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化学者のつぶやき

有機合成化学協会誌6月号:ポリフィリン・ブチルアニリド・ヘテロ環合成・モノアシル酒石酸触媒・不斉ヒドロアリール化・機能性ポリペプチド

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2018年6月号が先日オンライン公開されました。

今月号のキーワードは、

「ポリフィリン・ブチルアニリド・ヘテロ環合成・モノアシル酒石酸触媒・不斉ヒドロアリール化・機能性ポリペプチド」

です。今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

今月号も4月号に引き続き、「ラウンジ」「感動の瞬間」のコンテンツなど充実した内容になっております。また、京都大学の丸岡啓二教授日本学士院賞を受賞されたことを祝し、名古屋大学の大井貴史先生がご寄稿されています。

ぜひご覧ください!

会合しないポルフィリン:高機能PDT増感剤開発の指針

宮崎大学工学部環境応用化学科 松本 仁、保田昌秀*

査読者によるコメント:

リンポルフィリンは多様な軸配位子を導入できるため,性質の制御が容易です。本論文では,水溶性の軸配位子を導入することで水中での会合を抑制し,光照射により活性酸素を発生して微生物やがん細胞の光不活性化を実現した興味深い応用について紹介します。

常温でも配座異性体が分離可能な2,4,6-tri-tert-ブチルアニリドの化学

芝浦工業大学工学部応用化学科 乙武信敬、北川 理*

査読者によるコメント:

アミドにはE/Zの幾何異性体が存在することは古くから広く認知されていましたが、安定性の低さゆえにそれらの反応性の差異を詳細に調べた例はありませんでした。本論文では窒素原子上に嵩高い置換基(2,6-di-tert-ブチルアニリン類)を備えたアミドが比較的安定な幾何異性を持つことを基盤とした、それらの選択的合成法や反応性に関する情報が記載された興味深い総合論文になっています。

アルコキシ基をもつイミンおよびアミドの特性を利用したヘテロ環合成

神戸薬科大学 上田昌史*、武田紀彦、宮田興子

査読者によるコメント:

窒素と酸素の結合を有する化合物から分子内のアルキンへ攻撃がおこり、各種の複素環が効率よく得られる。触媒と基質の選択が重要で、窒素または酸素を選択的に環内に取り込む。

O-モノアシル酒石酸触媒によるホウ素化合物の活性化

熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系) 杉浦正晴*

査読者によるコメント:

ホウ素化合物を活性化する有機触媒として、筆者が発見したO-モノアシル酒石酸を用いたa,b-不飽和カルボニル化合物の「不斉共役付加反応」に関する総合論文。基質の拡大や理論化学による反応機構の考察だけでなく、天然物骨格に含まれる光学活性化合物への合成展開についても記載されています。

カチオン性イリジウム/Me-BIPAM触媒を用いたC-H結合活性化を伴う不斉ヒドロアリール化反応

北海道大学大学院工学研究院 白井智彦、山本靖典*

査読者によるコメント:

イリジウム触媒を用いる不斉ヒドロアリール化反応です。官能基化された複素環を簡便に創る優れた手法であり、機構解析から分子間反応への展開まで、読み応え十分の総合論文です。

Phosgene-free法による機能性ポリペプチドの合成

近畿大学分子工学研究所 遠藤 剛*山田修平

査読者によるコメント:

「使いたくない猛毒のホスゲン、いかにホスゲン使用を回避して目的物を合成するか?」本総合論文にはホスゲンフリー合成法の開発経緯が紹介されています。ポリペプチドは機能性材料として極めて重要ですが、そのモノマーはこれまでアミノ酸とホスゲンから合成されていました。筆者らはホスゲンを使用しない手法で独自のモノマーを設計・合成し、しかも合成したモノマーを重合して生体適合性ポリマーの創出に成功しております。ぜひご一読ください。

Rebut de Debut: マンガン触媒によるメタノールをC1源とした炭素-窒素結合形成反応

今月号のRebut de Debutの著者は3名です!全てオープンアクセスです。一人目は、東邦大学薬学部(加藤研究室)の日下部 太一講師です。

最近数多くの報告がなされている反応が、過不足なくまとめられています。

Rebut de Debut: 二量体チオアルカロイドの全合成とファーマコフォアに隠された求電子構造

二人目は、富山大学大学院医学薬学研究部(松谷研究室)の高山 亜紀助教です。

Shenvi、MacMillan、Wu、Zakarianらによって合成されてきた二量体チオアルカロイドについて、その合成法やファーマコフォアでの反応性など最近わかった知見がまとめられています。

Rebut de Debut: ヘミン、銅イオンを担持したカーボンナノマテリアルからなる人工ペルオキシダーゼ

三人目は、千葉大学大学院薬学研究院(根矢研究室)の米田 友貴助教です。

カーボンナノマテリアルと金属イオン、もしくはその錯体との組み合わせによって、効率よく高度な変換反応を行える人工ペルオキシダーゼについて近年の研究が記されています。

巻頭言:有機反応を意のままに操るために

今月号は名古屋大学大学院工学研究科 石原一彰教授による巻頭言です。

タイトルにもありますように、有機反応を意のままに操るために、石原教授の代名詞ともいえる「テーラーメイド触媒」がいかに重要か説かれています。研究では「何ができるか」ではなく「何をすべきか」が重要であるという言葉も印象的です。オープンアクセスです。

祝辞: 丸岡啓二先生に日本学士院賞

名古屋大学の大井貴史教授による寄稿記事です。丸岡教授のご経歴や、これまでの研究、お人柄など詳細に紹介されています。オープンアクセスです。

ラウンジ: Lectureship Award MBLA 2016 受賞講演ツアーを終えて

金沢大学理工研究域物質化学系 生越友樹教授による執筆です。10ページに渡って、Lectureship Award MBLA 2016の旅行記を記されています。Lectureship Award MBLAにますます憧れました。

感動の瞬間(Eureka Moment in My research):鍵となる活性種の構造を捉えた!

感動の瞬間(Eureka Moment in My research)の第二弾は、岡山大学大学院自然科学研究科の髙井和彦教授による寄稿記事です。非常に臨場感溢れる文章で綴ってくださっています。オープンアクセスです。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

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