[スポンサーリンク]

M

向山アルドール反応 Mukaiyama Aldol Reaction

[スポンサーリンク]

 

概要

通常酸・塩基で促進される古典的アルドール反応は可逆反応であり、エノラート生成時の立体制御が難しく、複雑な混合物を与える。

1970年代の向山らによる研究で、単離生成・長期保存可能なシリルエノールエーテル・ケテンシリルアセタールなどを求核剤に用い、交差アルドール反応を進行させることができるようになった。

mukaiyama_aldol_12.gif

実験室レベルでは有用な反応であり、様々な複雑化合物合成へと応用もされている。

アクティベーターのLewis酸は触媒量で済むも条件も多い。また、フッ素アニオンなどのLewis塩基もシリルエノールエーテルのアクティベーターとして働きうる。

様々な不斉触媒を用い、触媒的不斉合成への適用も活発に行われている。

基本文献

 

反応機構

ケイ素のルイス酸性は弱く、カルボニルへの配位は起こりにくい。六員環遷移状態をとれず、線形遷移状態で反応が進行する。シリルエノラートの幾何異性によらずsynが主生成物として得られる傾向にあるが、リチウムエノラートやボロンエノラートなどに比較して、遷移状態の配座自由度が高いため、高い選択性を発現させることは困難となる。立体要因および双極子効果に大きく依存する。
mukaiyama_aldol_2.gif

反応例

mukaiyama_aldol_3.gif
触媒的不斉向山アルドール反応の例[1] mukaiyama_aldol_4.gif
一般にアセテート由来のエノラートは立体規制要因が少なく、選択性の発現が難しいと言われている。Carreiraらはこの点を解決した不斉触媒の開発に成功している。[2] mukaiyama_aldol_5.gif
ランタントリフラートは水系溶媒でも失活が遅いため、ホルムアルデヒド水溶液をそのまま不斉向山アルドール反応に用いる事が出来る。[3] mukaiyama_aldol_6.gif
Denmark[4a, b]および柴崎[4c]らによって、一般に低選択性・低反応性傾向にある非活性化型ケトンへの触媒的不斉アルドール反応が報告されている。
mukaiyama_aldol_10.gif
mukaiyama_aldol_7.gif
アルデヒド由来のシリルエノールエーテルを調製し、アルドール付加させることは困難をきわめる。かさ高いトリス(トリメチルシリル)シリル(TTMSS)基をもつエノールエーテルは、付加後生じるアルデヒドへの過剰付加を抑制する。このため、アルデヒド等価な求核剤として向山アルドール反応に使用できる。[5] mukaiyama_aldol_9.gif
Lewis塩基活性化型・向山タイプアルドール反応[6] mukaiyama_aldol_11.gif

実験手順

トリフルオロメタンスルホン酸イミド(HNTf2)触媒を用いる向山アルドール反応[7] mukaiyama_aldol_8.gif

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] (a) Mukaiyama, T.; Kobayashi, S.; Uchiro, H.; Shiina, I. Chem. Lett. 1990, 129. doi:10.1246/cl.1990.129 (b) Kobayashi, S.; Fujishita, Y.; Mukaiyama, T. Chem. Lett. 1990, 1455. doi:10.1246/cl.1990.1455.

[2] Carreira, E. M. et al. J. Am. Chem. Soc. 1994116, 8837. DOI: 10.1021/ja00098a065

[3] (a) Kobayashi, S. et al. J. Am. Chem. Soc. 2004126, 12236. DOI: 10.1021/ja047896i (b) Kobayashi, S. et al. Org. Lett. 20057, 4729. DOI: 10.1021/ol051965w

[4] (a) Denmark, S. E.; Fan, Y. J. Am. Chem. Soc. 2002124, 4233.[abstract] (b) Denmark, S. E.; Fan, Y., Eastgate, M. D. J. Org. Chem. 2005, 70, 5235. DOI: 10.1021/jo0506276 (c) Oisaki, K.; Zhao, D.; Kanai, M.; Shibasaki, M. J. Am. Chem.

Soc. 2006, 128, 7164.DOI: 10.1021/ja061815w

[5] (a) Boxer, B. M.; Yamamoto, H. J. Am. Chem. Soc. 2006129, 49.DOI: 10.1021/ja054725k (b) idem. J. Am. Chem. Soc. 2007,129, 2762. DOI: 10.1021/ja0693542 (c) Boxer, M. B.; Akakura, M.; Yamamoto, H. J. Am. Chem. Soc. 2008,130, 1580. DOI: 10.1021/ja7102586 (d) Boxer, M. B.; Yamamoto, H. Org. Lett. 200810, 453. DOI: 10.1021/ol702825p

[6] Song, J. J.; Tan, Z.; Reeves, J. T.; Yee, N. K.; Senanayake, C. H. Org. Lett. 2007, 9, 1013. DOI: 10.1021/ol0630494

[7] Saito, S.; Nakadai, M.; Yamamoto, H. Synlett 2001, 1245. DOI: 10.1055/s-2001-16055

 

関連反応

 

関連書籍

関連記事

  1. バルツ・シーマン反応 Balz-Schiemann Reacti…
  2. ニトリルオキシドの1,3-双極子付加環化 1,3-Dipolar…
  3. アルキンメタセシス Alkyne Metathesis
  4. シュタウディンガー ケテン環化付加 Staudinger Ket…
  5. ライセルト インドール合成 Reissert Indole Sy…
  6. 交差アルドール反応 Cross Aldol Reaction
  7. マーティンスルフラン Martin’s Sulfur…
  8. ゲヴァルト チオフェン合成 Gewald Thiophene S…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. N-オキシドの合成 Synthesis of N-oxide
  2. 来年は世界化学年:2011年は”化学の年”!
  3. 安定なケトンのケイ素類縁体“シラノン”の合成 ケイ素—酸素2重結合の構造と性質
  4. Chem-Station開設5周年へ
  5. アルゴン Argon 空気中の体積1%を占め、医療用レーザーにも使われる
  6. グライコシンターゼ (Endo-M-N175Q) : Glycosynthase (Endo-M-N175Q)
  7. ニッケル-可視光レドックス協働触媒系によるC(sp3)-Hチオカルボニル化
  8. カルボン酸だけを触媒的にエノラート化する
  9. 話題のAlphaFold2を使ってみた
  10. 3.11 14:46 ①

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

注目情報

最新記事

尿酸 Uric Acid 〜痛風リスクと抗酸化作用のジレンマ〜

皆さん、尿酸値は気にしてますか? ご存知の通り、ビールやお肉に豊富に含まれるプリ…

第173回―「新たな蛍光色素が実現する生細胞イメージングと治療法」Marina Kuimova准教授

第173回の海外化学者インタビューは、マリナ・クイモヴァ准教授です。インペリアル・カレッジ・ロンドン…

Biotage Selekt のバリュープライス版 Enkel を試してみた

Biotage の新型自動フラッシュクロマトシステム Selekt のバリュープライ…

【9月開催】第1回 マツモトファインケミカル技術セミナー 有機チタン、ジルコニウムが使用されている世界は?-オルガチックスの用途例紹介-

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

超分子ランダム共重合を利用して、二つの”かたち”が調和されたような超分子コポリマーを造り、さらに光反応を利用して別々の”かたち”に分ける

第407回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院 融合理工学府 先進理化学専攻 共生応用化学コー…

セレンディピティ:思いがけない発見・発明のドラマ

hodaです。今回は1993年に刊行され、2022年7月に文庫化された書籍について書いていき…

第29回 ケムステVシンポ「論文を書こう!そして…」を開催します

コロナ禍による規制も少しずつ緩和されてきて、逆にオンライン会議が逆に少し恋しくなっている今日この頃か…

マテリアルズ・インフォマティクス活用検討・テーマ発掘の進め方 -社内促進でつまずやすいポイントや解決策を解説-

開催日:2022/08/24 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

高分子固体電解質をAIで自動設計

第406回のスポットライトリサーチは、早稲田大学 先進理工学部 応用化学科 小柳津・須賀研究室の畠山…

スクショの友 Snagit

スクリーンショット(スクショ)は、手軽に画像や図をコピーすることができ、資料作成などにおいて便利な機…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP