[スポンサーリンク]

一般的な話題

PCに眠る未採択申請書を活用して、外部資金を狙う新たな手法

[スポンサーリンク]

みなさんは毎年何本の研究申請書を書きますか?そして、残念ながら日の目を見ずに、アイデアのままパソコンに眠ってしまった申請書はいくつあるでしょうか。

どうして不採択だったのか、何を持って審査されるのか、そう思ったことはないでしょうか。審査は決して申請書の良し悪しだけではなく、審査側のそのタイミングでの狙いによっても左右されます。では、申請書を提示する相手とタイミングを変えてみてはどうか―。

そこで株式会社リバネスが運営するのが、PCに眠る研究アイデアを産業界にぶつけ、新たな共同研究の創出を狙う、『未活用の研究アイデアデータベース「L-RAD(エルラド)」』です。最近、L-RADの産業界側の会員企業として、味の素グループのファインケミカル事業の中核を担う「味の素ファインテクノ株式会社」が参画しました。

産学共同研究プロジェクトを生み出す、未活用の研究アイデアデータベース「L-RAD」

L-RAD(エルラド)は、産業応用の可能性があるものの提案する先がない「未活用の研究アイデア」を集積するプラットフォームです。未活用のアイデアを会員企業が閲覧し、また運営者である株式会社リバネスのコミュニケーターが様々な企業と接続することで、共同研究プロジェクトを創出していきます。

2016年のL-RADリリース当初に、ケムステ内でも紹介されています!

L-RAD会員企業インタビュー:味の素ファインテクノ株式会社 材料の機能性とプロセス開発を共に実現したい」

味の素ファインテクノ株式会社|新領域開拓部長 影山 裕一氏

 

味の素ファインテクノ株式会社(以下、AFT)は味の素グループにおけるファインケミカル事業の中核を担う企業だ。今回、2021年9月から10月の2ヶ月間、社内の研究員がL-RADの研究アイデアを集中的に探索し、アカデミアとの新たな共同研究の創発を図る。その狙いを、新領域開拓部長の影山氏に聞いた。

研究員の発想を拡げる

AFTはアミノ酸や核酸を合成する際に生じる中間体からエポキシ樹脂硬化剤を開発したことに始まり、以来価値の高い材料を生み出し続けている。主力製品である味の素ビルドアップフィルム®(以下、ABF)は、有機物であるエポキシ樹脂や硬化剤と、無機物の微粒子を均一に分散混合させ、絶縁性と高い加工性を併せ持つ世界初のフィルム状絶縁材として全世界の主要なパソコンのほぼ100%に用いられている。ここで培った技術をもとに、電子材料、機能性材料、活性炭の3つの事業分野を展開し、自動車、建設、食品、化学品精製、排水・廃棄処理など、暮らしを支える様々な業界に材料提供を行なっている。出口側のニーズを捉えた開発の中で培った“合成”“配合”“分散”の要素技術に、BtoBの開発では出てこない発想をぶつけることで、要素技術の応用の幅を広げる新しい技術を生み出すきっかけとして、同社が注目したのがL-RADに眠るアカデミア研究者の未活用アイデアだ。社内の研究員がL-RADを探索し、共同研究アイデアを社内提案する期間を計画的に設けることで、アカデミアとの連携から新規の研究アイデアが生まれるプロセス作りを目指すのだ。

従来の材料の限界を打ち破る研究アイデアに期待

L-RADの探索のポイントは、AFTが培った“合成”“配合”“分散”の要素技術や製造プロセスとの結合だ。例えば、上述のABFは分子の配合設計が肝になっているが、この技術・ノウハウと、アカデミアの研究者が創り出す材料の新しい機能性や概念を掛け合わせることで、従来の材料の限界を打ち破るような素材の開発に繋がると期待しているのだ。L-RADを探索する研究員は、配合設計を軸に、各々に、有機・無機を混ぜ込む分散技術、充填材の表面処理、材料の電気特性の設計などといった得意分野をもっている。「新規の合成反応に限らず、機能性分子を使った材料開発、あるいは研究現場での合成反応の効率改善や材料の性能評価等の研究も、探索の対象になります。弊社研究員と、アカデミアの皆さんの得意分野や困りごとを重ね合わせる中で、双方の研究が加速する共同開発を図りたい」と影山氏は語る。L-RADに登録することで、素材開発に関わる研究が加速する可能性のあるこの機会にぜひアプローチしてほしい。

L-RAD探索集中期間

ぜひこの機会に、未活用アイデア(これまでの成果の応用アイデアや、不採択だった申請書など)を、L-RADにご登録ください。

・味の素ファインテクノ社の集中探索期間:〜2021年10月末

(※L-RAD登録は通年受付)

・キーワード:機能性材料とその応用、素材の開発とプロセス、新規材料と配合設計 etc

<登録方法>

①リバネスIDを作成する(登録先はこちら

②リバネスID内からL-RADに申請書をアップロードする(アップロード先はこちら

<お問い合わせ>

株式会社リバネス 担当:金子、神藤

rd@Lnest.jp

本記事は、株式会リバネスからの寄稿記事です。

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり : ② 「ポ…
  2. Dihydropyridazinone環構造を有する初の天然物 …
  3. 超原子価ヨウ素反応剤を用いたジアミド類の4-イミダゾリジノン誘導…
  4. 親水性ひも状分子を疎水性空間に取り込むナノカプセル
  5. 化学パズル・不斉窒素化合物
  6. 【11月開催】第3回 マツモトファインケミカル技術セミナー 有機…
  7. 直接クプラート化によるフルオロアルキル銅錯体の形成と応用
  8. シンプルなα,β-不飽和カルベン種を生成するレニウム触媒系

注目情報

ピックアップ記事

  1. 活性マグネシウム
  2. 茅幸二、鈴木昭憲、田中郁三ら文化功労者に
  3. Organic Synthesis Workbook
  4. 「超分子ポリマーを精密につくる」ヴュルツブルク大学・Würthner研より
  5. ワーグナー・メーヤワイン転位 Wagner-Meerwein Rearrangement
  6. 石油化学プラントの設備内部でドローンを飛行する実証事業を実施
  7. MEDCHEM NEWS 33-1 号 「創薬への貢献」
  8. 酒石酸/Tartaric acid
  9. 学振申請書の書き方とコツ
  10. 製薬各社 2010年度 第2四半期決算を発表

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年10月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP