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カネカ 日本の化学会社初のグリーンボンドを発行

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株式会社カネカは、第7回無担保普通社債として、カネカ生分解性ポリマーPHBH(以下、PHBH)の製造設備および研究開発の資金調達を目的とするグリーンボンド(環境債)を発行します。募集金額は50億円、発行年限は5年で2019年9月発行予定です。グリーンボンドは、ESG債のひとつで、環境問題の解決に貢献する事業に資金使途を限定した債券です。事業債として日本の化学会社では初めての発行となります。 (引用:8月26日カネカプレスリリース)

馴染みのない言葉が連なっていますが、簡単に言うとカネカは生分解性ポリマーの製造設備および研究開発の資金を調達するために社債を発行するということです。社債は株式とは異なり、会社が借金をするようなイメージで、毎年利息分を社債購入者を支払い、満期になったら元本を返済するものです。購入者からすれば、一般的に利率が定期預金や国債よりも高いですが、発行した会社が傾くと元本が戻ってこないリスクもある投資となります。今回カネカは社債をグリーンボンドとして発行しますが、そもそもグリーンボンドとは、環境改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)に充当する資金を調達するために発行する債券を指します。グリーンボンドとして社債を発行することで、環境改善に取り組む姿勢をアピールでき、社会的な支持を得ることができます。また、ESG(Environment、Social、Governance)投資に関心が高い投資家からに対してアピールすることができ自社への投資家層を広げることもできます。ただし勝手にグリーンボンドとして社債を売り出すことはできず、下記の項目を遵守することが求められています。

  • グリーンプロジェクトに使われる資金であること:当然集めた資金は、環境に関連したプロジェクトで使われなくてはなりません。カネカの場合には汚染防止および管理高環境効率商品、環境適応商品、環境に配慮した生産技術およびプロセスのグリーンプロジェクト・カゴテリーの目標として実施するようです。
  • プロジェクトの計画が正しいこと:目的が正しくても計画がない場合には適正とは言えません。そのため、目標、グリーンボンドを発行するに至った経緯、リスクなどが明確にしておく必要があります。
  • 調達資金の適切な管理:適切なお金の管理は必須です。
  • レポーティング:すべての調達資金が充当されるまでは、資金使途に関する最新情報を報告し続けることが求められます。

SDGs開発目標、本プロジェクトでは12から15に該当しているとしています。

さらに上記の項目を適切に行っているかを確認するため、外部機関によるレビューを受けることを推奨しています。カネカの場合では株式会社格付投資情報センターのグリーンボンドアセスメントにおいて、最上位評価である「GA1」予備評価を取得したそうです。日本の化学会社で、グリーンボンドを発行するのはカネカが初めてのケースですが、日本で初めてグリーンボンドを発行したのは、2014年の日本政策投資銀行で、それ以来様々な企業がグリーンボンドとして社債を発行しています。近年資金調達の方法は、クラウドファンディングなどの一般化によって多様化しており、このグリーンボンドも環境活動をアピールしつつ資金集める方法としてより一般化するかもしれません。

お金の話はこれぐらいにしてカネカ生分解性ポリマーPHBH(商品名:AONILEX)について見ていきたいと思います。PHBHは、微生物が植物油を摂取し、ポリマーとして体内に蓄えたものを取り出した植物由来材料で、ごみ袋や使い捨て食器など様々なプラスチック製品の原料として使うことができます。1991年に発見されてから収率を向上するために生物工学的に研究が行われ、2011年に本格的な生産を始めました。

PHBHの構造

肝心の分解性の評価ですが、紙の成分であるセルロースと同等以上の生分解性を有することが実験で示されています。またこのPHBHの特徴は海洋分解性にあり、海水に浸しておくと一か月で95%以上が分解されることが分かりました。各環境で分解性がある材料であることを示す下記の欧州の規格があり、これらすべてをPHBHは取得しているようです。

  • OK compost Industrial Composting:ごみ処理場での生分解性
  • OK compost HOME:一般家庭での生分解性
  • OK biodegradable SOIL:森林土壌での生分解性
  • OK biodegradable WATER:活性汚泥中での生分解性
  • OK biodegradable MARINE:海水中での生分解性
  • OK biobased 4 star:バイオベースの炭素含有量が80%以上

規格のロゴ

それぞれの規格には、分解性を評価する試験があり、それをパスしないと認定されません。特にMARINEの環境では分解する生体が少ないため、生分解されにくいことが知られています。EUを中心に叫ばれているプラスチックの海洋汚染問題はこのような環境の違いによるプラスチックの分解性の違いから来てるようです。その点、海水だけでも分解するPHBHは将来性が高く、カネカも需要の増加を見越して増産に踏み切ったようです。

先日、紙のストローがたまたまカフェで出されましたが、口にした感触はザラザラで、しゃべっているうちに柔らかくなってしまい、使えないわけではありませんが、使いにくい印象を持ちました。ストロー以前にカップのほうがプラスチックの面積が大きく削減に貢献するなどの意見もありますが、無理に代替するよりは、プラスチックの使用をなるべく減らしつつ、必要なところにはこのPHBHなど生分解性のプラスチックを使っていくのが正しい戦略ではないでしょうか。

※ケムステは、この情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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