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第54回国際化学オリンピックが開催、アジア勢が金メダルを独占

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世界の高校生らが化学の難問を解いて競う第54回国際化学オリンピック大会(IChO 2022)が中国(天津)の主催でオンライン開催され、日本代表は初めて4人全員が金メダルを獲得した。 (引用:高校生新聞7月19日)

世界中の化学のエキスパート生徒が集い、化学の難問を解いたり生徒同士で交流を行う化学オリンピック。今年は、中国の天津で開催される予定でしたが、2020年のトルコ、昨年の日本開催同様、コロナウィルスの影響でオンラインでの開催となりました。

IChO 2020の様子

2022年の化学オリンピックは7月10日から18日までの予定で行われ、セレモニーやワークショップなどは中国時間の日中から夕方にかけて行われました。試験については時間を選択でき、時差で不公平にならないような配慮がなされたようです。84か国・地域から326名が参加し、日本からは化学グランプリと選抜試験を勝ち抜いた4名が参加されました。

  • 筑波大学附属駒場高等学校 2年 石川 貴士さん
  • 伊勢崎市立四ツ葉学園中等教育学校 6年 柏井 史哉さん
  • 浅野高等学校 3年 直井 勝己さん
  • 立命館慶祥高等学校 3年 中地 明さん

結果、4人全員が金メダルを獲得という素晴らしい結果になりました。全員の金メダルは、2003年の化学オリンピックに派遣開始以来初めてのことです。おめでとうございます!

日本以外に目を向けると、中国ベトナム台湾、Inidividual participantとして参加したロシア4つの金メダルを獲得し、韓国、イラン、ルーマニア、シンガポールが2つの金メダルをアメリカ、トルクメニスタン、トルコ、ブルガリア、ポーランド、チェコ、イスラエルが1つの金メダルを獲得しました。アジア勢が多く金メダルを獲得している状況はここ数年の結果と比べて同じで、アメリカやヨーロッパ勢がより上位に食い込んでくれると、世界的により盛り上がるのかもしれません。

本来であれば参加者が開催国に赴き、問題にチャレンジするだけでなく、記念公演に参加したり観光をしたりして参加者同士の交流を深めるものですが、今はできない状態です。それでも大会主催者はできることを模索し、たくさんのオンラインイベントを作り上げたようで、それをCatalyzerNewsから垣間見ることができます。また開催のCo-Organizersとして通信機器メーカーのHuaweiが入り、またパートナー企業には有数の化学メーカーであるDowSinopecが名を連ねており、各社化学オリンピックを強力にバックアップしていたようです。

ウクライナからもこの第54回国際化学オリンピック大会に参加しており、三名の方が銀メダルを獲得されております。化学オリンピックに参加された方々には国籍関係なく皆、世界で活躍するような化学者になってほしいと思います。

来年の化学オリンピックはスイスで開催されます。日本での一次選考となる化学グランプリ 2022は7月18日に開催されており、すでに代表選考が始まっています。来年こそは現地で開催されることを切に願います。

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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