[スポンサーリンク]

ケムステニュース

宇部興産、オランダDSM社と「キラル技術」で提携

[スポンサーリンク]


宇部興産
(株)(社長:常見和正)は、本日、オランダのDSM N.V.社(CEO ピーター・エルバディング。以下「DSM」)と、DSMが持つ均一系触媒キラル技術2件(「MonoPhos」と「Shi Epoxidation Catalyst」。以下「本技術」)の日本における使用権と技術評価を含む技術導入について、基本合意に達した。(引用:
日経プレリリース)

 

 monophos([4,N,N-Dimethylamino]dinaphtho[2,1-d:1′,2′-f][1,3,2]dioxaphosphepin)はグローニンゲン大学・フェリグナ教授が開発したオレフィンの触媒的不斉水素化反応のためのリガンド(配位子)です。触媒的な不斉水素化反応は2001年にノーベル化学賞を受賞した野依教授のBINAPがあまりにも有名ですね。非常に有用で高収率、高いエナンチオ選択性が得られます。しかし、水素添加の場合、BINAP-Rhでも多少なりとも高圧を必要とします。水素バルーン程度で反応が瞬時に進行するような高活性な不斉触媒があればよいのですが。また、どのようなオレフィンでも高いエナンチオ選択性が出るとも限りません。まあオールマィティ触媒では研究は終わってしまうのですが。

 

もうひとつはコロラド州立大学・シー教授(アメリカ)よって開発された不斉エポキシ化の触媒です。不斉エポキシ化といえば、先の野依教授と同時に受賞したスクリプス研究所のシャープレス教授が有名ですが、シー教授は有機触媒を用いて、シャープレスのエポキシ化反応では高い光学収率が望めない基質に対して、良い結果が得られています。

 

不斉合成の触媒は非常に良い結果が得られる触媒であっても、作るのが非常に苦労したり、不安定なものも多いです。高活性、高い光学収率が得られ、安定かつ、安価な容易に得られる、さらに環境思考である不斉触媒が求められています。難しいですね。上記のものはどちらにしても買うと高いんですよね。安くなると使ってもらえますね。

関連書籍

 

関連リンク

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. iPhone7は世界最強の酸に耐性があることが判明?
  2. 光触媒による水素生成効率が3%に
  3. 堀場氏、分析化学の”殿堂”入り
  4. 「女性用バイアグラ」開発・認可・そして買収←イマココ
  5. ヤクルト、大腸の抗がん剤「エルブラット」発売
  6. 味の素と元社員が和解 人工甘味料の特許訴訟
  7. 化学物質MOCAでがん、4人労災
  8. GoogleがVRラボを提供 / VRで化学の得点を競うシミュレ…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 武田 新規ARB薬「アジルバR錠」発売
  2. 第九回 均一系触媒で石油化学に変革を目指すー山下誠講師
  3. 「魔法の水でゴミの山から“お宝”抽出」
  4. 【24卒 化学業界就活スタート講座 5月15日(日)Zoomウェビナー開催決定!】化学系学生のための就活×太陽ホールディングス
  5. 【第一回】シード/リード化合物の創出に向けて 2/2
  6. マスクをいくつか試してみた
  7. 東亜合成と三井化学、高分子凝集剤の事業統合へ
  8. 続・企業の研究を通して感じたこと
  9. ケンダール・ハウク Kendall N. Houk
  10. Reaxys Prize 2011募集中!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年4月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP