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阪大で2億7千万円超の研究費不正経理が発覚

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大阪大は25日、大学院情報科学研究科の教授(52)ら3人が、少なくとも約2億2000万円の研究費を不正に経理処理していたと発表した。公的な研究費を出入り業者に「預け金」としてプールさせるなどし、定められた目的以外の実験や研究に使っていたという。

不正を行っていたのは、教授と工学研究科の名誉教授(70)、50歳代の元助手。3人は2002年3月末までともに同科に所属していた。昨年末、大学の監査室に告発があり、大学が設けた調査委員会が調べていた。(引用:読売新聞

 

年の瀬に驚愕のニュースが入ってきました。大阪大学の研究室で2億円を超える巨額の不正経理が発覚したというニュースです。不正経理と認定されたものはいわゆる「預かり金」。品物を買ったことにして業者にお金をプールし、使いたいときに使えるような形にしていた、というものです。大抵は言うことを聞いてくれる業者にリベートを渡したり・・・という癒着関係に発展しがちなのが、良くない側面とされています。10年以上続けていたという話なので、旧教授世代の慣習をそのまま引き継いでたのかもしれません。しかし締め付けが厳しくなった現代では、ルール違反の筆頭株として真っ先にチェックされてしまう典型です。

長らくこの悪習は単年度決算という非常~に使いにくい研究費制度に根があるとされてきました(詳しい話は関連リンクを参照ください)。研究は複数年度にまたがるスパンでやるのが普通な一方、計画通りに行かないこともこれまた普通に起こります(極論すれば計画通り行くようなプロジェクトなら、研究する必要無いとすら言えます!)。その一方で、お金の使用期限が12ヶ月と厳格に決まっているわけです。競争に勝って取ったせっかくのお金、プロジェクト後は同じ額が取れるか分からない。何とかして上手く使わねばならない・・・という差し迫った事情から編み出された「ウラワザ」的なやり方ともいえるでしょうか。

もう一つの根源は、取引業者を介した発注システムが永続していることにあるでしょうか。ネット時代は商品情報を調べるのも容易です。自分で直接販売元に問い合わせたうえで発注をかけることもできるはずです。しかしなぜかそういうものでも代理店/取次業者を介して購入しなくてはならず、研究者自身が直販で買えないという慣習(?)です。取次業者は利便性を主張しますが、研究者側の時間負担軽減や明朗会計化が目的なら、大学・機関で発注担当部門か電子発注システムを作ればそれで問題ないようにも思えます(毎日のように要らない商品の代理店営業が来るの正直ウザくて、そちらのほうがよほど時間的に圧迫されてる気がします)。とはいえ大学側もそれを維持できるお金がないのでしょう。どうにも上手く出来てません。

 

筆者も立場上、ラボの経理に関わることが多くなってきました。預かり金・カラ発注・カラ出張は、事務からことある毎に注意喚起を受ける典型です。巨額のグラントを貰っているほど(嫉妬心も手伝ってか)標的になりやすく、風当たりも厳しい傾向があります。そういう機関ほど、蟻一匹見逃さないような高度事務作業を行う必要に迫られています(そんなものを研究者が兼任するのは全く現実的では無いと個人的には思うのですが・・・)。

しかし、門前の小僧習わぬ経を読む・・・そういう文化で過ごしていると、何とはなしに意識も育ってきます。これに限らずアカデミアの不正経理が騒がれることの多い昨今、未だにこういうものが発覚する現実も俄に信じがたいところがあります。昔ながらの文化でずるずるやってるところは、まだ想像以上に多いのかも知れません。

これからラボを率いるつもりの皆さんは、研究の本分ではないことで足下を掬われないように、くれぐれもお気を付けください。

 

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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