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日本人化学者インタビュー

第36回「光で羽ばたく分子を活かした新技術の創出」齊藤尚平 准教授

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第36回目の研究者のインタビューは京都大学大学院 理学研究科 集合有機分子機能研究室 准教授の 齊藤尚平 先生です。

齊藤先生は有機構造化学・光化学がご専門で、独自に開発された光応答性分子骨格を中心に、躍動感あふれる分子を次々に報告されています。設計されたで分子の光構造変化を上手く利用し、新しいデザイン指針で励起状態ダイナミクスを制御したり、光照射で剥がせるライトメルト接着材料など独創性の高い材料を精力的に開発したりされています。
2014年に文部科学大臣年 若手科学者賞、2015年に日本化学会進歩賞、2018年にアジア光化学協会 APA Prize for Young Scientist、その他多くの賞を受賞されています。

第二回ケムステVシンポジウム「光化学へようこそ!~ 分子と光が織りなす機能性材料の新展開 ~」ではトリを務めていただきます。

ご講演のタイトルは、
「羽ばたく分子が創り出す新しい光科学技術」

齊藤先生の分子は、骨格を見るだけで、「あ、これは齊藤先生の分子だな」と直感できます。豪快に動く分子を使った、新しい材料設計をご披露いただけます!合成化学のバックグラウンドも強い光化学者である齊藤先生は、本シンポジウムを最高の形で締めくくってくれることは疑いありません。
講演に先立って紹介させていただくため、インタビューをお願いさせていただきました。有機化学と光化学をつなぐ齊藤先生へのインタビュー、どうぞお楽しみください!

Q. あなたが化学者になった理由は?

自分の発想で創り出した物質に、手で触れることができるから。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

ロボットエンジニア
頭と体を動かしつつ、多くの技術者と関わり合いながら、ソフトとハードの両面から新しいロボットを作りたい。人生を通して成長できる職業が良い。

Q. 現在、どんな研究をしていますか?また、どのように展開していきたいですか?

羽ばたく分子の動きを活かした機能材料の開発や科学技術の創出。
いま興味があるのは、以下の3つと、それらの複合系。
1.「化学変換」ではなく「コンフォメーション変化」だからこそ創出できる機能システム。
2.「回転運動」ではなく「羽ばたき運動」だからこそ生み出せる分子技術。
3.「多重水素結合」ではなく「多重πスタッキング」だからこそ実現できる有機材料。
裾野は広く、それでいて深く。科学に遊び、技術にはしゃぐ。
初まりの発想は大学らしく自由に。アイデアを具体的な実験系に落しこむプロセスを楽しみたい。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

自分と同じ歳の真田幸村(信繁)と、日本酒を飲みながら。
戦国時代の空気感を肌で感じてみたい。侍魂を注入してほしい。忍術を会得したい。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

合成から精製まで一通りやったのは助教時代(名古屋大学)の夏休みが最後。
ノルボルナジエン骨格の光異性化でコルフィセンの環状共役系を可逆的に切り、芳香族安定化の分のエネルギーを貯蔵する分子を創ろうとした。
今は有機合成よりも、自分が全く持っていない異分野スキル(laser opticsの組み立てやMD計算)に憧れている。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

踊れるPOPs、泣ける邦楽バラード、闘志の湧くロック、落ち着くピアノソング。
日々に生産性を与えてくれる学術書や歴史書。

Q. 次にインタビューをして欲しい人を紹介してください。

小川美香子 教授(北海道大学大学院薬学研究院生体分析化学研究室)
理由:「光化学で人の命を救う研究」を初めて間近で見せてもらったので。個性が凄い

関連リンク

関連動画

2020年5月15日 第二回ケムステバーチャルシンポジウム「光化学へようこそ! ~ 分子と光が織りなす機能性材料の新展開 ~」より

齊藤尚平准教授の略歴

名前:齊藤尚平

所属:京都大学大学院 理学研究科

専門:構造有機化学、光化学、有機材料科学(液晶や高分子を含む)

略歴:2010年 京都大学大学院理学研究科 博士(理学)取得
2010-2016年 名古屋大学物質科学国際センター 助教
2012-2016年 JSTさきがけ研究者「分子技術と新機能創出」領域1期生
2016年- 京都大学大学院理学研究科 准教授
2016年-  JSTさきがけ研究者「光の極限制御・積極利用と新分野開拓」領域2期生

*本インタビューは2020年5月7日に行われたものです

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りゅーとも

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博士 (理学)。現在は某化学メーカー勤務の社会人。学生時代は超高速分光を嗜んでました。

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