますが、気分転換にぜひ購読してみてはいかがでしょうか。

過去記事はまとめを御覧ください

外部リンク

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 工程フローからみた「どんな会社が?」~OLED関連
  2. 天然物の構造改訂:30年間信じられていた立体配置が逆だった
  3. 第四回ケムステVシンポ「持続可能社会をつくるバイオプラスチック」…
  4. “呼吸するセラミックス” を使った酸素ガス分離・製造
  5. 子育て中の40代女性が「求人なし」でも、専門性を生かして転職を実…
  6. 無水酢酸は麻薬の原料?
  7. C–H活性化反応ーChemical Times特集より
  8. 2018年ケムステ人気記事ランキング

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【書籍】「世界一美しい数学塗り絵」~宇宙の紋様~
  2. 重水素標識反応 Deuterium Labeling Reaction
  3. 室温で緑色発光するp型/n型新半導体を独自の化学設計指針をもとにペロブスカイト型硫化物で実現
  4. 小林 洋一 Yoichi Kobayashi
  5. 顕微鏡の使い方ノート―はじめての観察からイメージングの応用まで (無敵のバイオテクニカルシリーズ)
  6. クリストファー・ウォルシュ Christopher Walsh
  7. 炭素をつなげる王道反応:アルドール反応 (2)
  8. リチウム二次電池における次世代電極材料の開発【終了】
  9. 第36回ケムステVシンポ「光化学最前線2023」を開催します!
  10. トム・メイヤー Thomas J. Meyer

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年1月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP