[スポンサーリンク]

archives

第七回 巧みに非共有結合相互作用をつかうー Vince Rotello教授

[スポンサーリンク]

 ショートインタビュー第7回目はマサチューセッツ大学Amherst化学科・Vince Rotello教授です。彼は生物学的・材料的な応用に向けての、界面ナノシステムの研究に取り組んでいます。

Q. あなたが化学者になった理由は?

10歳頃、化学技術者だった叔父の一人と出会った。 私たちは化学について少し話し始め、そして彼は有機化合物の構造を、いくつか描いて見せてくれた。 炭素、水素、酸素、窒素から、バラエティ豊かな構造が作り出されることに私は魅了され、やがて自分でも、ノートに新たな構造を描き始めるようになった。 共有結合、もしくは非共有結合にて構成成分をつなぎあわせ、新たな物質を創りだせる化学者の能力―それがあるから、私は化学者としてあり続けている。

 

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

シェフになりたいね! 風味と質感のどんな様々な組み合わせによって、最終的な料理が作られるかを「思い描く」こと、私はそれが得意だ。 教員になる前、私は、料理をすることであらゆる合成技術の要領を学び、磨きをかけたりもした。 そして料理をするほうが、私にとっての成功確率は高い。 妻(かなり好みがうるさい)は、最近10年間で一食しか不満を言わなかった。 唯一の不満は、塩味の料理の中にパイナップルをいれたことで、それは道徳に反すると。それはそうだろうね。

L6VJYm9a-20140729130035

 

Q.概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

我々は、原子レベルを中心に据える、ユニークな視点を持っている。 合成化学者たる我々は原子単位で構造を制御することが出来るす、だからこそ、典型的な「化学物質」―例えば医薬品、家庭用品など―を創りだすことができる。 しかしながらそれ以上の話として、オングストロームスケールにて物質を操作しその振る舞いを理解できる能力、それゆえに材料及びナノテクノロジーの世界へ貢献できる。こういうユニークな立場に我々は位置している。

 

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

モーツァルトだね。 彼はとても過酷な人生を送ったが、魔法をとても簡単に見せてくれた人物だ。

Wolfgang Amadeus Mozart

Wolfgang Amadeus Mozart

 

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

最近、Mike Pollierという大学院生の一人と電気化学の実験を2、3した。 私が研究室の周りで実験しようとすると、メンバーは不愉快になるのだけど、あるものは「安全に」できるんだよ。

 

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

本についてだけど、Google検索ですぐ見つかったHoward Irving Chapelle著:”Boatbuilding: A Complete Handbook of Wooden Boat Construction” 、これはかなり良い。 CDについては、モーツァルトの「フィガロの結婚(Le Nozze de Figaro)」だ。他に持って行って良いなら、ケルビーノ役のCecillia Bartoliか、Frederica von Stade(かなり違ってはいるが、どちらも美しい声だ)のどちらかだろうか・・・

原文:Reactions-Vince Rotello
※このインタビューは2007年4月6日に公開されたものです

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. スケールアップのポイント・考え方とトラブル回避【終了】
  2. 第129回―「環境汚染有機物質の運命を追跡する」Scott Ma…
  3. エナゴ「学術英語アカデミー」と記事の利用許諾契約を結びました
  4. 第169回―「両性分子を用いる有機合成法の開発」Andrei Y…
  5. 第28回 錯体合成から人工イオンチャンネルへ – P…
  6. 【技術系スタートアップ合同フォーラムのお知らせ】 ディープテック…
  7. 第58回―「集積構造体を生み出すポリマー合成」Barney Gr…
  8. XPhos

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. CAS Future Leaders Program 2022 参加者インタビュー
  2. Carl Boschの人生 その6
  3. タンパク質の非特異吸着を抑制する高分子微粒子の合成と応用
  4. 被引用回数の多い科学論文top100
  5. 堂々たる夢 世界に日本人を認めさせた化学者・高峰譲吉の生涯
  6. 並外れた光可逆的粘弾性変化を示すシリコーンエラストマーの開発~市販のレーザーポインターをあてるだけで簡単にはがせる解体性粘接着剤用途に期待~
  7. 誰も教えてくれなかった 実験ノートの書き方 (研究を成功させるための秘訣)
  8. 理系のためのフリーソフト Ver2.0
  9. SDGsと化学: 元素循環からのアプローチ
  10. トリメチルロック trimethyl lock

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年10月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

期待度⭘!サンドイッチ化合物の新顔「シクロセン」

π共役系配位子と金属が交互に配位しながら環を形成したサンドイッチ化合物の合成が達成された。嵩高い置換…

塩基が肝!シクロヘキセンのcis-1,3-カルボホウ素化反応

ニッケル触媒を用いたシクロヘキセンの位置および立体選択的なカルボホウ素化反応が開発された。用いる塩基…

中国へ行ってきました 西安・上海・北京編①

2015年(もう8年前ですね)、中国に講演旅行に行った際に記事を書きました(実は途中で断念し最後まで…

アゾ重合開始剤の特徴と選び方

ラジカル重合はビニルモノマーなどの重合に用いられる方法で、開始反応、成長反応、停止反応を素反応とする…

先端事例から深掘りする、マテリアルズ・インフォマティクスと計算科学の融合

開催日:2023/12/20 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

最新の電子顕微鏡法によりポリエチレン分子鎖の向きを可視化することに成功

第583回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 陣内研究室の狩野見 …

\脱炭素・サーキュラーエコノミーの実現/  マイクロ波を用いたケミカルリサイクル・金属製錬プロセスのご紹介

※本セミナーは、技術者および事業担当者向けです。脱炭素化と省エネに貢献するモノづくり技術の一つと…

【書籍】女性が科学の扉を開くとき:偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る

概要米国の女性科学者たちは科学界のジェンダーギャップにどのように向き合い,変えてきたのか ……

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2025卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

細胞代謝学術セミナー全3回 主催:同仁化学研究所

細胞代謝研究をテーマに第一線でご活躍されている先生方をお招きし、同仁化学研究所主催の学術セミナーを全…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP