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クラブトリー触媒 Crabtree’s Catalyst

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概要

[Ir(cod)(PCy3)(Py)]PF6Crabtree触媒と呼称される取り扱い容易なカチオン性錯体であり、均一系水素化触媒として働く。エール大学のロバート・クラブトリーによって開発された。

Wilkinson触媒などでは反応させることが難しい四置換オレフィンでも水素化を行うことが可能。配位性官能基が存在すると配向を伴った還元が行える。

基本文献

<Review of Directed Hydrogenation>

 

反応例

活性が高く、4置換オレフィンの水素化を行えることが特徴。

(-)-Calyciphylline Nの合成[1]: 配位性のより弱いBARFアニオンに置き換えた高活性触媒[2]を用いている。

crabtree_cat_3

ヒドロキシル基が配向基となって選択的な還元が行える[3]。

crabtree_cat_4

 

参考文献

[1] Shvartsbart, A.; Smith, A. B., III J. Am. Chem. Soc. 2014136, 870. DOI: 10.1021/ja411539w
[2] Wustenberg, B.; Pfaltz, A. Adv. Synth. Catal. 2008350, 174. DOI: 10.1002/adsc.200700438
[3] Robert H. Crabtree and Mark W. Davis J. Org. Chem. 1986, 51, 2655. DOI: /10.1021/jo00364a007

関連書籍

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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