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化学装置~化学業界のリーディングマガジン~

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化学装置 2022年 07 月号 [雑誌]

化学装置 2022年 07 月号 [雑誌]

¥4,870(as of 07/27 02:15)
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概要

半世紀以上、発行を続けてきた化学工業分野唯一の専門技術雑誌。プラントエンジニアリング、化学機器装置の設計、施工から粉粒体処理技術、省資源・省エネルギー技術、環境保全技術(水、排水処理・排ガス処理・固体廃棄物処理)、食品・医薬品・化粧品製造技術までその内容は広範囲に及びます。時代の話題を先取りし、最先端の化学技術情報からネットでは得られない「使える現場技術」情報が満載です。機器・装置の選定決定者や工務担当者、装置開発・設計者必携の月刊技術雑誌です。(引用:Fujisan.co.jp

対象者

食品・医薬品・化粧品を含む化学品の製品開発や製造プロセス、安全管理に関わる技術者。製造に関する内容にとどまらず、大学や研究機関での研究活動でも役立つ内容も掲載されています。

解説

化学の月刊誌と言えば化学現代化学が有名で、これらの雑誌では最新の化学に関する研究トピックを分かりやすく解説しており、専門外の内容について日本語で触れることができる貴重な情報源です。値段も手ごろであり、個人で購入し毎月愛読している人もたくさんいらっしゃるかと思います。そんな化学一般雑誌とは一線を画すのが化学装置であり、化学品の製造活動に主眼を置いた内容を掲載しています。

マニアックな専門誌は各種業界から多く発行されておりますが、一冊五千円以上したり、定期購入のみでしか購入できないなど、企業での購入を前提としている雑誌も多くあります。一方、化学装置はアマゾンで各号販売されていますし、1部1980円と全く手が届かない価格ではないため、個人での購入も現実的な雑誌です。

以下、雑誌の内容を紹介していきますが、自分が購入したのは、化学装置2022年7月号であり、他の号では項目が大きく異なるかもしれません。

まず表紙を開いて掲載されている内容は広告であり、化学品の製造装置や部品が紹介されています。製造装置の購入を検討している場合には大変有用な情報ですが、それ以外にも食品や化学品の製造においてどのような問題があり、その問題を解決するためにどのような工夫が装置に施されているかを知ることができます。

掲載されている食品用ポンプ

製造分野で使う機器以外にも研究用途の機器もいくつか紹介されています。

掲載されているスプレードライヤー

本編の冒頭には巻頭言と技術トピックスが掲載されています。7月号では、iPS細胞由来NK細胞を大量に培養するための自動培養システムの納入について発表しており、技術的な内容としては細胞培養に最適な撹拌方法について詳しく論じられています。雑誌の中で最もボリュームのあるコンテンツは、特集の内容であり7月号では次世代医薬・化粧品(ファインケミカル)製造技術についていくつかの特設記事が掲載されていました。最初の記事である化粧品の最近の市場動向と技術傾向は、コロナで各化粧品の売り上げがどう変わったのか、どのような過程を経て新商品が作られるのか、商品開発におけるAIの活用方法などについて論じており、化粧品の専門家でなくても興味を持つことができる記事の内容でした。

特設記事の多くは製造装置についてで、より安全に効率的に化学品を製造するための各種装置の工夫が内容となっています。こちらは広告とは異なり、技術背景や工夫した点、製造結果などが詳しく解説されています。どの記事も技術的な課題と対策がはっきりしていて、専門外でも楽しめる内容でした。

特徴的な連載記事は安全談話室です。記事は二段構成になっており、一ページ目にProcess Safety Beaconの内容が掲載されています。その上で、談話室のメンバーが内容について議論を行い、事故をオリジナルの内容よりも深堀りしています。7月号では“もし~したらどうなるか?” ハザードレビューのための重要な質問というトピックについて取り上げており、議論では事故の最終報告書を参照しての事故原因解明や防止策の提案、日本での似たような事故事例の確認、事故防止に必要な考え方の提示などがなされています。安全に対する正しい知識と考え方を持っていることも研究者・技術者としては重要な要素ですので、この安全談話室から多くのことを学べると思いました。

読んでみると製造装置だけでなく、化学品製造全体に関する内容をカバーするコンテンツであることが分かりました。今回紹介した内容以外にも興味深い記事はあり、例えば8月号からは新しい連載、AI化学工学への応用が始まっているようです。バックナンバーの購入も可能ですので、自分に興味のある号のみピックアップして読むのも良いかと思います。

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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