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ケムステしごと

最終面接で内定をもらう人の共通点について考えてみた

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ある製薬企業での最終面接の後、社長と合否についてお話した際、こんなことがあった。

候補者は国立大学を卒業後、大手製薬企業の研究開発の部門長をしている40代後半の男性で、経験、経歴ともに申し分ない。一次面接の現場面接では好評価を得ており、問題なく採用になると見込んでいた。

 

ところが、社長の第一声は「難しいですね」の一言。理由を尋ねると、「率直に申し上げると、非常に優秀だとは思いますが、一緒に働きたいと思える人ではなかった」と。

よくよく掘り下げて聞いていくと、面接中の質問で候補者が「今の会社では役員クラスは秘書がいるのでつけてほしい」「送迎車やタクシーチケットはどうなっているか」等、言葉の端々に事業に対する意欲よりも「役員」という社会的地位とその権限への強い拘りを感じたという。

 

「正直、これまで面接に来られる方はそうゆう志向の方は多いし、特別驚きません。出世欲を否定もしませんし、同僚にもいました。ただ、経験上、そうゆう人が上に立って上手くいったケースを私は知りません」という。

「『神輿に乗るのは人任せ、神輿を降りるのは己の責任』という言葉が意味するのは、上に立つ人間というのはまわりの人が信頼し、評価した結果として自然に担ぎあげられていくものだということです。そして、引き際がきたらさっと退任する。自分から「役員になりたい。上に立ちたい」といって上に立っても、人心は掌握できない。認めてない人間の言うことは本心では聞かないでしょう。

ですから、我社に入社もしていない段階で、ポジションや待遇に拘るというのは、そうゆう力学が分からない方ということですね」。

 

採用に至らなかったのは残念ではあったが、はっとするものがあった。

この企業に限らず、社長や役員が行う最終面接ともなると、小手先だけの対策では正直どうにもならない。非常に感覚が鋭い人たちが多いし、本質的に人間性を見抜かれてしまう。ただ、いつか迎える、しかるべき一戦のときにどうゆう人が採用の切符を得ているのか、過去の例から考えてみたい。

1.ちゃんと『失敗』から学んでる人

どんな人にだって失敗はあるが、その事実の捉え方には人間性がでる。

例えば「ご自身の研究部門が事業撤退とありますが、これについてはどう考えますか?」という質問があったとする。

 

Aさんの回答:「経営者があまり研究のことを分かっていないこともあり、採算がとれないという理由だけで撤退してしまいました。前職は元々堪え性がない社風でして、他の事業も短期で縮小や撤退をしており、そういう経営方針は問題があると思っていました」

 

Bさんの回答:「事業部長として経営陣に新たな事業計画と発展性についてデータをもとに説得をしたのですが、自分の力不足もあり納得を得られず、止む無く撤退になってしまいました。非常に痛い経験ではありましたが、日常的に経営陣とコミュニケーションをとり、戦略を伝えて理解と予算を得ておくことが大切だと身を持って経験しました。」

 

Aさんが言っていることが事実であったとしても、「社風」や「経営陣」を批判しているだけで、経験から学んでいない。それに対し、本当は経営方針に問題があったとしても、「自分に本当は何かできたのか。何がまずかったのか」という苦い経験を今後の糧にしようとしている姿勢がうかがえる。こうしたBさんのようなマインドの方は、やはり面接で評価される。

 

2.チャーミングな人

ある会社の役員に最終面接で大切にしていることを聞いたときに「チャーミングな人」と言われた。言葉は違えども、意外にも採用に至った人の決め手として「笑顔がよかった」「可愛げがある」「ユーモアがある」等と言われることは結構多い。性別や職種問わず、研究職であってもここは共通しているように思う。

言い換えれば、「心の余裕がある人」ということなのかもしれない。

 

研究の仕事は地道だし、成果がすぐに出ないことは多い。そうしたストレスや課題を抱え込んだり、人にぶつけたりせずに、ときにユーモアを持って取り組むという能力は大切である。「笑顔とかチャーミングとかそんなことは仕事には関係ない」と思わず、普段から意識してぜひ試してみてほしいと思う。

3.『もらう』よりも先に『与える』人

先の例でもあったように、給与や福利厚生など「何がもらえるか」という発想が強すぎると敬遠されるケースが多い。ある企業で内定が出た候補者がポジションについての希望を聞かれた際に「役職は結構です。入社後に実績を出して評価して頂いてからの方がいいです。まずは自分が出来ることをやるのみです。」といって肩書きなしで入社したが、宣言通り、1年後には評価されて自然と役職にかれていた。

 

きちんと実績が出せるという自信があるからこそ、入社時に役職を約束させる必要がなかったのだと思う。面接時は、現職でいくら活躍していても転職先の企業には何も与えていない状況だ。

人を動かすときに重要なのはまず自分から与えることが大切で、転職活動でも同様である。

 

まとめ

研究職の面接で抜擢される人

  1. ちゃんと『失敗』から学んでる人
  2. チャーミングな人
  3. 『もらう』よりも先に『与える』人
[文]太田 裕子(おおた ひろこ) [編集] LHH転職エージェント(アデコ株会社)

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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