[スポンサーリンク]

J

ジェイムス・ブル エナンチオ過剰率決定法 James-Bull Method for Determination of Enantiomeric Excess

概要

キラルジオール・キラル一級アミン・2-ホルミルフェニルボロン酸が縮合した化合物のジアステレオマー比から、キラルジオールもしくはキラル一級アミンのエナンチオ過剰率(ee)を決定する方法。特に一級アミンにおいては、不斉中心が官能基から離れているものでも適用可能。

・縮合反応自体は試薬を混ぜるだけで良く、きわめて短時間(約10分)で終了する。分離条件探索に時間を要するHPLC・GC解析を必要とせず、安価な市販試薬とNMR解析だけで簡便に執り行えるというメリットは大きい。

 

基本文献

  • Perez-Fuertes, Y.; Kelly, A. M.; Johnson, A. L.; Arimori, S.; Bull,S. D.; James, T. D. Org. Lett. 2006, 8, 609. doi:10.1021/ol052776g
  • Kelly, A. M.; Perez-Fuertes, Y.; Arimori, S.; Bull, S. D.; James, T. D. Org. Lett. 2006, 8, 1971. DOI: 10.1021/ol0602351
  • Perez-Fuertes, Y.; Kelly, A. M.; Fossey, J. S.; Powell, M. E.; Bull, S. D.; James, T. D. Nature Protocols 20083, 210. doi:10.1038/nprot.2007.524
  • Kelly, A. M.; Perez-Fuertes, Y.; Fossey, J. S.; Yeste, S. L.; Bull, S. D.; James, T. D. Nature Protocols 20083, 215. doi:10.1038/nprot.2007.523
  • 参考:Parker, D. Chem. Rev. 1991, 91, 1441. doi:10.1021/cr00007a009
  • 参考:Seco, J. M.: Quinoa, E.; Riguera, R. Chem. Rev. 2004104, 17. DOI: 10.1021/cr000665j

 

反応機構

 

反応例

 

実験手順

syn-Methyl-2,3-dihydroxy-3-phenylpropionateのエナンチオ過剰率決定[1] フェネチルアミンのエナンチオ過剰率決定[2]
James_Bull_3.gif
James_Bull_4.gif

① 上記スキームに指示された量比で、試薬を重クロロホルム中で10分間混合する。

② プロトンNMRを測定し、積分比からエナンチオ過剰率を決定する。

 

実験のコツ・テクニック

※ee決定においては、化学シフトが大きく変動し、原料とかぶらないプロトンに着目すればよい。すなわち、赤字で示した8.0-8.5
ppm付近にシングレットで観測される
イミンのプロトンで判断するのが現実的と思われる。

※ フェネチルアミンは粘性が高く、しばしばシリンジでの正確な秤量を困難とする。本法を多用する場合には、重クロロホルムのStock
Solutionを作って行うと良い。
※ 水が含まれると効率的に縮合されないことがある。その場合にはMS4Aを共存させて反応させると良い。

※ ジアステレオマーピークの分離が良くない場合は、別種の溶媒(ベンゼン-d6、アセトン-d6など)で測定してみると良い。低温測定が好ましい場合もある。
※ NMR測定の積分比誤差はプラスマイナス5%程度と見積もるべき。

 

参考文献

[1] Kelly, A. M.; Perez-Fuertes, Y.; Fossey, J. S.; Yeste, S. L.; Bull, S. D.; James, T. D. Nature Protocols 20083, 215. doi:10.1038/nprot.2007.523
[2] Perez-Fuertes, Y.; Kelly, A. M.; Fossey, J. S.; Powell, M. E.; Bull, S. D.; James, T. D. Nature Protocols 20083, 210. doi:10.1038/nprot.2007.524

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. N-カルバモイル化-脱アルキル化 N-carbamoylatio…
  2. TEMPO酸化 TEMPO Oxidation
  3. IBX酸化 IBX Oxidation
  4. ネバー転位 Neber Rearrangement
  5. ケック不斉アリル化 Keck Asymmetric Allyla…
  6. 衣笠反応 Kinugasa Reaction
  7. ペイン転位 Payne Rearrangement
  8. フィッシャー インドール合成 Fischer Indole Sy…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 海藻成長の誘導物質発見 バイオ研
  2. 独メルク、医薬品事業の日本法人を統合
  3. 松本和子氏がIUPACのVice Presidentに選出される
  4. これならわかるNMR/二次元NMR
  5. 総合化学大手5社、4-12月期の経常益大幅増
  6. コバルト触媒でアリル位C(sp3)–H結合を切断し二酸化炭素を組み込む
  7. フェネストレンの新規合成法
  8. 今さら聞けないカラムクロマト
  9. 北エステル化反応 Kita Esterification
  10. 元素川柳コンテスト募集中!

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

アルケニルアミドに2つアリールを入れる

ニッケル触媒を用いたアルケニルアミドの1,2-ジアリール化反応が開発された。フマル酸エステルを配位子…

蛍光標識で定性的・定量的な解析を可能に:Dansyl-GSH

反応性代謝物の存在を調べたい。代謝化学の実験をしていれば、ほとんどの人がそう思うのではないでしょうか…

アメリカで医者にかかる

アメリカの大学院に進学する際、とても悩んだのが、医療保険についてです。アメリカでは医療費がとても高い…

MOF 結晶表面の敏感な応答をリアルタイム観察

第178回のスポットライトリサーチは、東京大学の細野暢彦講師にお願いしました。細野先生は高分…

有機合成化学協会誌2019年2月号:触媒的脱水素化・官能性第三級アルキル基導入・コンプラナジン・アライン化学・糖鎖クラスター・サリチルアルデヒド型イネいもち病菌毒素

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2019年2月号がオンライン公開されました。今…

化学の学びと研究に役立つiPhone/iPad app 9選

筆者の最近では、ちょっとした計算や反応機構を描くツールとしてipadアプリ"GoodNotes"を使…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP