ネオンは、今は少なくなった街を彩るネオンサインのもととして有名。意外に思われるかもしれませんが、実はネオン自体は無色で、非常に安定な気体なのです。
ネオンの基本物性データ
分類 | 貴ガス(希ガス) |
---|---|
原子番号・原子量 | 10 (20.1797) |
電子配置 | 2s22p6 |
密度 | 0.8999kg/m3 |
融点 | –248.67℃ |
沸点 | –246.05℃ |
硬度 | — |
色・形状 | 無色・気体 |
存在度 | 地球—、宇宙 3.44 x 106 |
クラーク数 | 5 x 10-7 |
発見者 | ウィリアム・ラムゼー、モリス・トラバース(1898年) |
主な同位体 | 20Ne (90.48%), 21Ne(0.27%), 22Ne(9.25%) |
用途例 | ネオンサイン、レーザー光の原料 |
前後の元素 | フッ素ーネオンーナトリウム |
新しい貴ガス元素
ネオンはイギリスの化学者ラムゼーとトラバースらにより、1898年に発見されました。ネオンという名前は、ギリシャ語の「新しい」を意味するneosに由来しています。
それまで貴ガスとして、ヘリウムと、ラムゼーとレイリーによって発見されたアルゴンは知られていました。しかし、メンデレーエフの提唱した周期表によると、その間に未知の元素があるはずだったのです。それを発見したため「新しい」という意味の名前がつけられました。
ネオンはヘリウムやアルゴンと同様に、外側の電子軌道にすべての電子が詰まっているため、化学的に安定な元素であり、単原子分子として存在します。
ウィリアム・ラムゼー
1852-1916年。イギリスの化学者。ほとんどの貴ガス元素を発見した。ヘリウムはすでに発見されていたが、太陽のスペクトル線の中であり、地上ではラムゼーがウラン鉱に含まれる窒素の中に発見した。1904年、空気中の貴ガスの発見によりラバースとともにノーベル化学賞を発見した。
夜の街を彩るネオンサイン
250〜400Paのネオンを封入したガラス管の両端をつないで放電すると光る原理を利用したのが、ネオンサインです。フランスの科学者ジョルジュ・クロード(Georges Claude)によりつくられ、1900年代初頭のパリ万国博覧会で初めて公開されました。
日本では東京の日比谷公園で最初に点灯されました。最近ではLED(発光ダイオード)などほかの光源が主流ですが、いまでも夜の街を彩るために多く利用されています。
しかし、ネオンサインとはいいますが、ネオンを封入したネオン管は赤橙色で、表現できる色は赤系の色のみです。その他の色を表現するためには、ほかの物質を封入する必要があります。例えば、ヘリウムは黄色、アルゴンは赤色〜青色、水銀(Hg)は青緑色、窒素(N2)は黄色の色を発します。
コラム:ネオンサインといえばグリコ?
ネオンサインと聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?筆者は大阪・道頓堀にあるグリコのネオンサインを思い浮かべます。
このネオンサインは、なんと戦前の1935年からあるそうで、改装をへた5代目グリコネオンサインは1998年に公開されました。大阪城や通天閣など大阪の街が描かれ、空の部分のネオンの色を替えることによって、昼、夕焼け、星空、そして朝と、2分7秒かけて変わっていきました。この空の部分には青色(アルゴンガス着色管)、赤色(ネオンガス)、黄色(アルゴンガス蛍光管)が使われており、これらを組み合わせることによって色を変化させていたそうです。
この「5代目」も現在では公開終了、改装され2014年より6代目グリコサインが表示されています。そして残念ながら6台目はLEDとなってしまいました。時代の変化と技術の革新を感じます。