[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

Hybrid Materials 2013に参加してきました!

[スポンサーリンク]

3月3日-7日にイタリア・ソレントで行われたELSEVIER主催の学会・Third International Conference on Multifunctional, Hybrid and Nanomaterials (Hybrid Materials 2013) に参加してきました。有機−無機ハイブリッド材料分野の著名な先生方が多く出席されたこの会議についてレポートしてみたいと思います。

Hybrid Materialとは?

Hybrid MaterialはIUPAC Gold Book

Material composed of an intimate mixture of inorganic components, organic components, or both types of component.

Note:

The components usually interpenetrate on scales of less than 1 μm.

と定義されています。簡単に言えば、柔軟性や加工性などに優れる有機物と、耐候性や耐熱性などに優れる無機物を混ぜていいとこ取りをしよう!という材料です。身近なところでは、シリコーンゴム・樹脂などでお馴染みのポリシロキサンがよく代表として例に挙げられます。主なテーマ分野としては、複合化による物性向上、電池関連材料、生体関連材料、多孔性配位高分子 (Porous Coordination Polymers, PCP) / 有機金属錯体 (Metal-Organic Framework, MOF)、ナノ粒子などが挙げられます。ゾル−ゲル法など液相法により合成された多孔性材料の発表を多く見かけました。

学会の様子


招待講演ではこの分野で著名な先生方(例えばケムステインタビューの中からは相田卓三先生)の講演を多く聞くことができました。材料系研究でホットな分野だけあり、専門外でも少しは見聞きしたことがある研究が多数あり勉強になりました。
一般講演はポスター・口頭にわかれていました。私は口頭で発表しましたが、1000人ぐらい入るのではないかという広いホールでの発表となりました。残念ながら実際に座っていたのは100人ぐらいでしょうか。

学会アプリの存在

Hybrid Materials 2013で良い試みであると感じたのは、AppStore公式のiOSアプリが配布されていたことです。iPadアプリを使っての発表者名・キーワード検索や、お気に入り追加によって一目で分かるスケジュール管理は冊子を持ち歩くよりも便利でした。また、ポスター発表においても発表者自身が資料をアップロードすることができる、別の公式アプリをリリースしていました。アップロードされた資料がある発表ではポスター上にシールが貼られるため、一目で存在の有無を知ることができました。
日本の学会でも予稿がDVDで電子化されるなどの動きがありますが、このような先端の取り組みが広がっていくことを期待しています。

ソレントという場所


最後に、学会会場があるソレントについて。「帰れソレントへ」で有名なこの場所は保養地だけあり、会場ホテルから見られるベスビオ火山・ナポリ湾の景色は抜群でした。周辺には世界遺産のアマルフィ海岸やポンペイ遺跡などもあり、多くの出席者がいたこともうなずけます。
アメリカとは違い食事もおいしいイタリア。学会もそれ以外の時間もエンジョイすることができました。

関連書籍

GEN

投稿者の記事一覧

大学JK->国研研究者。材料作ったり卓上CNCミリングマシンで器具作ったり装置カスタマイズしたり共働ロボットで遊んだりしています。ピース写真付インタビューが化学の高校教科書に掲載されました。

関連記事

  1. マイルの寄付:東北地方太平洋沖地震
  2. Googleマイマップを持って学会に出かけよう!
  3. 火力発電所排気ガスや空気から尿素誘導体の直接合成に成功
  4. [5+1]環化戦略による触媒的置換シクロヘキサン合成
  5. 生理活性物質? 生物活性物質?
  6. 世界最小電圧の乾電池1本で光る青色有機EL
  7. 顕微鏡で化学反応を見る!?
  8. 活性酸素を効率よく安定に生成できる分子光触媒 〜ポルフィリンと分…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. プロリン ぷろりん proline
  2. 日本薬学会第125年会
  3. 歯車クラッチを光と熱で制御する分子マシン
  4. 三井化学、触媒科学賞の受賞者を決定
  5. 遠藤守信 Morinobu Endo
  6. 博士の学位はただの飾りか? 〜所得から見た学位取得後のキャリア〜
  7. ベシャンプ還元 Bechamp Reduction
  8. 伊藤嘉彦京都大名誉教授死去
  9. マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-
  10. 樹脂コンパウンド材料におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用とは?

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP