[スポンサーリンク]

キャンペーン

ヘテロ環ビルディングブロックキャンペーン

[スポンサーリンク]

医農薬の開発研究のビルディングブロックとして重宝されるヘテロ環骨格。現在に数多の合成法が開発され、多様なヘテロ環がうみだされています。学術研究の現場では反応開発の際の基質一般性検討にも用いられますね。

そのため現在では様々な官能基をもったヘテロ環が販売が販売されていますが、全体の需要はあるものの、1つ1つみると購入すると大変高価なものもあります。

そんなヘテロ環を欲している研究者に朗報。5月初旬から6月末にかけて、シグマ・アルドリッチ社では

ヘテロ環ビルディングブロックキャンペーン

を行っています。対象商品は5000製品以上。それらが通常の30%OFFとなります。ちょっと手が出ずに躊躇していたヘテロ環をこの機会に購入してみてはいかがでしょうか。本記事ではせっかくなんで対象となるヘテロ環を少し眺めてみようと思います(若干マニアック目なものを中心に)。

スピロ環状化合物1

現在4員環と4員環がつながったスピロヘプタンや、4員環ー5員環のスピロオクタンなどが創薬科学において注目を集めています[2]。医薬品の3次元骨格創出には安定なビアリールなどの2次元骨格に置換基を導入してつくっていくことが主流ですが、それでは細かい調整ができないベクトル方向にも置換基を導入できるからです。

3次元ビアリールとスピロ環(出展:シグマアルドリッチ

 

ETHのCarreira教授らが創業したベンチャー企業「SpiroChem」ではそのような骨格を中心として様々な創薬ビルディングブロックを取り扱っています。

今回のキャンペーンではそのようなスピロ環状化合物も全部ではないですが対象となっているようです。例えば、以下の797499797588795895など。リンクをクリックして価格を確認してみれば良いと思いますが、ぶっちゃけ30%OFFになっても、「クソ高い」です。ただ最先端創薬研究の迅速化とか、ちょっとほしいケミカルスペースを1種類だけまずつくってみたいときなどは重宝するのではないでしょうか。

ヘテロ環アライン前駆体3

古典的な複素環合成法にたよらず、ヘテロ環に置換基を導入する手法はクロスカップリング法が信頼性の高い手法として知られていますが、ヘテロ環アライン前駆体を用いる手法も知られています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のGarg教授らは、付加反応の位置選択性を”distortion/interaction model”‘(歪曲/インタラクションモデル) で予測可能であることを報告しています(関連記事:歪んだアルキンへ付加反応の位置選択性を予測する)例えば、3,4位-置換ピリジンからは、Regio異性体混合物が生成物となりますが、5-ブロモ体はレジオ選択性が高く、変換反応に適した前駆体です4

ピリダイン前駆体からの付加反応(出展:シグマアルドリッチ

このシリルトリフラートを有するピリジン置換体、795658, 795666なども今回のキャンペーンの対象となっています。

含フッ素ヘテロ環化合物

その他、様々な含フッ素ヘテロ環化合物がキャンペーン対象となっています(例:730025535087767867731390)。

以上、今回のヘテロ環ビルディングブロックキャンペーン対象の製品をいくつか紹介しました。いずれも元値が高価なだけに3割引はかなり研究費の節約となります。6月末日までなので購入希望の方はお早めにご検討ください。

参考文献

  1. シグマ・アルドリッチ製品ハイライト「新規スキャフォールド構築のためのスピロ環ビルディングブロック
  2. Carreira, E. M.; Fessard, T. C. Chem. Rev. 2014, 144, 8257. DOI: 10.1021/cr500127b
  3. シグマ・アルドリッチ製品ハイライト「ヘテロ環アライン前駆体:多官能性インドールおよびピリジンの新規合成法
  4. Goetz, A. E.; Garg, N. K. Nat. Chem. 2013, 5, 54. DOI: 10.1038/nchem.1504

関連書籍

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 光学迷彩をまとう海洋生物―その仕組みに迫る
  2. 続・日本発化学ジャーナルの行く末は?
  3. シンガポールへ行ってきた:NTUとNUS化学科訪問
  4. 米国へ講演旅行へ行ってきました:Part II
  5. 「世界の最先端で研究する」という夢と実際 ーカリフォルニア大学バ…
  6. 接着系材料におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用 -条件…
  7. 人工細胞膜上で機能するDNAナノデバイスの新たな精製方法を確立
  8. MSI.TOKYO「MULTUM-FAB」:TLC感覚でFAB-…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 決め手はケイ素!身体の中を透視する「分子の千里眼」登場
  2. 第31回「植物生物活性天然物のケミカルバイオロジー」 上田 実 教授
  3. 活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜
  4. (R,R)-DIPAMP
  5. 熱を効率的に光に変換するデバイスを研究者が開発、太陽光発電の効率上昇に役立つ可能性
  6. 第28回光学活性化合物シンポジウム
  7. アーサー・L・ホーウィッチ Arthur L. Horwich
  8. 「第55回国際化学オリンピック スイス大会」 日本代表が決定!:代表チームへの特別インタビュー
  9. 化学遺産スロイス『舎密学』とグリフィス『化学筆記』が展示へ
  10. ビギネリ反応 Biginelli Reaction

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年6月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP