概要
Adobe Illustratorを用いたイラスト作成の入門書。すぐに使えるイラスト素材が300点近く掲載されている。配色やレイアウトをセンス良く見せるコツも掲載。
Part1 イラスト素材一覧
Part2 Illustratorの基本
Part3 Illustratorの便利な機能
Part4 立体的な図の描き方
Part5 描画と配色のコツ
付録:研究発表ポスターのデザイン
対象
Adobe Illustratorをこれから使う人や基本をおさらいしたい人。レポートをこれから作成していく学部生にオススメ。
解説
本書は冒頭でたくさんのイラスト素材が掲載されており、続いてAdobe Illustratorの基本説明やイラスト作成のシンプルなテクニック、コツへと展開していく。まずパネルの説明から入るほど丁寧な構成であるため、Adobeソフト初心者の解説書として最適である。

本書P30より
掲載されているイラストはバイオ系主体である。例えばミトコンドリアを描くケムステ読者は多くないと思われるが、立体的なディッシュの描き方、メッシュツールの使い方などは身につけておくと応用が利く。写真から直接ベクター画像をおこすトレースはさまざまな場面で使える便利な手法であるため、覚えておいて損はないだろう。

本書P42より
Web上にはさまざまなIllustrator解説記事がアップロードされているが、リンクをたどって練習していくのは根気がいる作業である。このような解説書が1冊手元にあると便利であると感じた。本書に掲載された各素材はWebから直接ダウンロードすることが可能であり、加工して利用できる。勉強会や自主ゼミなどで練習してみるのもいいだろう。最後には簡単であるが、配色のコツやわかりやすいポスターデザインについても触れられている。
最近はフリーイラスト素材が充実しており、組み合わせ次第では論文の図を作成することも可能である。しかしイラスト作成技術はさまざまな場面で役に立つため、早い段階からきちんと基礎を学んでおくことは大切である。余談だが、著者である田中佐代子・筑波大教授は科学者のためのビジュアルデザインハンドブックという冊子を以前に無料配布しており、GENも学生の頃入手して参考にした経験がある。東大や筑波大の図書館には並んでいるようなので探してみるといいかもしれない。
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