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CASがSciFinder-nの画期的逆合成プランナーの発表で研究・開発の生産性向上を促進

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CAS launched a computer-aided retrosynthetic analysis solution that systematically identifies new pathways to chemical compounds. Now available to all SciFindern users, this next-generation capability is empowering chemistry researchers around the world to rapidly identify, compare and prioritize alternative synthetic pathways.    (引用:化学情報協会 プレスリリース7月2日)

2017年1月に公開されたSciFindern ですが、逆合成ルートを探索できる機能が新たに追加されました。通常、目的の化合物を得るために合成ルートを検討し、一つ一つのステップに対して過去の文献の調べて最適な反応を計画しますが、SciFindernの新機能Retrosynthesis Planner を使うと,一度に合成ルートを調べることができます。

使い方は簡単で、検索した構造や作図した構造でCreate Retrosynthesis PlanをクリックするとRetrosynthesis Plannerが起動して合成ルートが表示されます。反応全体の収率、合成するのに必要な試薬コストなども表示されます。各反応の詳細についてもマウスオーバーで表示され、代替反応の検討も可能です。合成ルートの検索履歴は保存され、ダウンロードも可能です。まさにこのRetrosynthesis Planner は、多段階合成のカーナビといったところでしょうか。

今後、カーナビのルート選択のように、ステップが少ないルートや高価な試薬を使わないルート、危険性が高い試薬を使わないルートなどコンセプトに合わせた合成ルートを選択できるような機能が追加されることを個人的には期待します。また本機能は報告されている化合物にのみ有効な機能ですが、機械学習やAIなどにより新規の化合物に対しても合成ルートを提案できるようになれば、合成研究はさらに加速できるのではないかと思います。

このRetrosynthesis Plannerは、9月10日11日に開かれるSciFinderフォーラム2019にて、詳細な紹介があるようです。

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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