[スポンサーリンク]

一般的な話題

MEDCHEM NEWS 33-1 号 「創薬への貢献」

[スポンサーリンク]

 

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープンアクセスとなりました 33-1号 (2023年2月発行)の紹介です。

各項目のタイトルおよび画像から該当記事へ飛べます (新しいタブで開きます) ので、隅々までご覧ください。

■巻頭言

創薬への貢献を目指して:理研の取り組み
小安 重夫

理化学研究所

本号の巻頭言は、理化学研究所 (理研) の小安理事にご執筆頂きました。創薬テーマを大きく発展させ臨床現場につなげる「創薬・医療技術基盤プログラム (DMP)」や、理研の最先端プラットフォームをつなぐ「Transformative Research Innovation Platforms of RIKEN Platforms (TRIP構想)」といった創薬研究のための意欲的な取り組みについて述べられています。ぜひご一読ください。

■創薬最前線

東和薬品の挑戦 ~追究と進化~
内川 治, 奥田 豊
東和薬品株式会社

本号の創薬最前線は、「東和薬品の挑戦 ~追求と進化~」です。本誌では初めてのジェネリック医薬品会社の創薬開発の紹介となります。東和薬品のたゆまぬ改良と改善を重ねた究極の製品化を目指す「製品総合力 No.1の製品づくり」への真摯な取り組み姿勢が伝わってきます。ぜひご一読ください。

WINDOW

日本スクリプス会の活動とスクリプス研究所の近況
北村 精也*1, 藤井 郁雄*2
*1 Albert Einstein College of Medicine, *2 大阪公立大学

スクリプス研究所Schultz 所長や Sharpless 博士など多くの著名な研究者が在籍し、企業や大学とは一線を画す先端的な民間研究所として知られています。スクリプス研究所と縁のある研究者の交流・情報交換の場である日本スクリプス会の紹介記事です。留学を検討している方は、是非ご一読ください。

■ESSAY

ニコチンアミドモノヌクレオチドを用いた加齢性ドライアイ治療へ
蕭 穗文, 土居 雅夫
京都大学

学術変革領域「パラメトリク翻訳」代表の土居雅夫先生による ESSAY で、ホルモンの自給自足のメカニズムに基づいたドライアイの治療法について述べられています。NAD+の前駆体を点眼投与することによって局所ステロイド濃度を上げ、マイボーム腺細胞を再生するという大変興味深いメカニズムです。ぜひご一読ください。

DISCOVERY

SARS-CoV-2 3CLプロテアーゼ阻害剤 YH-53 の創製
林 良雄, 今野 翔
東京薬科大学

2003年の SARS 発生時から始まった 3CLpro 阻害剤の研究が、COVID-19 治療薬に生かされ、世界に貢献した経緯の紹介です。素晴らしい研究成果には、国籍を超えた複数の専門家による協力が必要不可欠であることを改めて認識しました。是非ご一読ください。

SEMINER

3D電子回折と固体NMR:低分子微結晶の構造解析
西山 裕介
理化学研究所

理研ナノ結晶解析ユニットリーダーの西山裕介博士らは、電子回折 (microED) 及び固体 NMR によって、1 μm以下の微結晶から低分子有機化合物の水素位置も含めた結晶構造を直接観測する手法を開発しました。未知の結晶形の検出や品質管理等に活用されることが期待されます。

■SEMINER

レドックス活性を利用した抗体修飾と応用
金井 求*1, 生長 幸之助*2, 豊邉 萌*1
*1東京大学
*2産業技術総合研究所

タンパク質の特定アミノ酸を標的とする新しい反応に関する解説記事です。従来からの求電子剤によるシステインやリジン残基の修飾法とは異なる、レドックス反応を利用したチロシン、トリプトファン、メチオニン残基に対する反応化学の新しい開発と応用が丁寧に解説されています。ぜひ、ご一読ください。

本記事に関連したケムステ記事
トリプトファン選択的なタンパク質修飾反応の開発 (スポットライトリサーチ)
タンパク質機能をチロシン選択的な修飾で可逆的に制御する (スポットライトリサーチ)
メチオニン選択的なタンパク質修飾反応

■COFFEE BREAK

蚕 (カイコ) の創薬への貢献
瀬筒 秀樹
国立研究開発法人 農業・食品産業技術研究機構

蚕 (カイコ) で組換えタンパク質を生産する方法を開発されている瀬筒先生が,カイコの創薬活用に関する展望を解説されています。カイコの研究は日本で進んでおり,近い将来,世界に先駆けて日本でカイコを活用した医薬品が創製されるかもしれません。

REPOET

アジア新興国から優秀な留学生を
上杉 志成*1, 中島 光恵*2
*1京都大学, *2ACBI事務局

アジアのケミカルバイオロジー研究者のコミュニティーである Asian Chemical Biology Initiative (ACBI) の狙いと取り組みが紹介されています。10 年以上に渡る ACBI の献身的な貢献をぜひご覧ください。

関連書籍

本号の「BOOKS 紹介」より①

核酸科学ハンドブック (KS化学専門書)

核酸科学ハンドブック (KS化学専門書)

¥9,350(as of 12/14 22:49)
Amazon product information

本号の「BOOKS 紹介」より②

コロナと創薬 なぜ日本の製薬企業は出遅れたのか

コロナと創薬 なぜ日本の製薬企業は出遅れたのか

橋本 宗明
¥2,372(as of 12/14 22:49)
Release date: 2022/04/28
Amazon product information

MEDCHEM NEWS 紹介記事バックナンバー

MEDCHEM NEWS 32-4 号「創薬の将来ビジョン」
MEDCHEM NEWS 32-3号 「シン・メディシナルケミストリー」
MEDCHEM NEWS 32-2号 「儲からないが必要な薬の話」
MEDCHEM NEWS 32-1号「機械学習とロボティックス特集」
MEDCHEM NEWS 31-4号「RNA制御モダリティ」
MEDCHEM NEWS 31-3号「ケムステ代表寄稿記事」
MEDCHEM NEWS 31-2号「2020年度医薬化学部会賞」
MEDCHEM NEWS 31-1号「低分子創薬」
MEDCHEM NEWS 30-4号「ペプチド化学」
MEDCHEM NEWS 30-3号「メドケムシンポ優秀賞」

Avatar photo

DAICHAN

投稿者の記事一覧

創薬化学者と薬局薬剤師の二足の草鞋を履きこなす、四年制薬学科の生き残り。
薬を「創る」と「使う」の双方からサイエンスに向き合っています。
しかし趣味は魏志倭人伝の解釈と北方民族の古代史という、あからさまな文系人間。
どこへ向かうかはfurther research is needed.

関連記事

  1. まず励起せんと(EnT)!光触媒で環構築
  2. 第51回ケムステVシンポ「光化学最前線2025」を開催します!
  3. サムスン先端研恐るべし -大面積プリンタブルグラフェンの合成-
  4. MSI.TOKYO「MULTUM-FAB」:TLC感覚でFAB-…
  5. マテリアルズ・インフォマティクスの基礎知識とよくある誤解
  6. Brevianamide Aの全合成:長年未解明の生合成経路の謎…
  7. 配位子が酸化??触媒サイクルに参加!!
  8. 日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン P…

注目情報

ピックアップ記事

  1. アメリカの大学院生だってパーティするっつーの! 【アメリカで Ph.D. を取る –Qualification Exam の巻 後編】
  2. 巨大複雑天然物ポリセオナミドBの細胞死誘導メカニズムの解明
  3. タルセバ、すい臓がんではリスクが利点を上回る可能性 =FDA
  4. イヴァン・フック Ivan Huc
  5. イライアス・コーリー E. J. Corey
  6. サントリー、ビールの「エグミ物質」解明に成功
  7. ブライアン・ストルツ Brian M. Stoltz
  8. 伝わるデザインの基本 増補改訂3版 よい資料を作るためのレイアウトのルール
  9. 有機合成化学協会誌2023年9月号:大村天然物・ストロファステロール・免疫調節性分子・ニッケル触媒・カチオン性芳香族化合物
  10. プラトー反応 Prato Reaction

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2024年2月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
26272829  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP